あの世にものは、持っていけないから。

公開日: : 最終更新日:2024/02/12 ミニマルライフ

銀座で酒を飲みながら、友人の現役引退後、つまり、定年退職後の計画を聞く週末。

これはこの度初披露されたプラン、ではなく、以前から幾度となく話題には上がっておりました。

おばさんのラストスパートと、終の住処。

が、私は勘違いしていたのだ。

同年代の友人たちの本来の意味での「現役時代」は、残り10年もないことを。

現役生活も、あと少し。

自分が自営業であるがゆえに、真っ当な企業の会社員の定年事情に疎く、よく理解できていなかったんですけども。

現在の年金支給開始年齢は65歳。高年齢者雇用安定法の改正により、2025年以降は継続勤務を希望する社員については65歳までの雇用確保が企業に義務付けられます。(合ってる?)

だから、なんとなくみんな65歳までは今の会社に在籍するのかな、などと思い込んでいたのです。

しかし65歳まで勤めたとて、60歳以降、会社によっては役職定年の55歳以降、給与体系が大きく変わる。つまり、手取りがガクッと減る。加えて、長年の激務により気力体力の限界が近づいており「さすがに今の会社に65歳までいる気はないよ」ということらしい。

M1の疲れとおでんと役職定年。

冒頭の友人のプランも、60歳で退職して地元に戻り、退職金で終の住処を手配する。というものでした。

あれ、60歳?
ってことは、もうラスト10年切ってるじゃないか。

というものすごく当たり前のことに、突然気づいたのでした。いや、もちろんわかってはいたんだけど、改めて考えると、同年代が定年を迎えるまで、そう長くないんだなと。

40代の頃は「人生まだまだ先が長いね」なんて言ってたのに。

おばさん権を行使せよ。

あと10年残ってるんだから、そこそこ長い?いやいや、今から10年前がつい最近のことのように思えるんだから、あっちゅう間ですよ。

人生はまだ続くが、現役時代のゴールはすぐそこに見えている。ああ、なんということでしょう。

あの世にものは、持っていけないから。

うっすらだけど確実に始まった、友人の東京生活終了カウントダウン。当然、長年住んだ都内の自宅を片付ける日も近いわけで。

「うちはものが多すぎて手間がかかる。ものが少ないと何かと便利なので、おまえは新居でも今のスタイルを維持することを強くお勧めする」

とのお言葉をいただきました。

「今のスタイル」とは、ものがない生活のことですね。この友人は、新居にも遊びにきてくれたので、我が家のがらんとした感じをよく知っているのです。

持たない暮らし、引っ越し費用はまさかのタダ。

そりゃアナタ、便利は便利かもしれないけど、便利だからいいってわけでもないでしょうよ。家にものが多いのは、家具家電衣類小物に至るまで、あらゆる方向に興味関心を抱いてきた証しだし、それらを使ってみたいという瑞々しい好奇心の表れだし、何より、実際に購入できる経済力を培ってきた、努力の結晶に他ならない。物欲の強さを揶揄する「あの世に物は持っていけない」なんて表現があるけれど、これって「健康のためなら死んでもいい」くらい矛盾してない?あの世で持てないんだから、今持たなくてどうすんの?って話だよね。

モノを持たない人間の好奇心とコンプレックス。

欲しいものも、必要なものの数も、皆それぞれ違うのだから、自分にちょうどいい生活様式は、自分で作り上げるしかない。ああでもない、こうでもない、と探して迷ってなんだかんだしているうちに、この複雑怪奇で、だけど愛しい人生ゲームは、終わるのだ。

生きる目的、今夜はフラッシュモブ。

約1年ぶりに足を運んだ銀座「四季のおでん」。やや値上がりした感があるけれど、やっぱり旨かったな。

東京でこんな風に友人と酒を飲めるのも、あと数年。好きな店で好きなようにたのしめる東京生活を、最後まで送れますように。

大人一人暮らしのヒント




関連記事

10kgの荷物の目安、スーツケースを持たない旅。

今回の旅は約3週間ですが、スーツケースなしで行こうと決めていました。 関連 荷物を持た

記事を読む

収納がない部屋だからできる 地球家族ごっこ。

ようやく音楽CDのデータ化にも着手(まだ終わってないけど)し、順調にモノが減っています。

記事を読む

トートバッグをポットカバーに

いただきものの第二の人生。

むやみに新しいものを買わずに手持ちアイテムを活かす方法を考える式にシフトしてからずいぶん経ち

記事を読む

70代ミニマリストの調味料。

By: Franck Michel[/caption] 今年の正月に人様の家の様子を勝手にブ

記事を読む

ミニマリストのキッチン

80代ミニマリスト主婦の変化。

ミニマリスト主婦シリーズ、2021です。ミニマリスト主婦の記録今年は例のアレがアレなもので

記事を読む

クローゼットの鍵を握るハンガーとくだらない背徳感。

整理しては散乱させてまた整理、を繰り返していたその昔。 置き場所が悪かったせいもあるけ

記事を読む

一生お金に困らない自信とその方法。

どうなのよ、仕事のほうは。母に問われて、ぼちぼちですねと適当に答える。 ちなみに母は私

記事を読む

おしゃピクでなぜ悪い インスタ女子の歪んだリア充。

By: dave.see[/caption] おしゃピク? ああ、インスタのことでしょ

記事を読む

40歳は立派に初老。

両親の傘寿祝いをしていません。ミニマリスト主婦は80歳一般常識に疎いもので正式(?)にはい

記事を読む

スマートフォンのない生活 ’19

このままでは、画面を見つめるだけで人生が終わってしまう。 眼精疲労と腱鞘炎風の何かにや

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

50代一人暮らしの1ヶ月の支出。老後に備え、いかにして小さく暮らすか。

現役世代のゴールがちらりちらりと見えてきた50代。友人知人と

腰痛改善に向けて始めたこと2つ。

今年こそは腰痛改善に取り組むぞ!と宣言して早1ヶ月が経過。や

ご近所感覚の酒場を求めて。韓国ソウル一人旅で食べたもの・その2

韓国・ソウル食記録の続きです。1人で飲むなら、定食で。韓国・

やりたいことリスト’24「ちゃかし倒してゲームする」

毎年恒例の儀式・その2「やりたいことリスト」のお時間がやって

2023年、買ってよかったものベスト3。

1年間の買い物を振り返る恒例行事、今年もいってみましょう。

→もっと見る

PAGE TOP ↑