夜景をチラ見で地獄どうふ。大阪新世界はしご酒ツアー後編。
大阪新世界はしご酒ツアー、後編です。
関連 新今宮から通天閣を歩く 大阪新世界はしご酒ツアー前編。
スマートボールで遊んで外へ出るとすっかり夜。せっかくだから、高いところからの夜景でも見ましょうか。
というわけで、日本一の高層ビルまで移動します。
18:45 あべのハルカスで夜景をチラ見
天王寺方面に燦然と輝く都会的な高層ビルは高さ300m。「ビル」の形状としては現時点で日本一の高さを誇るあべのハルカスまでは現地点から徒歩15分。
道すがらにあったドンキホーテの店頭に水槽を発見。
立派なウツボの勇姿にしばし興奮し、先へ進みます。
あっという間に天王寺駅前。
あべのハルカスの低層階は近鉄百貨店などの商業施設、中高層階はホテル客室、最上階は展望台となっています。
展望台までは登らず、18Fにあるチケット売り場フロアにて夜景をチラ見しようという作戦です。
18Fから見る大阪の景色、なかなかいいじゃないですか。
天王寺、か。久しぶりにこの地に立てば、蘇る古い冬の記憶。
そうそう、仕事で変なコスプレさせられて、百貨店の屋外イベント会場に放り出されたことあったよなあ。変な、ってお色気方面じゃなくて本来の意味で変なほう。オカシイほう。寒空の下でオカシな格好をして、退職の二文字が脳裏を過る。
ちょっともう、辞めたいかもしれません。とかなんとか意思は伝えたはずなのに、以降社内で色物担当社員となった私。コスプレのみならずヅラやぬいぐるみなど一連の被り物を経験することとなったのでした。なんだったんだ、あの仕事。結局毎度被ってしまう私も私だけど。
断らず果敢に被り続けるスタイルを貫いたからこそ、今の自分があるのだ。とは、1ミリたりとも思えません。
19:00 3軒目 種よしで地獄どうふ
夜景を堪能しつつ甘酸っぱい感傷に浸った後は、もう一軒参りましょう。
「食べられないほど辛い豆腐を出す店があるらしい」
とのたまいながらスマホ片手に目当ての酒場を探り当てようとグループを先導する友人に
「食べられないものは食べたくないのだが」
と苦言を呈する残りメンバー。
そういうおもしろ系の店はあんまり好みじゃないんですけど、この人たまたま今日誕生日だし、まあ付き合いましょうかね。といういささか重めのノリにてたどり着いたのはハルカスから徒歩5分、商店街の路地にある酒場、種よし。お、ここも立ち飲みですね。
なんというメニュー数。壁貼品書愛好家としては隅々まで熟読せずにはいられません。
友人の話から勝手におフザケ系酒場を連想してしまっていたけれど、品書きの様子から判断するに、そうではなさそう。
なんかちょくちょくおかしなものも混じってますが、秋田のぎばさや福井のへしこ、熊本からはからし蓮根など、日本各地の名産品や珍味がずらり。一軒で全国美味いものツアーが敢行できそうな迫力の酒場なのです。国内のみならず、フランスとかドイツとかアフリカとか国外から上陸したつまみも多数。こんな小さな店で、このメニュー数を捌けるのが凄すぎる。
で、友人のお目当ては地獄どうふなる品。オーダーすると
「何丁?」
と聞かれたのでそんなに豆腐何丁も食べられないよね?と、1丁でお願いしたのだけど、よくよく考えれば量じゃなくて辛さレベルを問われていたのでした。5丁が辛さのトップレベルってことね。
これが地獄の1丁目。どうしても真っ赤な粉唐辛子に目が行きますが、辛さの実権を握っているのはてっぺんに乗っている青唐辛子。1丁は酒のつまみとして普通に美味しくいただけるレベルの辛さでした。青唐辛子の量がガツンと増えるらしい5丁は辛さ耐性のない人には相当キツいんではなかろうか。
最近は大阪でもバイスが飲めるのね。
カウンター内からなぜかイモリを激推ししてくる店員さんとグラスが空いた瞬間に背後から追加オーダーを取るべく現れるDr.K似の店員さんに戸惑ったり感心したりしつつ、ポテトサラダやぬたで野菜を摂取。旨いじゃないか。
バイス片手にメニュー解読と人様のオーダーチェックに余念なき我々のお隣には、オーストラリアから来たというカップルの姿が。大阪らしい酒場の空気を満喫して上機嫌な彼らに
「ポテトサラダって、日本語ではなんていうの?」
と質問されたので
「ポテトサラダ(→→→↑→↓)」
とネイティブ関西イントネーションの合唱にて答えると、やたらとウケました。我らの奇妙な発音を真似しながらオーダーを試みるその意気やよし。
しかし初めて来た国で、土地で、敢えてこういう店を選ぶって相当旅センス高いよね。見習いたい、その嗅覚。
餅が入ったフランスのコロッケなどという可愛らしいつまみも食べたけれど、最終的には勢い余ってイモリにも手を出す我々なのでした。(写真自粛)
ここ、居心地良いし、面白い。また来たいぞ。
最後に店の外(!)で会計を済ませると、女将さんが火打ち石で切り火を切って下さいました。時代劇とかで奥方が旦那衆にいってらっしゃい!ってな感じでカチカチやる、アレですよ。
ふらりと立ち寄った天王寺の立ち飲み屋でまさかの火打ち石初体験。年明けすぐだったから験担ぎ的なサービスだったのでしょうか。突然のことに驚いたけれど、ものすごくうれしかったです。
21:30 4軒目 新梅田食道街 とり平で最後の寄り道
種よしがやけに楽しくて思いの外長居してしまったので、新世界ツアーはこれにて終了。環状線に乗って帰りましょうね、と見せかけて、途中ちょっと寄り道。
大阪駅で途中下車して、ちょろっと梅田を散策です。
阪急梅田方面に行ってみる。
子供の頃、梅田といえばこの「動く歩道」だったなあと、未だに思い出す。大阪は階段になってないまっすぐなエスカレーターがある不思議な街だ、やっぱり都会だからかしらん。とかなんとか子供心に考えていたけれど、今調べてみたら日本で最初に動く歩道が設置されたのは1967年、ここ阪急梅田駅だったのですね。そうかそうか、そうだった。どおりで強く記憶に残っているわけだ。
JR大阪駅はすっかり新しくなったけど、阪急梅田駅周辺はあんまり変わりませんな。
変わらないといえばここ、新梅田食道街も変わらない。「食堂」じゃないよ「食道」ね。
久しぶりだなあと中を通ってみると、大好きな店、大阪一とり平で空き席を見つけ、思わず入店。1952年創業の老舗焼き鳥店です。
お通しとして出される合鴨を堪能した後は、一切合切お任せで適当に焼いていただくことにします。遅い時間に来ちゃったので、残っているネタも少なかろうと。
まずは赤星で移動時の乾燥を潤しつつの、ハツ。こちらではドンドンという名で通っております。
ミンチにはレモンを絞って。
その後は燗酒にシフトして、基本の焼き鳥。ネギじゃなくてピーマンが挟まってるんですよ。
改めて写真を見ると、いずれもなんと美しい串でしょう。私が基本小ぶりな焼き鳥を好むのは、この店の影響が大きいかもしれない。ボリュームのある串もそりゃあうれしいけども、こう、口に運ぶ時の気軽さとか、噛みしめるのに適度なサイズ感ってものがあるじゃないですか。バランスという概念を考えれば、大は小を兼ねないのだ。
椎茸かも巻き。お腹いっぱいと言いつつ、出されたら出されるだけ食べてしまう恐ろしさよ。
思いつきで梅田に寄り道したおかげで、好物の焼き鳥を食べられて大満足。またちょくちょく足を運びたいものです。
この後、電車に乗って神戸に戻り、最寄駅にたどり着いたのは深夜0時。スタートからゴールまで、およそ半日を費やした大阪ツアーでした。寒かったけど、いっぱい遊んで満足度高し。ごちそうさまでした。
今思い返すと楽しかった記憶はあれど、誰が何したとか何話したとか細かいところは既に忘れてしまっている。しかしはしご酒なんてものは楽しい記憶があるならそれで十分、万々歳であります。
またこんなツアーを企画して、億劫がらずに出かけよう。何しろ今年は立って飲む年だからね。そりゃ私だって座れるもんなら座りたいけどね。
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