死ぬまでにしたいこと、私のいない、私の人生。

note16

キャッチーな邦題に引っ張られてむしろ内容がわかりづらくなるパターンは多々あります。

「My Life Without Me」だと認識して観ればそうだな、と思うけど、邦題になると途端に印象が変わる。

え?これってそんな話なんですか?となってしまう。

大切なのは「したいことリスト」の内容なんかじゃないのに、自分なら何をリストアップするだろうかとか、タイトルにつられて余計なことを考えてしまうのです。

死ぬまでにしたい10のこと

nhatrang_foods_77

2003年に公開されたカナダとスペインの合作映画「死ぬまでにしたい10のこと」。当時はそれなりに話題になった作品でしたが、2019年の今になって初めて観ました。

ある日突然、腹痛に倒れて病院で検査を受けると、「あと2ヶ月の命」と宣告される。家族にも誰にも話さない。そう決めたアンは、深夜のカフェで独り、「死ぬまでにしたいこと」リストを作る。それは10項目のリストになった。

ざっくりとした内容は把握していたけれど、邦題とイメージビジュアルの印象に引っ張られたまま時は流れて16年。死を意識して初めて自分の欲望に向き合う云々がメインテーマなのだろうという予想は大きく裏切られ、したいことリストはストーリーに軽く振りかけられたスパイスでしかない事実に少々戸惑う。

最後まで観て、原題を知って、なんだ、そいうことかと思ったのでした。

とはいえ、もしも自分に残された時間が2ヶ月しかないとわかったら、深夜のカフェでノートを広げて何をリストアップするかしら。とは考えてしまうのです。

共感できないしたいことリスト

suma1608_15

23歳の若さで余命宣告を受けたアンのリストと私の架空のそれに共通する項目は、ただのひとつもない。

アンの最後の恋も、肝心のお相手も、いまいちパッとしない(大きなお世話)。「好きなだけ酒とタバコを楽しむ」はまあ、わかるかな。私の場合は酒だけでいいけれど。

パーソナリティはもちろん、年齢も立場も家族構成も違えば、やりたいことが違うのは当然でしょう。でも、残り時間が限られているとして現実的に「すべきこと」はいろいろあるとしても、「したいこと」は浮かばないとはこれいかに。

いや、やりたいことなんてまだまだたくさんあるけれど、あと2ヶ月しかないとして、絶対にこれだけはしておかなくちゃ!と強く願う対象がないのです。裏を返せば、やり残したことが特にない。

そこそこ好き勝手に生きてきたからだとしたら、地味でデタラメなこの人生も、そう悪くはないのか。

キラキラしてない、普通の人生。

若くして2人の幼い娘を残して逝くのは辛い。けれど、自分がいなくなっても続いていく世界のために、最後に何ができるかを考え、実行する準備ができるのはある意味幸せなこと。来るかどうかもわからない老後の不安に押しつぶされて眠れぬ夜を過ごした翌朝、不意にこの世を去ることになりました。なんてアクシデントは、誰にでも起こりうるのだから。

老後の暮らし、それのどこがそんなに不安なんですか。

地元の知人が先月亡くなったと知ったのは、この映画を観た数日後のことでした。

日々のご飯やお出かけの様子など、いつも通りの様子がつい最近までSNSにポストされていたから、闘病中だなんて全然知らずに呑気にいいねをつけていた。ただただ驚くとともに、そうだった、人って突然いなくなるんだと改めて思う。

年もそう変わらず、独身で、一人暮らしで、酒好きという共通点があった彼女の書いたリストなら、いくつか共感できる項目があっただろうな。

彼女が最期を意識していたのか、準備はできたのか、そしてしたいことリストがあったかどうかなんてもちろんわからないけれど。

次に会ったら、聞いてみよう。

 




関連記事

いい歳をして、知らないことが多すぎる。

感覚に頼ると認識を誤るので、ここはひとつテクノロジーに頼りましょう。そう決意してから1週間。

記事を読む

荒木経惟 往生写集-東ノ空・PARADISE、チロ。

銀座の資生堂ギャラリーで開催されている「荒木経惟 往生写集-東ノ空・PARADISE」に行っ

記事を読む

やりたいことをやる中年。

長年あたため続けてきた大イベントを、今月ようやく開催できました。プルシェンコ嬢他、地方在住

記事を読む

日常がつまらないのではなく、非日常こそが夢の世界ではなく。

自宅以外の場所で長期間過ごすことには結構慣れています。思い返せば2016年は1/3近くも家を

記事を読む

フィリピン航空(PAL)で行くセブ島、ロストバゲージを体験。

まあなんとかなるでしょう、と悠長に構えていたのですが。 関連 スーツケースの重量と関西

記事を読む

無印は買うな、の本当のところ。

By: Timothy Vollmer[/caption] 若かりし頃勤めていた会社での出来

記事を読む

忘れることのありがたさ。

By: Meggy[/caption] あれは確か小学1年生くらいだったでしょうか。

記事を読む

週休3日勤務、生まれたその1日で何をする。

いやー、スランプ気味だわ。というメッセージを送ると、 「え、crispyさんでもスラン

記事を読む

盛らない生き方。

By: David[/caption] 先日いただいたご質問にお答えする記事を書きました。

記事を読む

「ため込む生活からミニマリストになった方、教えて」

もう2年ほど前のトピックですが、納得できる部分があったのでシェアします。 >>参考

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

私の身体を癒してくれる突起物。

今年の目標のひとつとして「腰痛を改善する」をあげています。や

ねり粕の粕汁
ぶりあらの粕汁、ねぎ入り卵焼き献立。

あれ。この冬は酒粕が足りていないわ。そう気づいたのは、春直前

やりたいことリスト’23「存分に味わう」

もう3月も半ばに入ろうかという今の時期にやることでもありませ

キャベツの白和え、豚肉と白ねぎの梅蒸し献立。
キャベツのわさび白和え、豚肉と白ねぎの梅蒸し献立。

もともと凝った料理を作らない、作れない人間なのですが、ここの

何の変化もない独身おばさんの毎日。

年を取ると月日が経つのが早く感じる。中年世代以上になれば、誰

→もっと見る

PAGE TOP ↑