あげたいもの、買いたいものと欲しいもの、喜ばれるものの間で。
年末はスペインで過ごした後、そのまま両親の家に向かいました。
「今スペインに来てるんだけど、30日の夕方に帰るから」
と、バルセロナのホテルから電話を入れておいたので当然何か土産物でも調達しなければなりません。いや、別にスペインにいたことを隠して土産をケチろうとかそういうセコい話ではなく。
うーん、スペイン土産なあ。
欲しがらない人へのお土産
スペイン土産、結局特別なものは何も買わなかったのですが。
友人知人、そして自分用のお土産はアンチョビやサーディン、魚介系の缶詰やチョコレート、スペイン名物のトゥロンというヌガー菓子など、持ち帰りやすい食料品を中心にあれこれ買い求めました。
母親は常に板チョコを冷蔵庫に忍ばせていて、毎日朝食後にひとかけらだけ食べるのを楽しみにしている、というのを把握していたのでチョコレートは買ったのですが、その他のスペインらしい食料品が口に合うとは思えず。
じゃあ小物とかアクセサリーとか民芸品とか記念の品を見繕えばいいじゃない、と思われるかも知れませんが、自分の好みに合わないものは私以上に家に置きたがらないのはわかっているので適当なものを選ぶわけにもいきません。
せっかくスペインに来たのにスペインらしい土産のひとつも買わないのもアレだしなあ、などと考えながら、ああそうか、そんなこと気にするのはこっちの勝手なんだ、と思ったのでした。
買いたいものと喜ばれるものの間で
せっかくスペインに来たのだからなにかそれらしいものでも買って帰りたいなあと考えるのは私の事情。そしてそれを喜んで欲しいと思うのも私の都合。何かを渡して
「こんなの別にいらない」
と言うのは相手の勝手だし、それを聞いて腹を立てたり悲しんだりするのも私の勝手。
そう、本当は何をどうしようがお互い自由なわけです。
喜ばなきゃいけない義務もなければ、喜んでもらえなかったからといって落ち込む必要もない。いくら家族でも他人のことはわからないし、コントロールもできないもの。
って、家族間の土産物ひとつにそこまで深刻に考える必要なんてないのですが、幼少の頃から何をプレゼントしても素直すぎるがゆえにイマイチ喜んでくれなかった母への土産物はなかなか手強いものなのでした。
しかし考えたらお土産とか贈り物って割と邪な気持ちで選んでる場合が多いよなあ。
純粋に相手のことを考えているつもりでいても、やっぱりこれを買いたいとかあれをあげたいとか、はたまた気の利く人に見られたいとか自分のセンスのよさをアピールしたい、なんて勝手な見栄の要素が全くない、とは言い切れないもの。あれ、そんなの私だけでしょうか。いや、ないとは言わせない。
誰かに何かを贈るって、「モノ」それ自体がどうこうじゃなく、気持ちの問題。
そりゃあ純粋な気持ちだけでなく礼儀とかマナーだから、なんてのもあるけれど、それでも自分があげたいものと相手が喜ぶものが一致した時の楽しさを知っているからこそ、人はモノを介して気持ちを表そうとするのでしょう。
それが残るものにせよ、消えるものにせよ。
さて、結局スペイン土産はチョコレートとお菓子類、そしていつものように現地から絵葉書を出すだけに留めた私。
オリーブもアンチョビも食べつけない両親への手土産は潔く東京駅で調達し、無事に喜ばせることに成功したのでした。
まあどちらかというとこれに食いついたのは酒飲みの父のほうだったけどね。
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