欲しいモノがない時代 生き方が最後の商品になる。
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最終更新日:2018/03/15
ミニマルライフ
旅先で何か素敵な出会いがあればケチらず迷わず手に入れます、と言っていた先月。
関連 旅のファッション 荷物を少なくするため洋服は現地調達すべし?
結局旅先で買ったものはお土産も含めて使ったらなくなるものばかり。洋服や雑貨との出会いは残念ながらありませんでした。
おもしろそうなところはたくさんあったのでそれなりにショップ巡りにも時間を費やしはしたのですが、致し方なし。私はともかく、一緒に行った友人もお土産以外は殆ど買っていませんでした。
欲しいものがない 物欲のなさは好奇心減退の証か

By: Güldem Üstün
私が20代の頃、40代になった先輩がある日
「なんだかもう欲しいものはないなあ」
と呟きました。
まだまだ若かった私はその言葉を聞いて、いつもおしゃれで趣味は爆買いの先輩がそんなことを言うなんて、とちょっと寂しくなったのです。そして
「そうか、40を過ぎるとどんな人間も服や買い物になんて興味がなくなっていくのだな、年齢が上がるにつれて欲や好奇心ってのは失われていくのかしら」
などとも考えました。
結局その先輩がなぜそんなことを言ったのか、その発言の真意はどこにあったのかは今となってはもうわかりませんが、最近はなんとなくその気持ちがわかるような気がします。
せっかく海外に来たんだから何か記念になるものを、何か今季らしいアイテムを、何かちょっと珍しいものを。
そんな風に自分でもよくわからないままにとりあえず「何か」を手に入れるのではなく、ちゃんと欲しいものを手に入れたいという新たな「欲」が出てきたからこそ、あれもこれも欲しい、とは思わなくなったのではないか。年齢のせいで好奇心が失われたのではなく、年齢を重ねたからこそある意味モノや買い物に対する考え方が「成熟」してきたのではないか。
モノを持ちたくないとか無駄なモノは買わないようにしているとか、そんなスタイルとは無縁の友人がせっかく来たから何か欲しいよね、とあれこれチェックしたものの
「決め手に欠けるな」
と呟いてあっさり店を出たことを考えても、そんな風に思うのです。
さてこのお話
「私たちも大人になったのねえ」
という結末に見せかけて実はそうではありません。そもそも、今の若い人たちの消費感覚は20代とか30代ですっかり成熟しているのだから。
そして「生き方」が最後の商品になった
「近頃最もメディアで語られている言葉は『ライフスタイル』だ」
先日読んだ「物欲なき世界」にはそんなことが書かれていました。
服、アクセサリー、時計、車、そして家。それらがどれだけいいもので高級品で素敵なデザインであっても、人々はもうそれを所有すること自体にはさほど興味がない。それをどう使うか、それはどんなシーンに似合うのか、さらにはそれはどんな生き方に寄り添うモノなのかを提案する必要があると。
関連 その先にある世界観。オフホワイトとのマリアージュを探る夜。
ライフスタイルブーム、と言ってしまえばそれまでだし、シンプルで多くのモノを持たない生活自体を一つのトレンドとして楽しんでいる若い人もいるでしょうが、モノを所有することよりもそれで得られる感情や時間や生活こそが重要と考えるのはまさしく消費行動が成熟しつつある証。
今の若い人は既に成熟した考えを持ってモノと向き合っている。
そう、時代が違うとは言え、別に40代にならなくてもこういう考え方はできるのでした。
持たない暮らしのその先は

By: Kitty Terwolbeck
みんながこうでなきゃ、こう考えなきゃ、こうあるべき。
そんな押し付けがましさがいい意味で薄れている気配を肌で感じる今日この頃。
関連 女はこうあるべき?女はおしゃれしなきゃ!という何の根拠もない呪縛。
大きな流行に右にならえで従っていればそれでよかった一昔前、高級外車に乗っているとかブランドバッグを持っているのが一種のステイタスであるかのように多くの人々が信じていた頃に比べれば、現代はなんと自由で楽しくかつ恐ろしい時代になったのでしょうか。
自由だからこそ何事も自分の頭でしっかりと考え、選択する能力が今まで以上に必要になるのだから。
多くの選択肢があるおかげでファッションにすら大きなトレンドがなくなりつつある今、これさえ着ていれば、あれさえ持っていればとりあえずOK、なんてことは、もうないものね。
今後この流れがどんどん加速していったとして、今の状態よりももっともっと消費行動が成熟するのだとしたら、いずれはライフスタイルなんてものも語られなくなるのかしら。
暮らしや時間の過ごし方や食べるものに関心を持ったり情熱を注いだりすることすら「執着」と呼ばれるようになって、誰もがいつでも同じ制服のようなものを着て、無駄のない効率のよい暮らしをして、ゼリー状の栄養食的なもので食事を済ませる。
そんな世界は、つまらん。
とでも言おうものなら、もうライフスタイル云々の時代じゃないから、なんて言われたりしてね。
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Comment
こんばんは。
年末の海外旅行、まさにこんな感じで、お土産らしきものは買いませんでした。
中華圏だったので、申年の華やかな飾りとか、ご当地もので家でもちょっと楽しめそうな小物だけで…
円安で物価高を痛感したのが理由ではないはず。
書いておられたように、せっかくだから旅先で、といった形の消費をしなくなっています。
むしろ私のお土産は、現地でも活躍した、成田の出発ロビーで買った風呂敷やさんの大判ハンカチ(免税)。今もこの先も使えそうなものを選ぶようになった気がします。
とても、共感しました!
cocue-cocueさん
いつもありがとうございます。
確かに円安の影響は感じますが、そもそも本当に欲しいものってよっぽど分不相応な値段でない限りは買っちゃいますよね。
せっかくだからの記念の品を買う、それはそれで楽しいのでいいのですが、私の場合買っただけで結局使わなかったとかよくよく考えればいらなかったなんてパターンが多かったのできっとライトな買い物に向いてないんだと思います。cocue-cocueさんが買われた風呂敷のように必要なものにバシッと出会えるのも才能の一つなのでしょう。そのあたりの能力も今後は伸ばしたいものです。
本年もどうぞ宜しくお願いいたします!