食の好みが合わない人こそ大切だという話。
とりあえずパフェを食べようという近年稀に見る提案に面食らいながらも、おとなしく受け入れる。しかし、どう考えてみてもパフェと勝負できる腹や口ではなかったので、できるだけビターそうなケーキを選び、ブラックコーヒーの供とする。
そうだ、甘いものダメだったっけ?ごめんごめんと後で謝られたけど、そんなことはありません。
自分一人だったらリンツカフェでパフェ食べようなんて洒落た発想は出てこないのだから、このオファーはむしろありがたいことなのです。
まあ、パフェは食べられなかったんだけど。
食の好みが合わない人こそ大切だという話
どちらかといえば甘いものよりしょっぱいものが好きだけど、全面的に甘味がダメなわけではありません。
ただ、素面でアイスクリームやケーキなどの洋菓子を食べる習慣がないだけ。酒飲んだ後はなんとなく欲しくなるんだけどねえ。アルコール摂取後は血糖値が下がるらしいので、これは本能的なものなのでしょう。ダメな本能。
チョコレートも嫌いじゃないけど、そうそう頻繁には、そしてたくさんは食べられない。専門店にも近寄らない。そういや表参道のDelReYのシャンパンとチョコレートってメニューはよかったね、と思い出したのだけど、もうあの店とっくになくなっていのか。という程度には、チョコレート事情に疎い。
だからこそ、ここの季節限定パフェを毎シーズン欠かさず食べているという友人の話は新鮮で面白かったのです。
食の好みが合致する相手との時間は、楽しい。店選びにしても、オーダーにしても、ツボが似ていれば似ているほど、おお、そうそう、わかってるねえという高揚感もある。
では、逆の場合はどうか。
酒を一切飲まない彼女と私では、食の好みや店選びの指針はかなり異なるし、正直、合わない。だからといって、会うのがつまらないかというとそんなことはない。ハズず危険性は高いだろうけれど、自分の好みなどという限りなく狭い世界から、まだ見ぬ場所へといざなってくれるのは、むしろ「合わない」人なのかもしれない。
そう考えると、好みの合わない人って大切ですね。もちろん、ただ嫌いな相手ってのは好みが合おうが合うまいが一緒に食事はできないんだけど。
もう一杯だけ飲んで帰ろう
味覚にせよなんにせよ、好みの合わない人って大事。
自称「食の好みの合わない」夫婦が同じ日に同じ店で共に飲み食いした時間をそれぞれの目線で綴るリレー形式エッセイ「もう一杯だけ飲んで帰ろう。」を読んだ際も、同じように感じました。
肉には一切の興味を示さなかったもやし好きの夫が、肉食の妻の影響か、今では月一の焼肉会を楽しみにしていたり、肉さえあれば野菜なんて食べなくても平気だった妻が、しっかり出汁のきいたおひたしの美味しさなどを語るようになっている。まるっきり嗜好が変わったわけではないけれど、好みが合わないからこそ互いの影響によって新しい扉を開いたのだなあと感じられて、なんだか微笑ましい。
特に河野氏の記述には結婚後のご自身の変化を好ましく受け入れている様子がそこかしこに現れており、これまた微笑ましい。
お二人は共に食が細いので、お気に入りの店であれこれ食べたい時は敢えて大食いの友人を「仕込む」という作戦を取るらしい。根本的な食の好みが違っても、好きな人とみんなでワイワイ飲むのが好き、という点が完全一致しているからこそ、度々の外食を楽しめるのでしょう。
最近益々タイトになっているらしい我が胃腸。飲みに出かけてもオーダーできる品数がどんどん減ってきたのは、やっぱりどこか寂しいものです。
こういう本を読んでいると、ひとりでしっぽり飲んでばかりいないで、たまにはみんなを誘って大勢で出かけて、テーブルにずらりと料理を並べて食べたいな、という気になってくるのでした。
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