阿波おどり会館でダンサーとしての矜持を見せる。高速バスで行く徳島の旅 その4
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最終更新日:2018/10/05
旅人への道, 音楽、映画、芸術、世界 徳島, 日本散歩
一泊二日の徳島の旅、いよいよメインイベントを迎えます。
徳島といえば阿波おどり、阿波おどりといえばダンス。
初めて足を踏み入れたここ徳島の地で、ダンサーとしての意地を見せたいと思います。
阿波おどり会館「昼のおどり」で踊り子体験
阿波おどりについて(徳島市)
世界にもその名を知られた400年の歴史を持つ徳島の夏祭り。期間中は、街中に阿波おどりのお囃子が響き、ぞめきのリズムに踊り子や見物客の身も心も弾みます。
昨日のロープウェイ乗車に引き続き、再びやってまいりました阿波おどり会館。
我々がまたここへやってきた目的は、阿波おどりミュージアムでも、1Fの土産物売り場「あるでよ徳島」でもありません(もちろん、見たけど)。会館専属連による「昼のおどり」を見学するのです。
観て、踊って、楽しめる専属連 昼の公演(阿波おどり会館)
最後には、観客も一緒に舞台へ上がってみんなで“踊る阿呆”に! この舞台で存分に踊りを楽しんで、専属連の踊り手の目に留まれば、その首にレイをかけてもらえます。レイをかけられた人には、表彰と記念品(団扇か手ぬぐい)の授与というサプライズが。
昼のおどりでは会館専属連の華麗な舞いを鑑賞できるだけではなく、阿波おどりのレクチャーを受けられて、しかもステージで専属連のみなさんと一緒に踊れるのです。さらに、参加者の中から特に優秀な踊り手には記念品の贈呈があるというではありませんか。その事実を知った私は本気になりました。
欲しい。記念品ではなく、本日の優秀踊り子というその名誉が、欲しい。
常日頃から踊りだダンスだとここでもしつこく書いておりますが、私などは所詮にわかダンサー。目の肥えた専属連の前では一介の素人踊り子に過ぎないでしょう。
しかし今回の旅の友であるプルシェンコ嬢は本気ダンサー。本気と書いてマジと読む。現在は引退しているものの、その昔は踊りを生業としていた玄人ダンサーであります。となればクリスピー連としてこの戦い、負けるわけにはいきません。
プルシェンコ嬢を入賞させるため、参謀の私は考える。優秀踊り子選出に際しアドバンテージとなるのは
- 小さな子供(愛らしさ)
- 若い女性(美しさ)
- お年寄り(敬い)
この三要素であることは間違いないでしょう。子供なんかいた日にゃおじさんおばさんは到底勝ち目なし。
幸いこの日は平日だったこともあり、最大の敵である幼児・児童らの姿は見えず。しかし、お年寄りと若くキレイな女性は、いる。ならば我々の取る戦略はただ一つ、本気の踊りを見せてアピールする以外にはない。
本気で踊れ。
我が連のエースであるプルシェンコ嬢に口酸っぱく言い含めながら、客席センターに陣取り開戦を待ちます。
阿波おどり、同じ阿呆なら本気で踊れ
「昼のおどり」は、阿波おどりの歴史や背景の解説、「鳴り物」と呼ばれる楽器の説明、専属連の踊りと簡単な阿波おどりレクチャー、そして最後は観客も舞台で一緒に踊るという流れで構成されています。時間は約40分。
専属連の女性コスチュームは肌が出ていないのになんとも色っぽく見えますね。これはきっと「女踊り」特有のしなやかな手足の動きによるものでしょう。所作って大事。
一方「男踊り」の振り付けはダイナミック。提灯を振り回すソロパートを披露していた方は「顔で踊る」タイプでさすがの魅せ方でありました。ちなみにソロで踊れる人のことを「スター踊り子」と呼ぶんですって。カッコイイ!
専属連の踊りを堪能した後は、いよいよ振りレクチャーのスタートです。
教えていただいたのは
- 両手を頭上に高く上げ軽く拳を握る
- 片手を前に出して手のひらを開く、を左右で繰り返す
- 出した手と同じ側の足を前に出す
以上の阿波おどり基本動作。こう書くとものすごく簡単なんだけど、専属連のみなさまのような美しい動きを真似ようとするとこれがなかなか難しい。
着席したままステップシミュレーションしている間も、大きな振りで審査員に猛アピールする参謀の私、あざとい戦略。狙い通りに「お、なかなかいいですよ」とのコメントを頂戴し、確かな手応えにガッツポーズを決めました。
基本のステップを覚えたら、いざ決戦の時。観客も参加しての大阿波おどり大会のスタートです。
実際に立って踊ってみるとやはり足の運びが難しい。
目の前で華麗なステップを踏む専属連の踊り子さんの足元を凝視し、なるほど、動きはワンツーワンツーの2ビートなれど、気持ちはもうちょい細かくカウントしてるのね、とその技を盗もうと試みる。いや、そんなすぐにマスターできないんだけど。
えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ、踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々。今の私はまさに踊る阿呆。いつもはただのアホだけど、今、この時、この瞬間は全ての柵を脱ぎ捨て踊る阿呆となり、華麗に舞っているのだ。
誰もが熱い想いを胸に秘め、それぞれのステップを踏む。プロとアマが輪になって一心不乱に踊るクライマックス。手にレイを持ち近づいてくる審査員、高鳴る鼓動、牽制し合う参加者、ステージには一気に緊張が走る。
クリスピー連所属・プルシェンコ嬢。ダンサーとしての意地を見せ、見事本日の優秀踊り子の栄誉を勝ち取りました。
こちらが証拠の品、阿波おどり手ぬぐいでございます。
わたくしも参謀として、連長として、こんなに嬉しいことはありません。これまで実直な姿勢で踊りと向き合ってきた甲斐があるというものです本当にありがとうございました。そして来年度以降の阿波おどりが問題なく無事開催となりますようそっとお祈り申し上げる次第です。
ジャンルは違えど踊りは踊り。ダンサーとしての矜持を保ち、懐かしいスポットライトの眩しさを思い出したプルシェンコ嬢は、今なお自室で阿波おどりを踊り続けているという(実話)。
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阿波おどり会館
徳島県徳島市新町橋2丁目20番地
088-611-1611
徳島城跡公園散策と徳島城博物館展示
踊り疲れた心地よさを噛み締めながら表に出てみれば、時はちょうどランチタイム。昼食に徳島ラーメンを食したあとは、駅周辺を散策します。
徳島駅の反対側へ回ると、旧徳島藩主蜂須賀公の居城跡に開設した公園、徳島中央公園があります。ここが結構な広さで、腹ごなし散策にはうってつけ。
徳島中央公園(徳島市)
広大なこの公園は、城跡公園のみならず現代の公園としても江戸時代の遺産を活かしながら、旧徳島城表御殿庭園、徳島城博物館、バラ園、流れ池等、見どころがたくさんあり、その美観と位置・広さから総合公園として市民に親しまれ、多くの人々に利用されています。
バラ園のほか、貝塚なんかもあったりして。
敷地内にある徳島城博物館にて開催していた秋の企画展「阿波徳島の祭礼絵巻」で徳島の歴史と阿波おどりの知識をおさらいします。
入場料は300円。
午前中に阿波おどり会館のミュージアムで阿波おどりの歴史を学んでおいたので、ここでの展示はまさにおさらいといった感覚で楽しめました。
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徳島城博物館
徳島市徳島町城内1番地の8
088-656-2525
館内で展示を見ている最中にとうとう空が力尽き、雨がパラパラ。朝から雨予報だったのにここまでよく持ってくれました。
急いで駅前まで戻り、この旅の総括をすべく最後の目的地である昼酒スポットへと向かいます。
さあ、飲みますか。
長々と綴ってきた徳島旅行記、次回食記録で最終回となります。つづく。
魚に鶏に麺に芋 徳島で食べたもの 高速バスで行く徳島の旅 その5
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