地元で生きる力強さと終の住処を考える。

公開日: : 最終更新日:2016/10/25 生き方と考え方, 読書

By: ume-y

先日久しぶりに浅草へ出かけました。

久しぶり、と言っても今年は春のお花見でも東京日帰り弾丸ツアーでも浅草に行っているのでそう久しぶりでもないのですが、ここのところ一人でぶらぶら浅草の街を歩くことはあまりなかったような。

私が生まれて初めて浅草を訪れたのは確か15年ほど前のこと。転勤になり東京で働き、住んではいたけれど自宅と会社と飲みに行くエリアくらいしか東京を知らなかった私にとって、平日昼間の浅草は驚きの街でした。

なんというか、ものすごく殺伐としていた。

あの時の景色を思い出せば外国人観光客がレンタルらしき着物姿でそぞろ歩く仲見世通りや開放的なロビーが目を引くBUNKA HOSTEL TOKYOなど外国人バックパッカーに人気のおしゃれなホステルが乱立する今の浅草のなんと活気のあることよ。浅草もこの短い間に随分と様変わりしたんですね。

そこで生まれ育ち、生きるということ

なんて江戸っ子のえの字もない一観光客に過ぎない私がほんの10数年前から現在の浅草について語るなどおこがましいにもほどがあるのですが、なんとなく寂しげな印象すらあったホッピー通りの盛況っぷりにおののいたわけであります。

そしてこの手の観光地にありがちな意味不明な土産物&飲食店の多さにも苦笑い。なぜにここ浅草に縁も所縁もないシュークリームやらチョコレートやらキャラクターグッズを買わねばならんのだ。などと毎度思うのだけれどよくよく考えてみれば人がわんさか集まるところに珍しいものを売る新しい店がやってきて、やがてそれが流行し、定着したりはたまた廃れたりする、なんてのはそれこそ江戸時代から繰り返されてきた東京の文化、江戸っ子気質みたいなものなのかもしれません。

さて、ここ15年ほどの浅草しか知らない私でも街の変化についてなんだかんだと思うところはあるわけです。ならばここで生まれここで育った人から見た地元浅草とは一体どんな存在なんだろう。そんなことをふと考えたタイミングで「浅草 老舗旦那のランチ」を読みました。

ナビゲーターは地元を代表する老舗店主の皆さんで、商売のかたわら外で昼食をとることが多く、当然ながら行きつけの店が何軒もあります。伝統を重んじ、仕事にうるさく、コストパフォーマンスにも厳しい旦那衆のお眼鏡にかなうランチとは? リレー対談形式でとっておきの一品を推薦していただきます。

これは俗に言う観光・グルメ本ではなく、昼食というテーマから展開される浅草の老舗で生まれ育ち、現在も浅草で商いを営む人々のリレー対談集。登場するのは創業120年の扇店三代目や1880年創業のすき焼き専門店の六代目店主など、浅草らしい華やかな肩書きをお持ちの面々です。さすがは老舗の旦那衆、という浅草がらみの話はもちろん

「うちの先代がいつも連れ回していたそうですみません」

なんて先輩旦那衆に恐縮する若旦那、なんて「らしい」関係性も伺えてなんかいい。

旦那衆は物心ついた頃にはご近所の大人から名前ではなくやれ三代目、四代目と呼ばれながら育ち、生まれた時からこの地で商売を継ぐこと以外の人生を考えたことなどないと口を揃えます。みなさん良家のおぼっちゃまらしくいい大学を出て留学なぞも経験し、商社などにお勤めし社会経験を積んだのち家業を継ぐ、というパターンが多いようで。

彼らは単なる浅草っ子ではなく、「老舗の旦那」なのでこれが一般的な江戸っ子の暮らしや生き方ではないでしょうけれど、それでもその地で生まれ育ち生きていくことの力強さみたいなものを感じるのでありました。

終の住処を考える

edogawa44

別に老舗の旦那じゃなくても生まれ育った場所でそのまま生きていく人は少なくはないでしょう。そして一度は外へ出たけれど何かのタイミングで地元へ戻る、という人も。

家業を継ぐとか守るべき家があるとか、仕事の都合や結婚、出産のタイミング、はたまた家族に介護が必要になったなど、地元へ戻るきっかけは人それぞれ。けれど、私を含めそんなタイミングが何もない人もいると思うのです。また、生まれ育った地域以外の場所で

「終の住処」

を見つける場合だってあるはず。

後者の「タイミングが何もない人」は、何をきっかけとしてどんな理由で地元以外の場所への定住の決心をするのだろう。

先日、とある地方出身の女性と話をしていて将来は地元へ戻るの?と問うたところ

「私の地元ってかなり不便な場所で仕事もないから戻っても仕方ないかなって」

という答えが返ってきました。じゃあ今のところはずっと東京の予定なんだ、と聞けば

「そう言われるとなんだか違うような気がする」

と。

しっかりと将来設計ができている人から見ればあまりにも無計画に思えるかもしれませんが、私には彼女の気持ちがよくわかります。一人で身軽に生きているとこの歳になってもまだまだ道半ば感満載。

まあ計画通りに行かないのもまた人生、思い描いた通りの道をそのまま歩く人のほうが少ないのでしょうけれど。

関連 将来に不安を感じることには意味がない。

地元も出て、戻るきっかけもなく、かといってずっとここで生きていこうと決めているわけでもなく。こんな状態のままなんとなく最終地点は決まるのでしょうか。それともきっとここだと察知するような運命的な出会いがあるのでしょうか。

なーんて別に深刻になっているわけではないれど、自分とは全然違う地元との付き合い方をしてきた人たちの暮らしを垣間見て、この場所で生きていくという決意のようなものについてぼんやりと考えたのでした。

 




関連記事

髪型をコロコロ変えるのは気が多い証拠説。

ヘアスタイルを頻繁に変える女は気が多い。なんてことを子供の頃よく周りが言っていたように記憶し

記事を読む

孤独でも楽しそうな日本人 身軽な一人旅派は今後も増えるか。

去年発表された2014年のデータですが。 参考 じゃらん宿泊旅行調査2015(じゃらんリサーチ

記事を読む

40代女性のファッションが難しい理由。

40代ともなれば生活や体の変化、体力の衰え、今後の仕事のやり方などなど、考えなければならないこと

記事を読む

新しいものが、早々となくなっていく感覚。

何も調べていない状態なもので素っ頓狂なことを書きそうですが、itunesがなくなるって、何を

記事を読む

積み重ね、積み減らす。2019年やることリスト。

今年の目標を紙に書き出して壁に貼り付けておく。そんな受験生方式を取り入れて、早3年目となりま

記事を読む

酷いストレスで観葉植物が枯れる。

見た目は子ども頭脳は大人の名探偵は、 「真実はひとつ」 というけれど、そうでもな

記事を読む

お金と自由と持たない暮らし。

昨日たまたま見つけたブログ記事の内容にとても共感できたのでシェア。 参考 お金と自由~

記事を読む

いまだに右か左かわからない。

エスカレーターに乗る時、右を空けるか、左を空けるか? それは地域によって違うのだ、とい

記事を読む

エールフランスラウンジ

キラキラしてない、普通の人生。

サロンなるものに参加したことが無いから中身知らないし、全部が全部そうじゃないのだろうけど。

記事を読む

50代で起業、異業種への転身。

そういえば、あの人は今どうしているのだろう。 ふとそんなことが頭を過って名前を検索して

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

50代一人暮らしの1ヶ月の支出。老後に備え、いかにして小さく暮らすか。

現役世代のゴールがちらりちらりと見えてきた50代。友人知人と

腰痛改善に向けて始めたこと2つ。

今年こそは腰痛改善に取り組むぞ!と宣言して早1ヶ月が経過。や

ご近所感覚の酒場を求めて。韓国ソウル一人旅で食べたもの・その2

韓国・ソウル食記録の続きです。1人で飲むなら、定食で。韓国・

やりたいことリスト’24「ちゃかし倒してゲームする」

毎年恒例の儀式・その2「やりたいことリスト」のお時間がやって

2023年、買ってよかったものベスト3。

1年間の買い物を振り返る恒例行事、今年もいってみましょう。

→もっと見る

PAGE TOP ↑