同じものばかり、こんなにたくさんいらないのに。
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最終更新日:2017/04/13
生き方と考え方
早いもので引っ越してから半年が経過しました。
途中1ヶ月ほど家を空けていたので正確には半年過ごしたとも言えませんが、細かいことはいいとして。
以前の住まいよりもご近所散策が楽しいエリアだということもあり、普通の日々がそれなりに充実しています。
半年経っても街の全容は掴めない
とても気に入っていた部屋を出た理由は単に放浪癖によるところもありますが、それ以上に大きかったのはご近所問題。
私の場合、いくら「箱」自体が理想的でも、周辺環境に物足りなさがあれば住まいとしての満足度は低めになるのだ、と改めてわかりました。
現在の住まいが箱、周辺環境共にパーフェクトなわけではないし、そもそも100点満点など存在するのかどうかもわからないけれど、週末が近づくと、さて、土曜の昼間は時間ができそうだからどこかご近所で昼飲みでも、などと考えたくなるのはやっぱり嬉しい。
酒の話ばかりですみませんね。
しかし半年も経てば周りの街並みや環境、好みの店などはすっかり把握しきれると思っていたのに、先日も徒歩5分の位置に気になる店を新たに発見したりして驚く。ご近所は満遍なく練り歩いたと思い込んでいたら、まだまだ開拓できていない小道があったとは。
などとおよそ人生に大きな影響のないであろう小さな発見を積み重ねるのがなんとも楽しいのです。
ご近所で買い物をする面白さ
そういやこの間、味噌を買いまして。
ここ数年、味噌の調達はスーパーかデパ地下かネットかだったので、街の小さな味噌屋さんで味噌を買うなんて本当に久しぶり。いや、もしかしたら親にくっついて買い物に行っていた幼女時代以降、大人になって自発的に足を運んだのは初めてのことだったかもしれません。
だからでしょうか、味噌屋作法がまるでなっていない私は味噌屋さんに入るや否や
「こんにちは、味噌が欲しいのです」
などととんでもないことを口走る始末。あのね、ここ味噌屋。
関連 こんにちは、の先制打。
そんな珍客を店のお兄さんは邪険にすることもなく、丁寧な説明と共に数種類の味噌を試食させてくれたおかげで無事好みの味噌を入手することができました。
その週末、これまた近所の居酒屋で夕方から一杯やって帰宅する途中でなんとなく小さなパン屋に吸い込まれる。
もうそろそろ閉店という時間だったので残ったパンがカウンターの一角に集められておりました。そこからいくつか見繕ってレジに差し出すと、閉店前だからおまけにひとつあげる、とお姉さん。
あらそう?なんだか悪いわねえといいつつ、どれを頂こうかと迷う。せっかくだから何かおすすめしてくださいな、とお願いすると、あろうことか三色パンを袋に追加されました。
三色パンて。
具沢山のサンドイッチやら、フルーツをたっぷり使ったデニッシュやら、小麦の香りが漂うハード系やら、魅力的なパンがまだ残っていたのにあろうことか三色パンて。
お姉さんのチョイスに正直落胆しつつも、サービスはありがたく受け止め帰宅。
しかし後日、私は甘さ控えめのこしあんと卵感満載のカスタード、やけにこっくりと濃いチョコレートクリームがぎっしり入った三色パンを求めて件のパン屋に駆け込む羽目になるのです。
三色パンに反省する
通常は絶対に手を出さない三色パン。もっと他にあるでしょうよとがっかりした三色パン。しかしやたらと重いなあと思ったあの三色パンが、まさかこんなに美味いとは。
後日改めて買い求めてわかったのですが、あの時残っていたどのパンよりも三色パンは高級品だった。なるほど、一番高価で、そしてきっと自信作でもあるからこそすすめて下さったのだな。と、自分の中ではたいそう地味な存在であった三色パンを咄嗟にバカにした己の浅はかさを反省したのでした。
こんな毎日を送っていてふと思う。なんてことないこんな普通の商店でのやり取りすら、都会ではもはや貴重な体験なのでは、と。
いや、私だってチェーン店は便利にありがたく使います。ミラノサンドの完成度だって普通に評価してますよ、ただしAに限る。けれど、大手コンビニでさえあれよあれよとオセロのごとく同じ色の看板にすり替わっていく様は寂しいを通り越してなんかもう怖い。このペースで増員するなら数年後には私もEXILEになっているのでは、と怯えるしかなかったあの感覚に似て怖い。
道を挟んで徒歩数秒の位置で、同じコンビニが向かい合う。ひとつの駅の南口と北口に同じコーヒーショップがある。駅前にはさほど品書きに個性のないファストフード店が軒を連ねている。そのやたらと便利で不気味な景色。
チェーンが悪で個人店が正義という訳ではもちろんありません。
個人店でもどうにも救いようのない店なんて山のようにある(もしかしたら、そっちのほうが多いかも)けれど、好きだなと思えるご近所店は例え少々不便だろうが、品揃えが薄かろうが、少しぐらい高かろうが、そこに存在してくれているうちに地道に通おうね、と、自分に確かめながら就寝す。
明日も早起きして、ご近所徘徊するかな。
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