少ない服が新鮮に思えるのは、おばさんだけ。
先日こんなことを書いておいてなんですが。
買わないこと、消費しないことは誰に責められるような行動でもありませんが、逆に自慢したり誇ったりするような行為でもありません。高価なモノをたくさん所有する生活に意味を見出せない人がいるように、少ないこと=正義でもありません。
敢えて言うならば単なる
「人体実験」
でしょうか。
「少ない服」が新鮮に映るのはおばさんだけ
以前、モノを持たない生活に関して書かれたとある書籍のレビューに
「多くのモノを所有しない、少ない服を着回してお洒落を楽しむ工夫なんて今の若者には当たり前のこと。それをさも新しい考え方のように持ち上げているのはバブル世代のおばさんだけ」
といった内容のものがありなるほどな、と思いました。
確かに、今の40代は右を向いても左を向いても誰しも持っているような
「大ヒット商品」
が日常に当たり前に存在していた世代。クラスの女の子の多くが同じようなデザインの鞄を持ち、同じアイドルグループに夢中になり、似たような髪型をしていた時代を生きてきたわけです。
「みんな持ってるんだから、私も欲しい!」
そんな風に親に何かをねだった記憶がある方も多いのではないでしょうか。
参考 女はこうあるべき?女はおしゃれしなきゃ!という何の根拠もない呪縛。
流行ってるから、みんなが持ってるから。そんな小さなことが十二分に購入意欲を掻き立てられる要因となっていた多感な頃。もちろんみんながみんなそんな風ではなかったけれど、多くの情報に容易にアクセス可能な今の若い人のほうが趣味も好みも考え方も多様化しているのは間違いないでしょう。みんなが持っていたとしてもその「みんな」の数が圧倒的に少ないし。
「秋のマストバイ!」
「買うべきコートはこの3着」
なんて言葉に一番弱いのはきっと私たち世代なんだろうなあと件のレビューを読みつつ苦笑しました。
私だって社会人になってから1年間洋服を買わなかったのはこれが初めてのことで、ほんの数年前までは毎月何かしら買う生活をずっと続けていたのですから。
買わない行為はささやかな実験に過ぎない
とはいえ、別にこれは今後1年間洋服を買わないぞ!と明確な目標を掲げて始めた行動ではなく、モノを減らして身軽に生きたいという考えに辿りついてから、洋服を買い続ける行為の必要性を少しばかり疑ってみた結果です。
言うなればちょっとしたお遊び、ささやかな実験。
そして気付けば1年が経過していて、あら、別にやたらと買わなくてもさほど困りはしないのね、とわかった。それだけのこと。さほど高尚な心構えを伴ったスタイルでも行動でもありません。よって、これから一生服を買わないと決めているわけでもなく。当然ですが。
が、こんな風にさらっと振り返れるのは私は単におしゃれがしたくて新しい服を買い続けていただけで、買い物自体が趣味だったり、ストレス発散の手段ではなかったことも大きいでしょう。
また、今まで深く考えずにごっちゃにしていましたが「ファッションを楽しむこと」と「買い物」は私にとって必ずしもセットではありませんでした。自分に似合うものをあれこれコーディネートすることは好きだけど、毎シーズン新作を手に入れたいファッショニスタではない。いや、昔はそうありたいと願っていた時期もありましたけどね。ふふふ。
などなど、実際経験してみてわかったことは多いので、まあ概ね実験成功、といったところです。
けれど、同じ実験をしてみても人によっては結果は全く違ったものになるでしょう。もしかしたら私とは逆に
「おしゃれが好きだと思ってたけど、実は買い物が好きだったんだ!」
と気付かされる場合もあるかもしれません。
また、買い物が何よりのストレス発散になっていたとしたら、買い物できない苦しさで辛い思いをするかもしれません。
もちろんカードの支払いに追われるくらい使ってしまっている場合はストレスの要因そのものを見直す必要がありますが、経済的に無理のない範囲で好きなものを買う行為が人生に確かな潤いを与えるならばそれはそれで素敵なこと。特にやめる必要はありません。別に持たないことや買わないことが正解でもなんでもないのだから。
欲しかったのはモノ自体か?それとも「買う」という行為か?はたまた「自分はこれが買える人間なんだ」という自己承認か?
そう、何れにしてもこの「実験」は、自分が何によって満たされるのかを知る上では有効な手立てになり得そうです。特に「バブル時代のおばさん」レビューが少々耳に痛い人には、ね。
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