私、やりたいです。その眩しさと、ある仮説。

公開日: : 最終更新日:2018/03/07 これからの働きかた, 生き方と考え方, 読書

totoya

【前回のあらすじ】

ある日ふと出会って突然恋に落ちるという憧れの体験した人物を目の当たりにし、ショックを受けたcrispy-life。

毎日の暮らしに、楽しみがないから。

しょうもないことをやたら面白がれるのは自分の特技だけれど、面白みを小出しにする習慣が運命の出会いを遠ざけているのだとしたらいやだなあ、と思ったのでした。

私、やりたいです

さてこの「晩酌帖飲み」で受けた衝撃はこれだけではないのです。

デザイナーさんのFall in Loveについては不意打ちというか、お会いして初めて知ったこと。しかし、温かな体温を感じる力強いイラストをたくさん書いてくださったイラストレーターの谷山彩子さんには、絶対にお聞きしたいと思っていたことがあったのです。

それは、谷山さんが初めて出版された絵本「文様えほん」に関するインタビューを読んで考えたこと。

古今東西、300種の文様が、この1冊に!『文様えほん』谷山彩子さんインタビュー(絵本ナビ)

「文様」とは、「着るものや日用品、建物などを飾り付けるために描かれた模様」のこと。私たちは普段、たくさんの「文様」に囲まれて暮らしています。

絵本制作を企画していた編集さんから、文様に詳しいイラストレーターさんを知っていたら紹介して欲しい、と頼まれた谷山さん。もともと文様に興味はあったものの、詳しい知識は一切ない状態だったにも関わらず

「私が、やりたいです!」

と手を上げ、そこから文様について猛勉強を開始されたと言うではないですか。その作業はまさしく受験勉強のようなものだったけれど、受験勉強よりよっぽど楽しかったとか。

学びたい対象が現れ、夢中になり没頭して、さらにはきちんとした作品という形にまでしてしまう。

何それ、理想的過ぎる。

目の前に現れたチャンスにすぐに手を上げられたのはもちろん、これまでに谷山さんがイラストレーターとして多くの実績を積んでこられたから、つまり根本のところの準備が整っていたからだけど、十分なキャリアを積んだ今、全く新しい分野を一から開拓しましょうというそのパワーはどこからきたのか。そしてどうやって対象への興味をより深めていったのか。

インタビューを読んだ時から、とてもとても気になっていたのです。

学びに費やす時間

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この点に関して前のめりに質問する私に対して

「まあ、仕事ですからねえ」

と笑う谷山さん。

そりゃ確かに、そうですよ。クリエーターの方にとっては作品作りのための事前準備とか取材でしっかり勉強するなんてのは当然なのかもしれないし、仕事だからとにもかくにもやらなきゃいけない、は誰にだってある。でも、単に仕事だから、興味があるから、だけでは突き詰められないような気もするのです。

さらには一から文様について勉強を始めて、こうして形になるまでには実に3年の時間を費やしたとおっしゃる。

3年。

その時間の長さにその場にいた全員がため息の様なものを漏らす。

「3年もかかったけど、3浪ではない。つまり、他の仕事と並行して進められたのはよかったかな。これにかかりっきり、という訳じゃなかったから、その点では受験勉強より気楽よね。」

ため息。そして自分のインスタントな行動を省みる。

早く結果を出したがる理由

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結果を早く出すため、と言えば聞こえはいいけれど、労力を惜しむあまりやたらとショートカット手法ばかりに目がいったり、なるべくラクしようとしたりするのはきっと、効率化が理由じゃない。

英会話習得、何をすればいいのかわからない。

インスタントな行動を取りがちなのは、結局のところ、自分が信じられないからなんだろうな。

自分、というか、自分の情熱、か。

他の仕事をしながらも新しい分野の開拓に多くの時間を割いて、長きにわたって学び続けられるのは、自分自身の情熱に対する絶対的な信頼あってこそ。どうせアンタはちゃんとできないでしょ、すぐ飽きるよね?なんて自分を疑ってばかりいたら新しいことはできやしない。

カタチから入る趣味のスタイルに憧れはあるけれど。

なんて、谷山さんが俄然眩しく見えてきて、その恩恵に預かろうとベタベタお触りし始めたところで、私の記憶は怪しくフェイドアウト。

はい、ここでまた別のため息。ハア。

私の酒癖に関してはこの際置いておくとして、長年憧れて止まない「ハマる」について。

自然発生的な興味対象との出会い、及び持続が理想的ではあるけれど、もしかしたらコツやテクニックで補える部分もかなりあるのでは。ハマれる先人に習えばわかることもあるのでは、と推測するのですがどうでしょう。もちろん性格とか環境あたりの影響も大きいだろうけど、本当にそれだけ?ザッツオール?と疑う姿勢は持っていたいのです。

自分を疑え。

ただいま絶賛実施中のアンケートでは、質問やお悩みもお寄せいただいていております。その中には情熱が継続しなくていろいろ中途半端になってしまうとか、興味の掘り下げ方がわからないと嘆く方も結構多い。

あくまで仮説だけれど、「ハマるコツ」みたいなものがわかったら、仕事にせよ、純粋な趣味にせよ、ちょっとした突破口が開けそうな、こう、何かが腑に落ちる感覚がありそうなんだけどなあ。ああ、源泉まであと一歩。いや、そのイヤラシイ色気こそがインスタントなのか。

ミニマリストの持たない暮らし

などと考えた数日後にまた別の飲みの席で本件に関連する会話が繰り広げられたのですが、それについてはまた後日。なんか最近ハマるとかどうとかの話ばかり書いてますけど、これ、今年のテーマなんですよ。

 




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Comment

  1. ASA より:

    こんにちは、谷山さんのインタビューを拝読し、久々のコメントです。
    私も谷山さんと同業で、「〜〜の面白さを世に伝える」的な仕事に燃える性分ゆえ、
    とても親近感をもちました。
    自分は広く浅く物事に興味を持ちやすいので何でも手を出さないようセーブしていますが、
    仕事の内容と自分の興味が合致してスイッチが入ると、
    「では遠慮なく深く潜らせてもらおう!」という気分になります(笑
    スイッチが入ると言動が怪しくなるので、ちがう意味でセーブが必要になりますが…

    ところで、crispyさんは酔うと人をお触りするんですね。
    私も、酔うと隣の人をベタベタ触る悪癖が…(同性限定)

    crispyさんの本、まだまだ寒い街の大型書店で、
    去年からずっと本棚のいい位置をキープしてますよ!

    • crispy-life より:

      ASAさん

      >「〜〜の面白さを世に伝える」的な仕事に燃える性分

      なるほど、性分。それはなかなかいいヒントのような。
      スイッチが入るポイントにはいろんな種類があって、自分に合ったスイッチを押せたら掘ったりハマったり継続できたりするのかもしれませんね。いやいや、広く浅く興味を持ちやすいって、ひとつの才能だと思います。

      そして私の場合お触り癖というより、どうも人との距離感がおかしくなってくるというか、心理的に急接近を試みるような。あ、でもシェイクハンド癖はありますね。別れ際とかにやたらと求める、あの新橋のガード下あたりでおじさま方がよくやるアレを華麗に繰り広げてしまいます。この日も多分やってる。

      というわけで酔っ払いコメントはいつでもお待ちしております〜。

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