神戸 新開地「大谷」の貝つぼ焼きと、マスコット。

公開日: : 最終更新日:2019/04/14 旅人への道, 食べること

kobe_18aw

貝のつぼ焼きは、わが故郷神戸の名物料理である。

その事実を知ったのは、昨年の年明けでした。

大貝のつぼ焼きが神戸名物だと知らない神戸市民は多いはず。

名物と知らなかったばかりか、食べたことすらない。これは必ず食べねばなるまい。恋い焦がれ、思い続けていた、まだ知らぬ故郷の味・貝つぼ焼き。この度の帰省でようやくたどり着きました。

神戸 新開地「大谷」の貝つぼ焼で飲む

ohtani_6

神戸、つぼ焼き、で調べてみると必ず出てくるのが新開地にある「大谷」という店。

地元以外の人には馴染みの薄いであろう新開地は、神戸の中心地である三宮から電車で15分西側、神戸市兵庫区にある歓楽街。そしてこの店は、明治から昭和中期まで花街であった福原エリアに位置しています。

兵庫区。正直、神戸に住んでいた頃は、用のないエリアだと思っていた。

特に神戸市東部在住の人間は、三宮を超えて神戸の西側に出向く行為からして稀なのです。東を目指して大阪や京都に行くことはあっても、長田や舞子には行かない。唯一の例外は、海水浴場のある須磨でしょうか。

須磨ドルフィンコーストプロジェクトと海の家。

私も青春時代はご多分にもれず三宮以西に疎い元神戸っ子でした。しかしこうして立派な酒飲みに育って帰郷してみれば、新開地あたりってのはなかなか興味深い酒場が多い。

話を大谷に戻して、貝つぼ焼です。

ohtani_7

のれんにも看板にもはっきりと「神戸名物 貝つぼ焼」と記してあります。

まずオーダーしたのはもちろん目当ての貝つぼ焼、そして瓶ビール。

ohtani_2

 

巻貝の中にはたっぷりの貝と三つ葉が浮かんだ貝汁。升に乗ってお出ましです。

貝を口にしたことがある大人であればこのビジュアルだけでおおよその味の想像はつくのではないでしょうか。その想像、多分あってます。それのすごくおいしいやつ、と思っていただければそれで正解です。

初めて食べるのによく知ってる味。そうそう、これこれ、ウンウン、と頷く香り。会いたかったよ、貝つぼ焼き。個人的にはさざえのつぼ焼きより、断然こっちのほうが好きだなあ。箸もいいけど、当たり前のようにテーブルに設置されている竹串で摘むのが気分かと思われます。

ちなみに、うつわに使われている巻貝はニシ貝で料理は大貝。中と外は別物です。

ohtani_3

えらく旨そうに見えただし巻きもオーダーしたところ、一同猛烈に気に入るつまみでした。

一言で言えば、辛い。塩辛い。ママがお弁当に入れてくれるだし巻き卵がだーいすき!な園児が泣いて逃げ出すレベルで辛い。子供にゃ早いが酒飲みのツボはビシバシついてくるイケナイ卵にうっとりします。つぼ焼きだけに。

ohtani_4

ビールを2本飲んだ後は冷酒にスイッチ。貝の旬は夏らしいけど、冬場なら熱燗でやりたい。のれんに「おにぎり」と書いてあるのは、この貝出汁をちょいつけしてお食べなさいってことなんだろうな。今回食べなかった貝のバター焼きも気になるし、貝出汁の雑炊も待ち構えているというから夢が膨らむじゃないですか。

場所柄一人でふらっと入れるような店ではないのかもと思っていたら、店内は想像以上に広く明るく席数多く、一見客がカウンター席で一人飲みも全然ウェルカムな雰囲気。年に1度は帰省してるんだから、もっと早く来りゃよかったよ。すっかり気に入ってしまいました。

==============
大谷
兵庫県神戸市兵庫区福原町15-16
078-576-1504

「丸萬」で飲む長田マスコット

maruman_1

せっかく新開地にきたのだから、もう1軒寄ってこうと、すぐご近所にある「丸萬」ののれんをくぐる。

時刻はまだ20時前というのに、店内はひっそりと静か。それもそのはず、このお店の営業時間はお昼前から21時過ぎまでとやや早仕舞い。早く飲んで早く寝る。健康的生活を維持したい大人にうれしい酒場です。

maruman_2

大衆酒場の何がいいってそりゃあなた、壁貼品書でしょう。「生ヤサイ」とか「小イモ塩」あたりの片仮名使いがイカしてる。

夜景をチラ見で地獄どうふ。大阪新世界はしご酒ツアー後編。

品書きにつられて小イモ塩。

maruman_5

後はイカゲソとかぎんなんとか各々目に付いたものをオーダーします。

ところで入店前に友人から

「丸萬のレモンサワーはマスコットなんだよ」

と聞かされてなんじゃらほいと思っていた私。なるほど、こういうことでしたか。

maruman_3

「マスコット」とは市内唯一の清涼飲料水メーカー、兵庫鉱泉所の炭酸水。長田区菅原通りにある昭和27年創業の老舗が製造しているレモン味のソーダです。

近頃はご当地ソーダなんてものを目にする機会も多く、こういう個人商店が生産する清涼飲料水があることは知っていましたが、詳しいことはわかっていませんでした。

リターナブルという商売(個店探求LOCALS)

時代は変わり、瓶の財産としての価値は無くなってきているが、今でも商売柄、瓶を失うのは耐えられない。ときどき、お祭りの際、イベント主催者等から購入の依頼があるが、使い捨てに慣れた消費者が瓶を捨てるのは忍びなく、割れたら危ないということもあって、別会社のプラスチック製の瓶を薦めている。

そうだ、そうだった。瓶って一方通行じゃなかった。子供の頃、近所の酒屋さんがいつも重たい瓶が入ったケースを家まで運んでくれてたっけと思い出す。我が家の場合はサイダー瓶じゃなくて、ビール瓶だったけど。

並々と焼酎が注がれたグラスを背景にしてマスコットを写真に収めていると、我々のテーブルにお店のおねえさんが現れる。あら、こっちにグラスおいたほうがいいんとちゃう?この角度のほうが綺麗やん、などと長年の接客で身につけたであろう華麗なディレクションスキルを発揮する。

今ではあまり見かけなくなった神戸の瓶ソーダ、写真を撮っていく人が少なくないそうです。

==============
丸萬
兵庫県神戸市兵庫区福原町27-5
078-575-4184

生まれ育った故郷といえども、未だ知らぬ街、知らぬ味は思いのほか多い。次の帰省時にもまた新たな酒場に出会えるでしょうか。

神戸で酒を呑むならば。




関連記事

家飲み献立 ヤムウンセンとトマトのスープ。

珍しく頭痛がする夜。 多分台風による気圧の変化が原因のような気が。 まあ、一晩眠

記事を読む

大人の神戸散歩 開園60周年の須磨海浜水族園が楽しい。

神戸市須磨区にある須磨海浜水族園に行ってきました。 前回行ったのはいつだったか全く思い

記事を読む

岩手三陸 恋し浜ホタテのお取り寄せで贅沢晩酌。

先日、オンラインマーケットスマホアプリ・ポケットマルシェさんにご協力をいただきナイス贅沢をさ

記事を読む

さつまいもとチキンの豆乳グラタン

さつまいとチキンの豆乳グラタン、柿とくるみのサラダ献立。

さつまいもの時期、一度はグラタンを焼く。先日の柿の白和えに引き続き、これまた季節のお約束

記事を読む

にじますのハーブ焼き

にじますハーブ焼き、小松菜としめじのスープで白ワイン。

釣り人から下処理済みのにじますをせしめました。 馴染みのない魚の調理、臭かったらいやだ

記事を読む

水菜のレシピと献立

水菜と油揚げの煮びたし、新玉ねぎとツナの塩昆布和え。

こいつらに任せておけば、必ずなんとかしてくれるだろう。 上司からの期待を一身に担う黄金

記事を読む

焼きレンコン

焼きレンコン、ニラの卵とじで一人晩酌。

近所に小さな八百屋さんを発見して早くも愛用しています。 かなり小さな店で大型スーパーと

記事を読む

せせりの葱塩ダレ、もやしのからし和え。

あれ、なんか日が長くなってる...? 夕方外を歩いていてふと気がつきました。 そうい

記事を読む

過剰なおひとりさまアピールの寂しさ。

一人暮らしかつフリーランスなもので、一人行動にまつわる話をよく書いています。 一人で過ごす

記事を読む

鱈(たら)豆腐の献立

たら豆腐、白菜のサラダで晩酌。

帰宅途中電車に揺られながら今夜の晩酌のことを考えていてふと鱈が食べたいな、と思いました。

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

思いのほか高くついた韓国旅行。ソウルぶらぶら一人旅記録 その1。

11月の初旬に韓国・ソウルへ行ってきました。海外一人旅好きが

50代一人暮らしのFIRE生活。

4年ぶりの海外旅行から戻って、やっぱり一人旅はいいものだなと

海外一人旅好きが、旅先に韓国・ソウルを選ばない理由。

韓国・ソウルに行ってきました。約4年ぶりとなる海外一人旅です

50代の敏感肌を整えるケア、3つの要因。

最近、肌の調子がすこぶる良いのですよ。超乾燥肌でアトピー持ち

生意気にも浄水器を設置する。引っ越し散財日記その4。

この度生まれて初めて、浄水器なるものを設置しました。引っ越し

→もっと見る

PAGE TOP ↑