死ぬまでにしたいこと、私のいない、私の人生。

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キャッチーな邦題に引っ張られてむしろ内容がわかりづらくなるパターンは多々あります。

「My Life Without Me」だと認識して観ればそうだな、と思うけど、邦題になると途端に印象が変わる。

え?これってそんな話なんですか?となってしまう。

大切なのは「したいことリスト」の内容なんかじゃないのに、自分なら何をリストアップするだろうかとか、タイトルにつられて余計なことを考えてしまうのです。

死ぬまでにしたい10のこと

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2003年に公開されたカナダとスペインの合作映画「死ぬまでにしたい10のこと」。当時はそれなりに話題になった作品でしたが、2019年の今になって初めて観ました。

ある日突然、腹痛に倒れて病院で検査を受けると、「あと2ヶ月の命」と宣告される。家族にも誰にも話さない。そう決めたアンは、深夜のカフェで独り、「死ぬまでにしたいこと」リストを作る。それは10項目のリストになった。

ざっくりとした内容は把握していたけれど、邦題とイメージビジュアルの印象に引っ張られたまま時は流れて16年。死を意識して初めて自分の欲望に向き合う云々がメインテーマなのだろうという予想は大きく裏切られ、したいことリストはストーリーに軽く振りかけられたスパイスでしかない事実に少々戸惑う。

最後まで観て、原題を知って、なんだ、そいうことかと思ったのでした。

とはいえ、もしも自分に残された時間が2ヶ月しかないとわかったら、深夜のカフェでノートを広げて何をリストアップするかしら。とは考えてしまうのです。

共感できないしたいことリスト

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23歳の若さで余命宣告を受けたアンのリストと私の架空のそれに共通する項目は、ただのひとつもない。

アンの最後の恋も、肝心のお相手も、いまいちパッとしない(大きなお世話)。「好きなだけ酒とタバコを楽しむ」はまあ、わかるかな。私の場合は酒だけでいいけれど。

パーソナリティはもちろん、年齢も立場も家族構成も違えば、やりたいことが違うのは当然でしょう。でも、残り時間が限られているとして現実的に「すべきこと」はいろいろあるとしても、「したいこと」は浮かばないとはこれいかに。

いや、やりたいことなんてまだまだたくさんあるけれど、あと2ヶ月しかないとして、絶対にこれだけはしておかなくちゃ!と強く願う対象がないのです。裏を返せば、やり残したことが特にない。

そこそこ好き勝手に生きてきたからだとしたら、地味でデタラメなこの人生も、そう悪くはないのか。

キラキラしてない、普通の人生。

若くして2人の幼い娘を残して逝くのは辛い。けれど、自分がいなくなっても続いていく世界のために、最後に何ができるかを考え、実行する準備ができるのはある意味幸せなこと。来るかどうかもわからない老後の不安に押しつぶされて眠れぬ夜を過ごした翌朝、不意にこの世を去ることになりました。なんてアクシデントは、誰にでも起こりうるのだから。

老後の暮らし、それのどこがそんなに不安なんですか。

地元の知人が先月亡くなったと知ったのは、この映画を観た数日後のことでした。

日々のご飯やお出かけの様子など、いつも通りの様子がつい最近までSNSにポストされていたから、闘病中だなんて全然知らずに呑気にいいねをつけていた。ただただ驚くとともに、そうだった、人って突然いなくなるんだと改めて思う。

年もそう変わらず、独身で、一人暮らしで、酒好きという共通点があった彼女の書いたリストなら、いくつか共感できる項目があっただろうな。

彼女が最期を意識していたのか、準備はできたのか、そしてしたいことリストがあったかどうかなんてもちろんわからないけれど。

次に会ったら、聞いてみよう。

 




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