神戸 新開地「大谷」の貝つぼ焼きと、マスコット。

公開日: : 最終更新日:2019/04/14 旅人への道, 食べること

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貝のつぼ焼きは、わが故郷神戸の名物料理である。

その事実を知ったのは、昨年の年明けでした。

大貝のつぼ焼きが神戸名物だと知らない神戸市民は多いはず。

名物と知らなかったばかりか、食べたことすらない。これは必ず食べねばなるまい。恋い焦がれ、思い続けていた、まだ知らぬ故郷の味・貝つぼ焼き。この度の帰省でようやくたどり着きました。

神戸 新開地「大谷」の貝つぼ焼で飲む

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神戸、つぼ焼き、で調べてみると必ず出てくるのが新開地にある「大谷」という店。

地元以外の人には馴染みの薄いであろう新開地は、神戸の中心地である三宮から電車で15分西側、神戸市兵庫区にある歓楽街。そしてこの店は、明治から昭和中期まで花街であった福原エリアに位置しています。

兵庫区。正直、神戸に住んでいた頃は、用のないエリアだと思っていた。

特に神戸市東部在住の人間は、三宮を超えて神戸の西側に出向く行為からして稀なのです。東を目指して大阪や京都に行くことはあっても、長田や舞子には行かない。唯一の例外は、海水浴場のある須磨でしょうか。

須磨ドルフィンコーストプロジェクトと海の家。

私も青春時代はご多分にもれず三宮以西に疎い元神戸っ子でした。しかしこうして立派な酒飲みに育って帰郷してみれば、新開地あたりってのはなかなか興味深い酒場が多い。

話を大谷に戻して、貝つぼ焼です。

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のれんにも看板にもはっきりと「神戸名物 貝つぼ焼」と記してあります。

まずオーダーしたのはもちろん目当ての貝つぼ焼、そして瓶ビール。

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巻貝の中にはたっぷりの貝と三つ葉が浮かんだ貝汁。升に乗ってお出ましです。

貝を口にしたことがある大人であればこのビジュアルだけでおおよその味の想像はつくのではないでしょうか。その想像、多分あってます。それのすごくおいしいやつ、と思っていただければそれで正解です。

初めて食べるのによく知ってる味。そうそう、これこれ、ウンウン、と頷く香り。会いたかったよ、貝つぼ焼き。個人的にはさざえのつぼ焼きより、断然こっちのほうが好きだなあ。箸もいいけど、当たり前のようにテーブルに設置されている竹串で摘むのが気分かと思われます。

ちなみに、うつわに使われている巻貝はニシ貝で料理は大貝。中と外は別物です。

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えらく旨そうに見えただし巻きもオーダーしたところ、一同猛烈に気に入るつまみでした。

一言で言えば、辛い。塩辛い。ママがお弁当に入れてくれるだし巻き卵がだーいすき!な園児が泣いて逃げ出すレベルで辛い。子供にゃ早いが酒飲みのツボはビシバシついてくるイケナイ卵にうっとりします。つぼ焼きだけに。

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ビールを2本飲んだ後は冷酒にスイッチ。貝の旬は夏らしいけど、冬場なら熱燗でやりたい。のれんに「おにぎり」と書いてあるのは、この貝出汁をちょいつけしてお食べなさいってことなんだろうな。今回食べなかった貝のバター焼きも気になるし、貝出汁の雑炊も待ち構えているというから夢が膨らむじゃないですか。

場所柄一人でふらっと入れるような店ではないのかもと思っていたら、店内は想像以上に広く明るく席数多く、一見客がカウンター席で一人飲みも全然ウェルカムな雰囲気。年に1度は帰省してるんだから、もっと早く来りゃよかったよ。すっかり気に入ってしまいました。

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大谷
兵庫県神戸市兵庫区福原町15-16
078-576-1504

「丸萬」で飲む長田マスコット

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せっかく新開地にきたのだから、もう1軒寄ってこうと、すぐご近所にある「丸萬」ののれんをくぐる。

時刻はまだ20時前というのに、店内はひっそりと静か。それもそのはず、このお店の営業時間はお昼前から21時過ぎまでとやや早仕舞い。早く飲んで早く寝る。健康的生活を維持したい大人にうれしい酒場です。

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大衆酒場の何がいいってそりゃあなた、壁貼品書でしょう。「生ヤサイ」とか「小イモ塩」あたりの片仮名使いがイカしてる。

夜景をチラ見で地獄どうふ。大阪新世界はしご酒ツアー後編。

品書きにつられて小イモ塩。

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後はイカゲソとかぎんなんとか各々目に付いたものをオーダーします。

ところで入店前に友人から

「丸萬のレモンサワーはマスコットなんだよ」

と聞かされてなんじゃらほいと思っていた私。なるほど、こういうことでしたか。

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「マスコット」とは市内唯一の清涼飲料水メーカー、兵庫鉱泉所の炭酸水。長田区菅原通りにある昭和27年創業の老舗が製造しているレモン味のソーダです。

近頃はご当地ソーダなんてものを目にする機会も多く、こういう個人商店が生産する清涼飲料水があることは知っていましたが、詳しいことはわかっていませんでした。

リターナブルという商売(個店探求LOCALS)

時代は変わり、瓶の財産としての価値は無くなってきているが、今でも商売柄、瓶を失うのは耐えられない。ときどき、お祭りの際、イベント主催者等から購入の依頼があるが、使い捨てに慣れた消費者が瓶を捨てるのは忍びなく、割れたら危ないということもあって、別会社のプラスチック製の瓶を薦めている。

そうだ、そうだった。瓶って一方通行じゃなかった。子供の頃、近所の酒屋さんがいつも重たい瓶が入ったケースを家まで運んでくれてたっけと思い出す。我が家の場合はサイダー瓶じゃなくて、ビール瓶だったけど。

並々と焼酎が注がれたグラスを背景にしてマスコットを写真に収めていると、我々のテーブルにお店のおねえさんが現れる。あら、こっちにグラスおいたほうがいいんとちゃう?この角度のほうが綺麗やん、などと長年の接客で身につけたであろう華麗なディレクションスキルを発揮する。

今ではあまり見かけなくなった神戸の瓶ソーダ、写真を撮っていく人が少なくないそうです。

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丸萬
兵庫県神戸市兵庫区福原町27-5
078-575-4184

生まれ育った故郷といえども、未だ知らぬ街、知らぬ味は思いのほか多い。次の帰省時にもまた新たな酒場に出会えるでしょうか。

神戸で酒を呑むならば。




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