一人飲茶を堅尼地城で楽しむ 香港一人旅で食べたもの その3。
年末から続いていた香港一人旅記録、今回がラストです。
ローカルな食堂狙いが多いいつもの一人旅とは違って、今回はホテルのラウンジで飲んだり、テイクアウトを活用したりもしましたが、香港ならではの食事も楽しんでまいりました。
香港に来たらやっぱり、一度は飲茶したいよね。
早朝3時開店 新興食家で朝の一人飲茶
昼や夜に外食するとなるとどうしても酒を飲んでしまうもので、お茶と点心を楽しむ飲茶は朝にいただくことに。しかも、まだ薄暗い早朝、トラムの始発に乗るという気合の入りようです。
早朝5時台のトラムがかなり混んでいて驚く。みなさんお仕事へ向かわれるのでしょうね。
さて、私が目指すのはトラムの西側の終点、堅尼地城。
目当ての店の営業時間は早朝3時から午後4時まで。ならば開店すぐに、とも思ったのだけれど、まあそこまで頑張らずとも始発でいけばいいじゃないと思い直したのでした。
反射して見えにくいけど、営業時間も書いてますね。いざ入店。
早朝6時というのにこの混雑。ほぼ満席の店内でひとつだけ空いていた入り口すぐのテーブルにとりあえず座ってみる。座ってみた、けど、おねえさんは全然構ってくれない。ガンガン目があってるし、気付いている気配はするけれど、軽く放置。これはこちらから何かアクションを起こすべきなのだろうか.。
この店のお作法を確認すべく他のテーブルの様子を伺っていると、会計を済ませたおじさまに
「こっちの席に移動しろ」
と、身振り手振りで導かれ、さっきまでこのおじさまが座っていたひとつ前の席に移動。すると店のおねえさんがすぐさま片付け&私のセッティングに来てくださったのでした。ありがとう、見知らぬ兄貴。
上手にできないなりに、人真似しながらぎこちなく湯飲みや箸を洗う洗杯(サイプイ)を。その昔は文字通り衛生面を考えて「洗って」いたようですが、キレイな食器が準備されている現代では儀式的な要素が強いのでしょうか。丹念に洗っている方と、洗杯の容器はいらないよ、とあらかじめ申告(多分)している方が見受けられました。
そうこうしていると、私の正面に爺さんが着席。相席ゆえ私と同じタイミングで茶が注がれたので、あとはこの爺さんに習って店のリズムを掴めばいいや。などと思っていたのですが、爺さん動かざること山の如し。茶を飲むことすらせず、ただ目を閉じてじっと座っている。瞑想しに来たのかしら。
奥ではせっせと焼売やら餃子やらを包んでいる様子が伺えるのに、蒸し上がりが回ってくることはなく、相席爺さんも、他の卓の客もオーダーしている様子もない。あれえ?どういうシステムなのだ?
などと茶をすすりながら呑気に見学していると、ようやく蒸籠を重ね持ったおねえさんがやってきた。中身は何かよく見えないなあ、肉の蒸したヤツ、かな?と、覗いたところで爺さんこれを素早く選択、お姉さんに何かを告げました。山が、動いた。
爺さんはご飯をオーダーしたようで、先ほど取った肉らしきものを乗せどんぶり状に整え、ワシワシっとやって風のように去って行きました。なるほど、そういう使い方もあるのか。
などと感心しつつ回ってきた蝦餃をもらう。
飲茶って、複数人数で来てワイワイ話しながらざぶざぶ茶を飲む、みたいなものなのかと思ってたけど、ここはほとんどが一人客。爺さんはモーニングどんぶりだったし、見るからに大食漢といった感じの体格のいい若者はちょっと心配になるくらい叉焼包を連打し続けている。ただただお茶をすすっているだけのご婦人もいるし、へえ、香港の人にとっての朝の飲茶ってこんな感じなのか、と新鮮な発見。
高級店のワゴン飲茶とか大箱宴会場みたいな店とか、今までも飲茶の店には何度も行ってきたけれど、こういう普通の朝ごはん的飲茶体験は初めて。
そして蝦餃が旨い。香港に来てから海老ばっかり食べてる気がするけど、旨い。
店内奥のキッチンだけではなく、入り口すぐのレジ横にもこのように蒸籠が重ねられていて、ここから選んでテイクアウトをしていく人も多かったです。私もちょっくらお宝探し。
焼売を取る。これもかなりよい。
焼売をハフハフしていると、入店してきた若い男性が突然相席のご婦人に干しエビのプレゼンテーションを始めたので驚く。ご婦人が買いたそうにしていて、これまた驚く。
みなさん顔なじみなのか、それとも初対面なのかよくわからないけど、早朝から老若男女がガチャっと集うこんな場所、日本にはあんまりないなあ。ああそうか、日本は朝食を毎日外で食べるという文化がないからか。いやいや、勉強になりますね。
お茶もお代わりしてかなりゆっくりしたけれど、朝だし、点心4つ入りだし、結構デカイしであまり食べられず。毎日通えるなら今日の気分の蒸籠を選べばいいけれど、こちとらごくたまにしか本場の飲茶を味わえない旅行者。一人だとあれこれ食べられないのが悔しいところですが、楽しかったので満足です。また香港に来る機会があったらここでの飲茶に再チャレンジしたいなあ。お会計は70HKD(=約1,050円)くらい。
食後は海沿いを散歩。
なんという清々しい朝。早起きした甲斐がありました。
- 新興食家
甘味類、そして行けなかった気になる店たち
どうしても飲酒に偏りがちなので、香港スイーツ的なものはあまり食べなかった今回。でも、「餅家」の看板が目に入るとうっかり引き寄せられてしまいます。
ヴィクトリアパーク付近で買ったエッグタルトとチキンパイ。香港のちょっと粉っぽい食感のタルトやパイって、結構好みなのです。ふたつで18HKD(=約270円)だったかな。
初めてのソルティエッグタルト
SOHO散策時にふらっと入った餅家でも餅を買う。
定番の老婆餅(wife cake)と、salty egg tart。ソルティエッグタルトって、エッグタルトのエッグ部分が塩味なのかな?などと勝手に想像して、現物見ずに表示だけ見て買ってびっくり。これ、塩卵がそのまんま中に入ってるんですね。初めて食べた。
- 泰昌餅家
懐かしい甘さのカステラ
こちらは西營盤散策中に目に止まったカステラのショーケース。店内が若者で異様に繁盛していて、みんなこのカステラでお茶を飲んでいるように見えたので、へえ、今の若い人もこういうシンプルなお菓子を好むのね。なんて思っていたのですが、違った。ここ、カステラだけじゃなくてお汁粉などの香港デザートがいろいろある甘味の店だった。
ひとつ8HKD(=約120円)のカステラも、素朴な美味でした。ちょっと懐かしいような、ほのかな甘味。
- 源記甜品專家
ワインのお供に甘いパン
こちらはホテルの近くのオシャレ系ベーカリーショップ。もしや外資系ブランドかしらとざっと調べてみたところ、香港のベーカリー、なのかな?
カラメルカスタードクリームバケットなどというやたら甘そうなパンを買ったのは、既に酔っていたからです。ホテルで赤ワインのお供にしました。かなり甘かったけど、これがなかなか。しかしデタラメな飲み方してるなあ。
- PAPER STONE BEKARY
皇后街熟食市場が気になる
ホテルの近くには皇后街熟食市場なる楽しげなフードコートがありました。中華はもちろん、イタリア料理、タイ料理、インド料理などの店が入っています。
ランチタイムにちらっと下見して、ここ、楽しそう!と目をつけていたのに、結局ここでは食事ができず。酒も飲めるらしかったのに、タイミング合わずで残念無念。その他、ホテルの目の前の蓮香居というレストランの飲茶も評判がよろしく気になりました。
なんだかんだでホテル近辺で楽しめた今回。上環を拠点とした香港一人旅、これはよい選択だったかも。
以上、ダダダ〜っと駆け足でお送りした香港一人旅の食記録でした。
しかし香港は何回も来ているとはいえ、今回の旅記録は見事に散歩と食と酒ばっかりですな。まあこういう何にもしない、ちょっともったいないような旅が、一番好きなんですけどね。
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Comment
なんて素晴らしいラインナップ。
ここの飲茶はいまだ行く機会がなく、いつかのお楽しみです。
オサレ風パン屋さんはウエスタンマーケットの斜め向かいですね。
熟食中心のイタリアンは有名ですし、隣のカレーや潮州料理のお店もなかなか渋いです。
源記、古くからある香港スイーツのお店です。
杏仁茶(ここのは杏仁霜かな)は喉にも良いですよ。
甘いスープの中にゆでたまごがごろんと入っている、日本人的にはぎょっとするものもあります。
オフィス近くのエリアで知ってるお店が盛りだくさんだったので
ついついコメントしてしまいました。またいらしてくださいね。
leiさん
リアルな香港をご存知のleiさんにそう言っていただけるとなんだかうれしいです!でも、実は書いていないところでそれなりにハズレも引いてしまっているのですよ〜。全問正解というわけにはなかなかいきませんが、それでも今回の旅でようやく香港の食とちょっとお近づきになれたような気がします。
今回散策したエリアがとても気に入ったので、また機会があったら上環を拠点にうろうろしたいなあ、今回行けなかった店にも行ってみたいし、などと、leiさんブログでカラフルなトラムの写真を見て思ったのでした。