こんにちは、の先制打。

公開日: : 最終更新日:2016/07/15 生き方と考え方

改めて告げるまでもないのですが、割と単独行動が得意です。

関連 40代は一人旅に向いている。

独身一人暮らしのフリーランスとくれば孤独に強くなければいろいろ不便なのでこうなるのも自然の流れと言えばそんな気もするけれど、そもそも一人上手は生まれつき。というか、物心ついた頃にはすでに一人時間の心地よさを知る幼児でありました。

まあ裏を返せば団体行動が苦手なだけですが。

それでも大人になってから身につけた一人行動の知恵もあるよなあと思うのです。

こんにちは、の先制打

というのも最近気がついたことですが、私はなんだか

「こんにちは」

を上手に使えるようになっていた。

いや、もちろん「挨拶としてのこんにちは」は子供の頃から使っていたし、なんならこんばんはとかおはようございますを使い分ける程度の器用さは持ち合わせておりました。が、ここへきて改めて先制打としてのこんにちはパワーに感心しているのです。

例えば。
一人行動の難易度の高さで言えばそこそこのレベルにある個人店での一見一人酒。チェーン店とか外から中の様子が伺える間口の広いカフェやバーなんかと違って、全くその色合いが汲み取れない初見の店に乗り込んでいくのはそれなりに勇気がいる行動と言えましょう。中には一見さんお断りとか、女性一人客は入店禁止、なんてとこだってあるし。
見知らぬ店の引き戸をガラッと開けた緊張の一瞬。店主こっち見る、なんなら客も見る、あ、ちょっと間違っちゃったかな、と思ってもおずおずと引き下がることはできない。そんな張り詰めた場面で威力を発揮する言葉が他ではない

「こんにちは(元気よくそしてさりげなく)」

なのです。

例えば。
新たに発見した酒屋(例えが酒ばっかりですみませんね)が外から見ただけでは方向性がわからない場合もままありまして。卸特化型なのか個人客ウェルカムかどうかも不明。けれど、どうしても入って日本酒の品揃えを見てみたい。そして残念ながらめぼしいものがなかった場合、買わずに店を出るのは気まずいからと別に欲しくもないワンカップか何かを適当に買うような中途半端な態度は避けたい。そんな躊躇いすら一瞬で吹き飛ばしてくれる言葉こそが

「こんにちは(あくまで正しくしかしこなれた感じで)」

なのです。

あれ、わかりにくいですかね。
何といいますか「こんにちは」って凡庸な挨拶と見せかけて実は開戦の合図に使うにはものすごく便利で大人っぽい言葉だったのだなと。開戦って別に喧嘩売ろうってわけじゃないんですが、なんかこう、見知らぬ場所でも自分のペースを保てるフレーズとしていつしかこんにちはを愛用するようになっていたな、と、ふと気づいたのであります。

大人こんにちはのデビューはいつだ

なんてここまで書いておいてそんなことは普通人生のかなり早い段階で気付くのではなかろうかという疑念が頭を擡げてきました。
40過ぎたいい大人がこんにちはってすごいよね、居心地の悪いアウェーゲームを一気に優しさに包まれたホームに変える力を持っているんだよ、などと興奮して語るようなことではないかもしれない、と。

どうなんだろう。
世間の人々は特に意識せず自然にこんにちはを使うのかしら。

私、若い頃は使わなかったよこんにちは。店に入っていらっしゃいませ、って言われてもどうもとかにこりとかうやむやにやり過ごして用事があればすみません、って声かけてた。でもある時から「すみません」が妙によそよそしくなってきて、その代わりこんにちは率が高まったような。あと、メール冒頭のお世話になっておりますも極力避けるようになったなあ。そしてごめんください、はまだ時期尚早な気がしているのです。

毎度どうでもいい話ですみません。
でも、最近ホントにこんにちはの持つなんとも奇妙な頼もしさを実感していて、もしも一人で店に入るのが苦手とか所在なさげになるなどとお悩みの方に是非ともこんにちはを繰り出してみていただきたいと思ったのでした。

 




関連記事

人目を気にせず、一人で食べたい。

どこか秘密基地っぽさのあるテーブルは、子供がよろこびそうなつくりではありませんか。 フ

記事を読む

犬のこと。

犬派か、猫派か? などという話題がたまに出ますが、私は犬も猫も好きです。でも、どちらか選ぶ

記事を読む

令和初の年越し、昭和との戦い。

2020という整然とした4桁の並びはどうにも座りが悪いし、2年と言われるといつの間に、と思う

記事を読む

うるさいアイツを黙らせる謎の瞑想。

かれこれ8年も前から瞑想に興味を持ち続けています。なんなら、チェンマイまで行ってますから。

記事を読む

大人に慣れると役に立つ。

「顔、ぜーんぜん変わってないね」 先日、久しぶりに会った小さいお友達にそう言われたの

記事を読む

一人暮らしの休日、10連休の憂鬱。

ゴールデンウィークが終わったら、今年前半のお楽しみは終了ですよ。 取引先の女性の発言の

記事を読む

私、やりたいです。その眩しさと、ある仮説。

【前回のあらすじ】 ある日ふと出会って突然恋に落ちるという憧れの体験した人物を目の当た

記事を読む

気が合わない、嫌いな友達との付き合い方。

昨日、帰宅途中に自宅付近で妙な場面に遭遇しました。 80歳前後の女性が 「あのク

記事を読む

腹が痛くなるまで笑っていない。

とんでもなく愉快な様子や爆笑するさまを表す言葉に、腹を抱える、腹が痛くなる、腹がよじれる、

記事を読む

大人がざわつく理由。

西側の友人から返ってきたメッセージに添えられた、割れた瓶やグラスが床に散乱する写真を見て、背

記事を読む

Comment

  1. kyoko より:

    すごーくわかります!
    確かに若い頃は使ってなかったですね、「こんにちは」
    単独行動してましたけど、すいませーんとかが多くて、こんにちはの威力を実感し始めたのは、ここ最近です。
    酒屋さんでも、こんにちは、ちょっと見せてくださいね〜から始まって、角打ちもあります情報教えてもらったりとか。

    しかし、使い分けはまだまだできてへんですね〜

    • crispy-life より:

      kyokoさん

      おおお、共感していただけるなんて嬉しいです!

      そうなんですよ、今では多用しているこんにちは、よくよく考えたら若い時はこんな風に自然には発せなかったよなあと気がついたのです。恥ずかしがり屋さんの私はお店の人と仲良くなったりすることはまずないので挨拶だけしてもくもくと呑んだり見たりして去るだけ、なのですが、それでもこんにちはテクが身についたのは大きいなあ、なんて。

      使い分け、私も学んでいきたいです。

  2. kijitaro より:

    あー、私も若かりし頃は「すいません」でしたね~。
    「こんにちは」から入って「暑いですね~」とか言えるようになったのは
    40過ぎてからでしょうか。それでも大分前だわ。
    あと、気に入るものがなかった時に「ありがとう」と言って
    店を出てこれるようになったのも年の功ですかね。

    • crispy-life より:

      kijitaroさん

      そうそう、「すいません〜」だったんですよね、その昔は。

      何かがきっかけになったわけでもいつからか意識して変えたわけでもないのに気づけばいつの間にかこんにちはを使っていたのが不思議だったのですが、案外そういう方は多いのかもしれません。店を出るときのありがとうしかり、ですね。

  3. ASA より:

    crispyさん、はじめまして。
    私も40代でフリーランス、一人暮らしの身です。
    引越しを考え始めて物を整理するにあたり、参考になるブログを探してこちらを見つけました。料理やお酒の好みも近いので、レシピも参考にしています。

    「こんにちは」の効用、わかります!親しくなりたい
    わけじゃないけど、相手をムダに緊張させたくないのかも。昔はガードがかたかったので(苦笑)、やはり最近できるようになった気がします。

    では、これからも更新を楽しみにしています!

    • crispy-life より:

      ASAさん

      コメントありがとうございます。

      >親しくなりたいわけじゃないけど、相手をムダに緊張させたくないのかも。

      あああ、確かにそれもあるかもしれません。一人だから構ってあげなきゃ、と思われるのが苦手なのでさりげないこんにちは、は「どうぞお構いなく」的な要素も含んでいるような気がします。なんかややこしいけど、何気なく使っているこんにちはひとつにもいろんな思いを込めているのかもしれませんね。

      これからもどうぞよろしくお願いします!

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

50代一人暮らしの1ヶ月の支出。老後に備え、いかにして小さく暮らすか。

現役世代のゴールがちらりちらりと見えてきた50代。友人知人と

腰痛改善に向けて始めたこと2つ。

今年こそは腰痛改善に取り組むぞ!と宣言して早1ヶ月が経過。や

ご近所感覚の酒場を求めて。韓国ソウル一人旅で食べたもの・その2

韓国・ソウル食記録の続きです。1人で飲むなら、定食で。韓国・

やりたいことリスト’24「ちゃかし倒してゲームする」

毎年恒例の儀式・その2「やりたいことリスト」のお時間がやって

2023年、買ってよかったものベスト3。

1年間の買い物を振り返る恒例行事、今年もいってみましょう。

→もっと見る

PAGE TOP ↑