なんにも持っていなくても、奪われるのはやりきれない。

公開日: : 最終更新日:2017/01/05 ミニマルライフ, 生き方と考え方

moalboal-restaurant_12

はっきりはわからないけれど、おそらくモアルボアルの海のような。

ひとしきり遊んだのでそろそろ近くのカフェにでも入ってキンキンに冷えたビールを飲もうよと声をかけると、せっかくだから酒と食べ物を買ってきてここで食べたいなどという。私は何回もこの海を見ているけれど彼女にとっては初めての景色。海沿いの店で飲むビールの楽しさを自慢したい気持ちもありつつここは彼女の意見を優先すべきと従うことに。

すぐそばの店からビールとサンドイッチを調達し水着のまま海沿いで食べて飲み、しばらく休んでまた海で遊ぶ。そんなことをしばらく繰り返して陣地に戻ると我々の鞄に無造作に入れたままにしてあった現金やカメラ、スマホなど貴重品と呼ぶべき一切合財が忽然と消えていた。

しまった。油断した。

明け方に見る夢は

と、今ここまで書いて気がついた。これ、2017年の初夢じゃなかろうか。やな夢だな。

そうです、まさかの夢オチ失礼します。

その後サンドイッチを調達した店に駆け込み貴重品が全部盗まれちゃったよと泣きつくと、若い男性店員から2Fに相談所があるから行くといいとアドバイスされる。相談所てなんぞ、まあとにかくと非常階段のような怪しげなそれを登り詰めるとそこには南国ビーチにまるで不似合いなトレンチコートを着込んだ日本人男性が3人佇んでおりこれが相談員か、と思ったところまでは憶えています。以降相談員トリオと一悶着あったようななかったような、ああもう記憶が曖昧。

この明け方に見た夢のおかげで朝っぱらからもうしんどくてしんどくて。

夢か現かまだ判別がつかない寝ぼけ状態の午前4時。
心にずっしりのしかかった重石たちには大きく分けて2つの種類があり、ひとつは単純に現金やらカードやらを失ってしまった不安と失望でした。財布に何入れてたっけとかカード会社と銀行に大至急連絡したいけど連絡先控えてなかったなとか無一文でどうやって日本へ戻ろうかといった目の前に山積みの課題に対する負の感情。
そしてもうひとつは友人に対する申し訳なさと自分の不甲斐なさ。こんなところにお宝満載の鞄を置きっぱなしにしてたらあっという間になくなることはわかっていたのに、自分の見知った場所へ友人を誘いながらも油断してしまった自分に対する情けなさやらやり切れなさみたいな感情。こいつもなかなかずっしりくるなあなんて妙に冷静に分析しながら苦しい朝を迎えたのです。

こういう嫌な夢を見た朝の目覚めって決して気持ちよくはないけれど、頭がはっきりした瞬間の安堵感ったらない。ああ、カードも現金もちゃんとあるじゃないか。財布を盗られた友人はいないし、ここは南国の海辺じゃなく今自分は部屋のベッドでぬくぬくと寝ているのだと悟ったその時、私はなんという幸せ者なんだろうかと本気で思いました。

失いたくないありがたさ

海外へ行くのに高価な鞄や財布を持参することはまずないし、現金だって大して持たないし、クレジットカードも銀行のカードもきちんと処理すればしかるべき処理の後に再発行してもらえる。連絡や手続きの手間はかかったとしてもさほど大きな被害にはならないでしょう。大体私ごときが全財産を失ってもそんな大事じゃなんですよ、富豪じゃあるまいし。

それでもやっぱり大事なものを誰かに奪われる形で失うのはキツイ。逆に言えば、失うのがキツイと思えるものを持っているのはそれなりにありがたい。

関連 失うモノがない人生。

おいおい現金とカードが何よりも大切かさすがは守銭奴だなと呆れられるかもしれませんが、まあ現金は正直めちゃくちゃ大事なんですが、旅に辛い思い出が出来てしまったことや、友人に対する申し訳なさ、全ては自分のせいだなどと勝手に要らぬ責任まで感じてしまう驕り高ぶりも全てが夢だったことに自分でも驚くほどに安堵したのです。

もう何にも持っていないし、全部無くしてもまた一からやっていけるだろうし、やっていかなきゃとも思っているけれど、これが夢だとわかって心底ホッとしたあの瞬間を忘れないようにしたいと感じた2017年の妙な初夢。

ミニマリストの持たない暮らし

自分で稼いだ金、その金を使って出掛ける旅、旅先で飲むやたら美味い酒、大切な友人、そして不器用かつ傲慢なコミュニケーション。単に嫌な夢だったね、で済ませようとしたけれど自分の大切にしていることとか改善点とかチャレンジすべきハードルなんてものがこの夢に詰め込まれていて実は結構深い脚本があったのではなどと深読みしてみたりするのです。どうなの神様。

ちなみにモアルボアルの治安はさほど悪くありませんので念のため。

 




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