割れ窓理論とパリのマダムで考える本当に欲しいもの。

公開日: : 最終更新日:2016/02/09 ミニマルライフ, 生き方と考え方

任侠ものの映画が上映された映画館から出てくる人は、みんな肩をいからせて歩いていく。

これ、昔からよく聞くありがちな笑い話のネタですが、結構現実にもありますよね。

別に任侠ものだけではなく、さらには映画に限ったことではなく、人間は良くも悪くも心惹かれる何かに触れたら少なからず影響を受ける。

大きくなったらウルトラマンになりたい、と真面目に考える子供は言わずもがな、結構な大人になってからもやっぱり根本的には変わらないのではないでしょうか。

大人の場合はどんな環境にいるか、というよりも、作れるか、のほうが肝心なのだけど。

割れ窓理論で環境を変える

人間は少なからず触れるものや環境からなんらかの影響受ける。ならば、環境を変えることで悪い状況を変えることはできないだろうか。

そんな問いを持つと際に真っ先に思い浮かぶのが「割れ窓理論」という考え方。

割れ窓理論とは、軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで、凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする環境犯罪学上の理論。アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング(英語版)が考案した。「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」との考え方からこの名がある。(wikipedia

これ、90年代にニューヨークの治安対策で有名になりましたね。
そもそもは犯罪抑止を目的とした考えでもなく、その効果には疑問の声も多いのですが、もっと小さな範囲で考えるとなくはないのかな、と。

これまで綺麗だったところに誰かがたった一本の吸い殻を落とした途端にそこがポイ捨てスポットになる、なんて日常茶飯事だし、部屋にしてもきっちりと片付いている時は服を脱ぎ散らかしたりはしないものの、うっかりベッドメイクを直さないまま家を出てしまうとその夜から途端に荒れだす、なんて良くある話ですからね。

要因は小さな小さなことでも、その小さな何かがその先々及ぼす影響は決して小さくはない。ならば大規模な改善が億劫になる前の問題がまだ小さい段階で摘み取っておきましょう、ってのはまああながち間違ってはいないような気がします。

では、その逆はあるのでしょうか。

たとえ小さな問題でも見逃さずにケアしていけば、大問題を回避できる可能性がある。ということは、たとえ小さなこと、少しのモノからでも少しづつよい影響は出ていて、将来的にはすごくよい環境が出来上がる、とか。

ええと、毎度回りくどくて恐縮ですが、部屋の話です。前振り長すぎ。

小さなモノから暮らしに変化は起こせるか

要するに、たとえ少しづつでも自分が心底気に入ったものだけを周りに揃える生活を続けていけば、いつかは理想の部屋が出来上がるのか、ということ。

何しろ収納センスとかバランス感覚に欠ける人間なもので、部屋の中をいい感じに整える技術がありません。
で、ある程度は諦めていて、というか、自覚していて、それでも快適な空間で暮らしたいという思いがあり多くのモノを持たないスタイルでどうにかこうにかやっているのですが、逆割れ窓理論的に

「妥協せずに好きなモノだけを身の回りに置くことを少しづつ徹底していく」

ことでこの問題は解決できるのでしょうか。

多分手っ取り早いのは理想の空間を研究して、憧れのライフスタイルを送っている人のインテリアを真似しながら自分のものにしていく、という方法だとは思うのですが、そもそも私にはそういう対象がいない。

丁寧な暮らしやナチュラルライフに対する憧れもなければ、セレブ生活に興味もなく、100均グッズで賢くおしゃれに見せる収納テクニックにも魅力を感じない。だから、自分がどこを目指しているのかさっぱりわからないというか、いや、おそらく何かあるのだろうけど、それは誰かがやっていることとか「北欧テイスト」みたいに既に明確にカテゴライズされたものではないらしい。

そりゃそうだよね。そこそこ長く生きてきたんだから、良くも悪くも自分なりの「何か」が既に肚にあるのは当然のこと。
が、それを自分の納得いくようにまとめるセンスに欠けているのが問題なわけで。

結局いちばん欲しいのは

大体洋服にしても何にしても好きなモノや興味が向くジャンルのテイストがバラバラ過ぎるのが問題なのだけれど、部屋の印象を統一するためにわざわざ好みを変えるのもおかしな話。

いっそのこと全部捨ててスーツケース一個でぶらぶら生きていくという選択もなくはないけど、自分の部屋を改めて眺めているとなんかこう、もう一歩進みたいんだよなあと考えるわけですよ。何しろ、我が家は一人地球家族ごっこ状態なので。

関連 収納がない部屋だからできる「地球家族ごっこ」。

ああ、そうか。
おそらく私が欲しているのは収納技術とかアイデアとかお手本となる誰かの存在なんかではなく、

「センス」

そのものなのかもしれません。

いつ何時、どんな環境におかれようとも自分の力で部屋も暮らしも装いも人生さえも快適な状態に整えられるセンス。お金に置き換えて言うならば遺産相続よりも宝くじ当選よりも、自分で長く稼ぎ続ける力が欲しい、みたいな感じ。

いや、当たったらもちろん嬉しいけども、宝くじ。

と、またもや話がとっ散らかってきましたが「ル・ベラージュ パリの素敵マダムスタイル」の先輩方を見ながら考えたことをつらつら書いてみたのでした。

暮らしとかファッションとか部屋ってその人の人となりが絶対的に現れるもの。
おしゃれな人はセンスがいいのか、センスがいいからおしゃれなのか、環境によってセンスが磨かれたのか、センスがいいからこそ環境を整えることができたのか、はわからないけれど、日頃から触れるもの、時間を割いていることに影響を受けてセンスも人柄もどんどん磨かれていくことは確かでしょう。

ミニマリストの持たない暮らし

ってことは、やっぱり自分が興味のあることを果敢に掘り下げて好きにどっぷり浸かるのが得策なのかしら。

まあ快適な部屋作りのために今一番確実な方法とは、収納のある部屋へ引っ越して大好物の床見えまくり生活をすることなんだろうけどね。というわけで神様どうぞ私によい物件情報を下さい、と最後にまさかの神頼み。

 




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Comment

  1. バジル より:

    すごく共感しました。
    「センス」、欲しいですね。
    好きなテイストがまちまち、私の場合は江戸時代だったり、バリ島風だったりして、お気に入りの小物や家具と出会えても、それらをうまくまとめたり、部屋に統一感が出す自信がありません。北欧家具もいいな…とか気も多いですし。
    結局、人生何をどのようにしたら自分が一番気に入るのかを模索しながら過ごすのか…、といういつもの結論に達してしまいます。

    • crispy-life より:

      バジルさん

      センス…結局は答えがないから難しいんですよね。テストもなく、資格が必要なものでもなく、絶対的な正解もない。

      いつまでたってもきっと満足はできないとわかっていながらもセンスを求め続けているのは、それだけ自分の好きなことを追求する行為が楽しいから、なんでしょうね。

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