服を買うなら捨てなさい スタイリストが提案する持たないスタイル。
先日発売されたばかりの地曳いく子さんの著書「服を買うなら、捨てなさい」を読みました。
この本のことを知ったのは、以前雑誌で地曳さんが担当されていたページをかなり面白く読んだことがきっかけでした。
プロのスタイリストによるコーディネイト術や着回しテクニックに関する書籍は山のように出ていますが、服を減らすこと、ワードローブを整えることに特化したものはあまり見たことがありません。
というわけで、この本の発売をとても楽しみにしていました。
おしゃれな人ほど始めている「持たない」スタイル
少ない服で「あの人素敵!」と思わせる極意。ファッション誌には載っていない本当におしゃれな人の「服の買い方」。キャリア30年超のスタイリストが初めて本音で語った!
冒頭で地曳さんは
「日本女性はファッションのことで悩みすぎでは」
と提言しています。そして
「バリエーションが多い=お洒落という呪縛にがんじがらめになっている」
とも。
確かに、本当にお洒落が好き、服が趣味!みたいないわゆる「ファッションアディクト」ならともかく、普通のOLさんでも毎日の通勤コーディネイトに気を使うのがもはや当たり前の世の中。最近のファッション誌でもやっぱり「1週間コーデ」は定番企画なのかしら?
ところが、現役スタイリストの地曳さんは本書の中で
「今のトレンドは同じアイテムを着ること。ファッション業界の最前線では、おしゃれな人ほどアイテム数を減らし始めている」
と断言しています。
着てなんぼ、買ってなんぼのファッション業界の現場でさえ「持たない」スタイルにシフトしている、と。確かに近頃は「持たないスタイル」自体がもはやトレンド化している感は否めませんが、この流れが単なる一過性のブームで終わるとも思えません。
若々しさとは、今の顔を生きること

By: Robert Bejil
まだ30代なのに
「服はたくさんあるのに、今日着たい服が無い!」
と悩んでいる女性が多いことに驚く、と地曳さんは言います。
何を着ても可愛い、どんな冒険も、失敗も甘酸っぱく微笑ましい。これは残念ながらやはり若さの特権。40代、50代ともなれば見た目に内面の個性が追いついてくるからか、似合うもの、似合わないものがハッキリしてくるそう。だからこそ、40代に入って何を着てもしっくりこないと悩む女性が増える、とのこと。
なのに今はみんなが服を持ちすぎているからか、30代でその境地に立たされている人も少なくないんですよね。
「40代になった途端、服で躓く」。
これは私も身を持って体験しているので、やっぱり事実だと思います。
いつまでも若い気持ちを持ち続けるのは大事なことだし、自分が楽しければそれでもちろんいいけれど、いくらサイズをキープしているからといって「高校生の娘の洋服借りちゃった!」なんてティーン向けアイテムを着るのはやっぱりちょっと痛々しい。
若作り、と若々しさとは似て非なるもの。
本当の若々しさや溌剌とした魅力は今の年代、今の顔にあったアイテムを選ぶことによって引き出されるのだ、という部分にもとても共感できました。
うん。
服って着てこそ。若い頃にどれだけ高いお金を出して手に入れたアイテムだって、ただ持ってるだけで着ないんだったら意味がないんですよね。
あの頃の私はこれが欲しかったかもしれないけれど、今の私にはもう似合わない。そう感じるのなら思い切ってさよならするのも今を輝かせる方法のひとつかもしれません。
時代はトレンドからスタイルへ

By: Katie Brady
地曳さんは50代。バブル全盛期に既に華やかな業界にいた人は未だにその残像を追いかけている人が多い印象があります。
「私のワードローブはものすごくシンプルです」と言いながら全然シンプルじゃなかったり、高級品が並んでいて到底一般人には真似できないスタイルブックを出版している人も多い。もちろん、それも「見て楽しむもの」としてはいいんですけど、この本にはそういった「スタイリング指南」のページは一切ありません。代わりに如何にして服を減らすか?無駄買いを防ぐか?理想的なワードローブ数のバランスなど、シンプルなワードローブ作りの具体的な方法が記されています。
…と、あんまり長く書いているとかなりの分量を引用してしまいそうなので、参考までに目次だけ。
第1章 おしゃれな人ほど、少ない服で生きている
第2章 無駄服を増やす、さまざまな罠
第3章 いらない服とすっきりお別れする方法
第4章 理想的なワードローブ大検証!
第5章 買い物に出かける前に
第6章 買っていい服、ダメな服
第7章 おしゃれは「トレンド」から「スタイル」へ
第8章 これからも、ずっと素敵でいるために
モノを減らしたいと思い立った時に女性にとって最も厄介なのが服。
お片づけのプロによる「断捨離本」は山のように出ていますが、ファッションのプロがワードローブをシンプルにするコツを具体的に伝授してくれる本はなかなかありません。
洋服をスッキリと減らして自分に本当に似合うアイテムを見つけたい、本質的なおしゃれを極めたい。
そんな女性におススメしたい1冊です。
地曳さんが現在どのような活動をされているか詳しくは存じ上げないのですが、広告やタレントのスタイリングだけではなく「洋服を売るため」に存在するファッション誌の仕事をしているスタイリストさんがこういう本を出すことがかなりすごいことだと思うのです。
トレンドを追うことがファッションの全てだった時代を経て、おしゃれな人ほど自分らしいスタイルを追求し始めた今。
おしゃれ=たくさん洋服を持っていること。そんな概念は本当に無くなっていくのかもしれません。
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Comment
いつもブログ楽しく拝見しています。
シンプルライフを目指して、現在断捨離中です。
本のタイトルに惹かれて、私も読んでみました。
30代半ばの女です。
年齢と共に定番・スタイルの確立。断捨離して実感しました。
まだまだ減らす必要がある現状ですが、参考にしてこれからのファッションに役立てたいと思います。
素敵な本を紹介していただき、感謝致します。
私はお酒一切飲めませんが、家飲みメニュー、真似をして何品か作ってみました。家飲みメニューも引き続き楽しみにしています♪
あきさん
コメントありがとうございます。
みんながみんなそうではないかも知れませんが、40過ぎると今まで似合っていた洋服が似合わなくなるような気がします。
だからといってお気に入りの洋服を無理して処分する必要はないですが、「あの頃の私」にしがみ付くことなく、足取り軽く歳を重ねて行きたいものですね。
酒呑みの質素なつまみがお好みに合うかどうか少々不安ですが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
作者です。
素敵なコメントと共に紹介して頂きありがとうございます!
まだまだ私もファッション修行中。これからもファッションにがんじがらめになる事なく楽しめるよう頑張ります。
本当にありがとうございました。
地曳いく子さん
コメントありがとうございます。
地曳さんのような本職のファッショニスタの方が持たない提案をされているのが衝撃的でした。
多くのアイテムを持たなくともおしゃれでいられるというテーマでトークショーや講演会をされることがあれば是非とも参加したいです。
益々のご活躍を心よりお祈りしております。