恋するボディビルと結弦ファイル。

公開日: : 最終更新日:2018/10/26 生き方と考え方

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筋肉を愛でる女性が増えているとかいないとか、テレビで見ました。

筋肉。己のそれではなく、男性ボディービルダーの鍛え上げられた肉体美を具に観察するのだそうです。

そちら方面にはからっきし疎いので、女性がボディービル大会観戦の場に少なからずいるという風景が極めて最近生まれたものなのか、それともメディアの捏造なのかはわかりませんが、筋肉鑑賞を好む人はいると思います。

楽しそうです。

ボディビルの変化球的楽しみ方

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筋肉に夢中の若い女性らはやはりそれぞれお目当の選手がいるらしく、パーツ写真を見ただけで彼のそれだとわかるとか、何年のどの大会の背中か判別できる、などと変態的な執着をお持ちで羨ましくなる。

いいよね、変態的偏愛。寝ても冷めてもあなたに夢中。

さらにボディビルは独特のかけ声みたいなのがあるらしいじゃないですか。昔から「キレてる!」などはお馴染みですが、最近はえらいことになっているのですね。

もうデカイ!ボディビル選手権の新語・流行語まとめ 【かけ声】(NEVERまとめ)

個人的には「眠れない夜もあっただろ」が好みです。

今ではボディビルのかけ声辞典なるものまで出ているようで、筋肉はともかく、的を射たかけ声を発したいからボディービル大会を観戦したい、といった捩れた興味の持ち方さえ存在するようです。確かに、参加型(?)イベントってのは心躍る。

阿波おどり会館でダンサーとしての矜持を見せる。高速バスで行く徳島の旅 その4

筋肉より、かけ声の妙。どういう形にしろ、新しいジャンルに興味を持つのは素晴らしいことではないでしょうか。粋なかけ声をよきタイミングで発するにはそれなりの知識とセンスを要するでしょうから、自然と競技自体に詳しくなれそうだし。

さて、狂ったように何かに熱中してみたいという夢を持ち続けて40数年。今年もまた、恋に落ちることなく終わろうとしている事実に愕然としています。いや、まだあと2ヶ月残ってるけどさ。一目惚れの可能性もなきにしもあらずだけどさ。

毎日の暮らしに、楽しみがないから。

筋肉女子が、眩い。

恋じゃないクリアファイル

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晩酌の買い出しにスーパーに出かけると、アイスクリーム売り場の前で恰幅のよいご婦人に声をかけられました。

「ねえねえ、何を買えばこれ、もらえるのかしら?」

ご婦人の手には、クリアファイルが握られている。結弦である。

売り場にはわかりやすくキャンペーンポスターが貼られており、結弦柄ファイルがもらえる条件が記載されているのだけど、彼女の目に詳細は届いていない様子。通りすがりの見知らぬ私に、なぜか全てを一任してくる。

「ええと、あ、この赤いやつだ。これを2つ買ったらもらえるみたいですよ」
「あらそうなのね!ごめんなさいねえ、足止めさせちゃって」

ご婦人は早速赤いパッケージのチョコレートアイスを引っ掴み、キャッキャとはしゃぎながらカゴへ放り込む。

「ファン、なんですね…」

ここにもまた恋する乙女が一人。嫉妬に似た気持ちで呟いた私に、ご婦人はあっけらかんと

「ううん、別に。ただ、ミーハーだから!」

と返すと、ケタケタ笑いながら去って行ったのでした。

ミーハーだから。目の前のターゲットに対する、今、この瞬間沸き起こった興味のみで完結しているまるで野生動物のような潔さが、眩しい。競技にどれくらい詳しいとか、結弦好き度合いの深さや浅さなんて気にしない。ハマってるとかどうとかなんて関係ない、今欲しいと思ったんだからそれでいいじゃない!とでも言いたげな圧倒的シンプルさ。少女のように弾んだ、幸せに満ちた後ろ姿。

冗談でも皮肉でもなく、こういう人が結局世界を回しているのだろうなと思った私は、アイスを買わずに店を出た。

モノを持たない人間の好奇心とコンプレックス。

 




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