柏餅をひとつだけ買えるか。
公開日:
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最終更新日:2017/05/05
食べること
柏餅が食べたい。
もともと柏餅は好きなお菓子だけれど、やはりこの時期に食べたくなるのは見かける頻度が高まるからでしょうか。
柏餅を手に入れるのはさほど難しくはない。今日日スーパーでもコンビニでもどこでも手軽にひとつから買えるので便利なものです。
しかし、それはそれで味気ないじゃないか。
柏餅をひとつだけ買えるか
柏餅が食べたい。それも、ひとつだけ食べたい。だけど、コンビニやスーパーで買うのはイヤ。
デパ地下ってのもちょっと違うし、街の小さな和菓子屋みたいなところのそれが理想的。
しかしわざわざ和菓子店に入って柏餅ひとつだけを買い求めるのはどうにも躊躇われる。
そんなこと、ありませんか。
甘いものはそれなりに好きなのだけれど、美味しいものをちょっとだけ食べたい派。じゃあいくつか買って何日かに分けて食べればいいかと言えばそうもいかないのがお菓子というもの、ああ悩ましい。
とか考えていたらふと通りかかった小さな和菓子店の入り口に
「おひとつからお気軽にどうぞ」
の張り紙を見つけ、思わず吸い込まれる。
「ひとつだけ、でもいいですか」
いや、張り出してまでいいって言ってくれてんだから改めて断ることもないんだけど、ご主人は
「はいどうぞ。今ならやっぱり柏餅だね、つぶあん、こしあん、みそあん」
と、まるで私の心を見透かしたような朗らかさで応える。じゃあみそあんで、とお願いすると今度は
「ほいきた、みそあん」
と小気味よい声が返ってきた。
人生初ほいきた、いただきました。
ほいきた
濃い系ラーメン屋の腕組み店主とかチェーン居酒屋の四六時中喜び気味の店員らが繰り出すような威勢のいい掛け声とは全く異なる、ごく普通のほいきた。
80代と思しき店主がおそらく日常使いしてきたであろうナチュラルほいきたの響きが、汗ばむ陽気の午後には妙に好ましく、言葉の力に感じ入る。
関連 こんにちは、の先制打。
ほいきた、ってこんな感じで言うんだ。あれ、もしかしたらおいきた、だったのかな。などと帰宅後も耳に残るひとことのことを考え続け、挙句こうして書き残している始末です。
望み通りに柏餅をひとつだけ買えたことよりも、思わぬほいきた体験のほうがうれしいような休日。
ところで柏餅は断然こしあん派。柏餅に限らず、あんこまわりではおおよそこしあんが好きなのです。
けれど敢えてチャレンジしたみそあんのこぶりな柏餅の皮はたっぷりの水分をたずさえている。そこへちんまりと包まれた儚く上品な甘さのあんに香る味噌の風味が後ひく心地よさ。
これならひとつと言わず、一緒にこしあんも買えばよかったかな。
いやいや、こういうのはひとつを大切に食べるのがいいのだ。水羊羹をいくつ食べたなんて自慢は馬鹿のすること、もうひとつ食べたいところをぐっとこらえるのがいいと向田邦子も言っていたではないか。
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Comment
そんなこと、ありません。
むしろ、町のお菓子屋さんへ寄ったときの方が、心置きなく個買いしてます。ものによりますが包装簡易で、気楽な印象。これは、微妙な都会住み所以かもしれませんが。
でも、都内のどら焼きが有名なお店でも、すぐ頂くので!と散歩中テイクアウトしたことがある。
旅先でもやりますので、これは個人の気質なんでしょう。
kyokoさん
そんなことない、ですか。
確かにその場で食べちゃうときは団子でもコロッケでもひとつ買いが基本なのだから別に買い難いものではないですよね。
実はパン屋でもひとつだけ買うのが苦手なのですが、それは単に目移りしているだけなのではないか疑惑もあります。ひとつだけ買いたい、といいつつ、本心ではあれもこれも食べたいと欲張っているだけなのかも。