実家断捨離の難しさ、本質は片付け以外にあるのかも。

公開日: : 最終更新日:2016/12/18 ミニマルライフ, 生き方と考え方

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私がモノを持たない生活をしていることを知った知人から片付けについて相談されたことがあります。

その内容はご本人についてではなく、実家の片付けについて。

彼女は結婚してお子さんも2人おり、都内のマンションで普通に生活しているのですが、お母さまが一人暮らしをしている実家が「ゴミ屋敷」と化してしまっているのを悩んでいるとのことでした。

私は片付けのプロでもないし、そもそも一人で定住もせず、ふらふら気ままに生きている身分でアドバイスなんてできないのですが、話を聞いているといろいろと問題が見えてきました。

実家はモノがあるのが幸せな THE・昭和感覚

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私の両親も典型的なモノを貯めこむタイプ。実家では狭い部屋にたくさんの荷物を押し込んで暮らしていました。

今考えれば「これぞ昭和」といったところでしょうか。

「モノがたくさんあることが豊かさの証」と誰もが信じていた時代だったからか、モノが溢れていることに特に疑問を持たず過ごしていた気がします。狭いのは嫌でしたが。

そんなごく普通の暮らしが一変してしまう出来事があったからこそ、私だけじゃなく家族もモノに対する考え方が変わったのでしょう。

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現在両親は地元の高齢者住宅で生活しています。
私から見ればまだまだモノは多いものの、高齢者の部屋にしては比較的すっきり暮らしているような。もしもあの経験がなく、昭和の文化を引き摺ったまま70を過ぎていたらこうはならなかっただろうなと思うと、辛い経験をも生きる知恵に変えることの大切さを感じずにはいられません。

実家の断捨離、本質は物の多さじゃないことも

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さて、話を戻して知人の悩み。

どうやら彼女の本当の問題は散らかった家そのものではなく、家族間のコミュニケーションにあるように思えました。
もともとお母さまと折り合いが悪いまま結婚して家を出た彼女。その後も分かり合うことなく過ごしてきたとのこと。言葉の端々にお母さまに対する嫌悪感が見え隠れします。
それでもやはり孫はかわいいのか、お母さまは子ども達を連れて遊びにこいと誘うらしいのですが、綺麗好きな彼女は「あんな汚い家に子どもを連れていったら病気になりそう」に思えてなかなか実家に足が向かないのだとか。結果、お母さまの彼女に対する不信感はさらに募っているようです。

関係が悪化している時に部屋の片づけを申し出ると、大概よくない結果を招きます。

「モノが多すぎるんじゃない?」
「こんなガラクタばかり溜め込んで」
「掃除が行き届いてないね」

きっと、ご本人も家が散らかっていることに気づいているからこそ、肉親とは言えそんな言葉を投げかけられると自分自身を否定されたような気分になるのかもしれません。

色んな問題が交錯する「実家お片付け問題」。

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片付けとなるとついついどこから手をつけるかとかどうやって時間を作るかなんて方法ばかりに目がいってしまいますが、もっと手前に隠れている問題から着手したほうがスムーズにいくケースもあるようです。

「あなたにはわからないでしょうけど」

ここから少々話がずれますが。
彼女の話を一通り聞いた後、私には有益なアドバイスするような知恵はないけれど、と前置きした上で、家族だからこそ難しい問題があること、掃除業者に事務的に処理してもらうほうが簡単かもしれないこと、そして、自分ひとりで抱え込まずにご兄弟の協力を仰ぐことも必要では、という内容を慎重にお話ししました。

でも彼女は

「それは難しいですね」
「うちの姉は普通の人じゃないから」
「母親は頑固過ぎて話にならないんですよ」

などと、出来ない理由を探すかのような返答をするばかりでした。

さらには

「あなたみたいに恵まれてる人にはわからないでしょうけど」

と言ったのです。
この言葉に、今彼女が抱えている問題の全てが凝縮されているような気がしました。

無意識のうちに不幸を引き寄せる言葉

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人間は誰もが幸せになりたいと願っているはずです。
が、そんな思いとは裏腹に

「神さま、どうか私を不幸にして下さい」

と、毎日毎日念じるかのような言動・行動を繰り返している人もいるのだと思い知らされた出来事でした。

確かに私は恵まれています。
健康な肉体を持ち、屋根のある家に住み、美味しい食事を採って、清潔なベッドで眠ている。これは世界的に見れば本当に幸運なことなのです。さらに私が恵まれていたのは波乱万丈な40余年の人生で、いかなる逆境も乗り越えるぞという精神力を養ってきたこと。人間40年も生きていれば、嫌なことや悲しいことのひとつやふたつ、いや、10や20はあって当たり前。目の前に立ちはだかる壁を優雅に乗り越えることはできなくても、穴を掘ってぬけられないか、回り道してでも向こう側にいけないか、なんなら壁ごと壊してしまえなどとスマートな方法にこだわることなく困難に抗う気力があったのは本当に幸せだと思うのです。

自分の気持すら自分でわからなくなることがあるのに、ましてや他人を100%理解することなんて不可能。「あなたにはわからない」なんてそんなのは当たり前だし、何の解決にもならない。ただ単に「不幸(だと思っている)な自分を他者に印象付けたい」ための言葉ではないでしょうか。

言葉って凄いもので、言い続けるとどんどん現実になるような気がします。
だからこそ、機嫌よく生きていくために多少の不平不満があっても能天気な言葉で自分をごまかす戦法って結構効果があると思うのです。

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あまり偉そうには言えませんが、そんなことも彼女には伝えました。彼女は豆鉄砲をくらったような表情で

「なんでいちいちそんなに前向きに考えられるの?」

とおっしゃいました。

うーん、なんででしょう。
ただ単に、毎日面白おかしく生きていきたいと強く願っているからじゃないでしょうか。欲望を数え上げるとキリがないけれど、結局望むところはそれだけなんですよね。

実家の片付け、一人で抱え込まないのもひとつの方法

と、少々話は逸れましたが、実家の片付け、親の家の整理整頓は家族間だからこそうまくいかない場合も多いもの。身内は遠慮がないから気楽だけれど時にその無遠慮さゆえの対立を生み出してしまうことも少なくありません。そんな場合は無理せずプロに委ねるという手も。

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気がついたらゴミでいっぱいになってしまった・・・・断捨離が出来ずに困っている・・・・日々の仕事が忙しすぎてなかなか部屋の整理整頓に手が回らない・・・既に一人では解決できない水準まで問題が膨らんでしまっている場合が多いのが実情です。
ゴミ屋敷や廃屋、汚部屋は周辺住民や地域など社会問題に発展することがあります。放っておくと思わぬ事故の原因にも。

親のことなんだから、実家なんだから自分でどうにかしなきゃ!という気負いが裏目に出てしまうなら、専門業者の手を借りてビジネスライクに解決してしまうほうが案外スムーズにいくかもしれません。

たかがモノ、されどモノ。物が多い、掃除が行き届いていない云々で身内と断絶することのないように、頼れるところは頼りましょう。




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