石ころでも売る技術。モノを売るテクニックは悪なのか。

公開日: : 最終更新日:2015/12/22 ミニマルライフ, 生き方と考え方

朝日新聞に糸井重里さんのインタビューが掲載されていました。

参考 糸井重里さん、コピーライターやめました 売れるを語る(朝日新聞デジタル)※会員登録が必要なサイトです

糸井さん主宰のサイト「ほぼ日」がヒット商品を連発している件について、氏は売れるような仕掛けや秀逸なキャッチコピーが大事なのではなく、まずは

「売れる商品を見つけること」

こそが大切なのだ、と語っています。




自分ではいいと思えないものを売る仕事

SNSで流れてきて読んだ記事だったのですが、コメント欄を見ると

「さんざんコピーで売ってきたお前がいうな」

の大合唱。結構みんな厳しいんだなあ。

「エルメスにキャッチコピーはないですよね。よいコピーをつくることと、売れるものをつくることは別。よくないものをコピーで売るなんて、やめたほうがいい」

まあ、当たり前の話ですよね。

糸井氏はほぼ日がうまく回るまでは「稼げる外仕事(=コピーの仕事)」で得たお金を「これからやりたい仕事(=ほぼ日運営)」に充てていたと言われていた記憶があります。ほぼ日を始める頃には既に意味のないものでも広告の力で売らねばならない自分の仕事、というか当時の広告業界のあり方に限界を感じてそこから抜け出す策がほぼ日だったのかなあなどとも思わなくもありません。

 

さて、糸井氏ほどの規模の話じゃなくても、

「自分はいいと思えないものを売らねばならぬ仕事」

に就いていて苦しんでいる人は多いのではないでしょうか。

自分はいいと思わないし欲しくもないけど誰かにとってはとても必要なもの、であれば救いがありますが、どこにも必要な要素がみつからないのに利益を得るためだけに作られた不要なモノを売らなければならないことの辛さ。

必要なものやサービスを必要な人の元に届けることではなく、何かからどうにかして利益を生むことだけが目的になってしまった時、このようなおかしな現象が生まれます。

参考 「もう十分豊かな時代なのだから、必死に働かなくてもいいのでは」

必要のないものを手に入れるために時間を惜しんで働かなければならないという矛盾ともどこか似ていますね。

石ころでも売ってしまうテクニック

まだ私が20代の頃。当時勤めていた会社で常に成績TOPだった凄腕営業マンの先輩はいつもこう言っていました。

「俺は道で拾った石ころでも高値をつけて売る自信がある」

もちろん、これはものの例えでホントにやったらただの詐欺行為なのですが、先輩は自分の営業能力に絶対の自信を持っていました。

先輩にとっては商品力や品質なんてどうでもいいこと。エルメスであろうがしまむらであろうが、条件がよかろうが悪かろうが、自分の営業テクニックを駆使してきっちりと数字を残す。

「何でもないものでも華麗に販売する技を磨くこと」

これこそが、彼の最大の喜びだったのです。

先輩のような考え方はやや強引なので批判されるかもしれませんが、私はまるで責める気にはなれません。
だって、彼はやりたいことをやっているだけだから。
自分が心からやりたいと思える、そこに喜びを感じられるのであれば、「何でもないものを売る」ことすらも批判できない。というか、他人が批判したところでまるで意味がない。自分の才能や能力に気付き、伸ばし続ける。その行為自体は素晴らしいことなのだから。

逆に

「ああ、このまま意味のないモノを売り続けるのは辛いな」

と感じるのであれば何らかの方向転換が必要なのでしょう。
自分の信念を曲げて、日々辛い思いをしてまで続けるべき仕事なんて存在しないですからね。

売ることは悪なのか

By: Ken Walton

営業マンも、広告業界も、中身のない(と思われる)ものを売ろうとする行為は批判されがち。巧妙に仕掛けられた広告や営業テクニックに落ちた時ほど「買わされた」と感じてしまうからでしょうか。

もちろん売るがための嘘を並べたてたり改ざんしたデータをエビデンスに使用するなんてのは論外ですが、法に触れない限りは何をどう売ろうが自由といえば自由です。

だって、最終的には消費者側に選ぶ自由があるのだから。

子供は全てを自分で選択することはできませんが、大人になればそれが許されます。
有名女優をCMに起用している高級化粧品を使ってリッチな気分に浸るのも自由だし、肌に余計なものは乗せたくない、と化粧品類の使用を一切止めてしまうのも自由。毎日時間とお金を節約するために昼マックで済ませるのも、ファストフードやインスタント食品は食べない、という選択をするのも自由。

最後に選ぶのは自分。どんな優れた広告も営業マンも消費を強制することはできません。

さらに言えば「これが自分の仕事だから」と割り切って不要なものを売るのも自由だし、嫌な気持ちになってまでこの商品を売りたくないよとよい商品を開発したり探し出したりするのも自由です。

売るも、買うも、自由。ただ、自分が決めさえすれば。

ふう。
こうして考えると、自由があるって大変ですね。常に自分に何が必要なのか、不必要なのかを理解しておく責任が発生するのだから。

 






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