モノを所有しない時代の稼ぎ方。
最近は映画やテレビドラマ、音楽、書籍や雑誌に至るまで見放題、聴き放題、読み放題の定額制サービスが増えましたね。
私もそれなりにお世話になっております。
この手のサービスはちょこっと気にはなるけれど優先順位が低く後回しになってしまう作品に触れる機会が増えるのが醍醐味かしら、などと思いつつ、アーティストにきちんと利益還元されるシステムが構築されているのかは常に気になるところ。
誰かの労働力やクリエイティビティの搾取を前提として成り立つお得感なんて嬉しいものではないですからね。
音楽が有料だなんて酷いと思います
しかしながら「音楽は無料でダウンロードできるもの」という感覚で育った世代にとっての定額制サービスはまた異なる存在のようです。
関連 定額聴き放題は「音楽=タダ」論を覆せるか(東洋経済)
「音楽はタダ」という認識が若い世代を中心に広まり、有料で音楽を聴く層は年々減少している。LINEは無料のお試し期間終了後に、ネット上で「ケチ」「なぜ有料なんだ」と批判されたほどだ。
これ、去年あたりに結構話題になってましたね。有料の音楽聴き放題サービスを提供する企業に対して金の亡者とかありえないとかお金のない人のことを考えて欲しいとか、結構アレな批判があったようです。
いやいやいや音楽=タダという言い分はおかしいでしょうと思うものの、LINE利用者の半数以上は30歳以下の若い世代。能動的に音楽を聴き始めるのが中学生くらいからと考えると、今の25歳が中学生の時には既にYoutubeがあったわけですからね。Youtubeの歴史はまだ10年程と意外に浅いのだけど、Youtubeで好きなアーティストのMVを無料で視聴するのが当たり前として育った世代とそれ以前の世代の感覚に隔たりがあるのは無理もない話かもしれません。自分で使えるおこずかいの少ない中学生や高校生ともなればなおさらでしょう。
音楽はタダで聴けるものである。
もちろん全ての若者がこの感覚を持っているわけではないし、我々世代でもフリーライド志向が強い人はいます。けれど、やはり育った環境とか時代感というものが人生に与える影響は強いなあと。私なんか青春時代ガチ昭和でレコードからカセットテープ編集しまくった世代ですからね。未だにアルバム曲から1曲だけを購入するという感覚に馴染めず、なんならA面のラストとB面の1曲目のチョイスが命だとか思ってるフシすらあるから恐ろしい。
時代が変わればお金の行き先も変化する
さて、別にエンタメに限らずどんな業界でも時代が大きく動く時には混乱があるのは当然のこと。この数十年の間にも写真はやっぱりフィルムで撮らなきゃ、文章はワープロに頼らず手書きすべきだ、食事は全て手作りが基本、なんて、今は昔となった「普通の感覚」はいろいろありましたからね。
それなりのお金を出さなければ手に入らなかったモノやサービスが無料、または安価で使えるようになると、浮いたお金はまた別のところへ流れていく。初期費用が7万円も必要だった固定電話の一般利用は近年めっきり減少したけれど、スマホに毎月7~8,000円支払っている個人は少なくない。今やモバイルゲームの世界市場はなんと250億ドルらしいですよ。クラクラ。90年代以前は携帯電話なんて誰も持っていなかったのにね。
こうして決して少しづつとは言えないスピードで消費傾向やお金の使い方自体が変わっているのを肌で感じる今日この頃。そして各種ポイントサービスや仮想通貨もどんどん一般化しておりキャッシュそのものの持つ意味合いさえも変化している。
となると、使い方だけじゃなく、稼ぎ方も変わっていくのでは?なんて考えるわけですよ。
キャッシュ以外の何かを「稼ぐ」
従来の感覚でいえば稼ぐ=現金(キャッシュ)で、キャッシュを得るために働くのが当たり前。現代社会を生きていくにはキャッシュは絶対に必要なので稼ぐ=キャシュの構図が今後直ちに変わることはないにしても、また違った概念が生まれていくのだろうなとも思うのです。
関連 もう十分豊かな時代なのだから、必死に働かなくてもいいのでは。
各個人や家庭単位であらゆるものを所有・管理するスタイルからシェアやレンタルを利用して生活コストや管理の手間を削減し、暮らしをシンプルにしたい、物質主義から自由になりたいと考える人は今後もきっと増えるでしょう。
とにかく多くのキャッシュを稼いで多くのモノを所有するのが人生のゴールではないと誰もが気付き始めている今、個人が自分の時間や技術、アイデア、スキルを使ってキャッシュ以外の「何か」を稼ぎ、キャッシュ以外の「何か」で支払いが成立する世界は静かに始まっているのだろうな、と。
その「何か」は信頼か、人望か、はたまた物々交換的なものなのか。種類は無数にある気がします。
あれ、また話が混沌としてきた。そうそう、音楽配信定額サービスの話をしてたのでした。
レコード、CDという形あるモノで売るスタイルがどんどんなくなり、ダウンロード方式すら聴き放題サービスに組み込まれる。今後も音楽業界のマネタイズ方法はどんどん変わっていくのだろうけど、それでも絶対にライブという「体験」の価値は残るのではないでしょうか。いや、ここもどんどんVRになって、ライブが有料なんて酷いと思います、になるのかしら。
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