地球のごはん 世界30か国80人の“いただきます!”

公開日: : 読書, 食べること

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先日「収納のない部屋だからできる地球家族ごっこ」という記事の中でこの本について書きました。

地球家族―世界30か国のふつうの暮らし
マテリアルワールドプロジェクト ピーター・メンツェル
TOTO出版
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「申し訳ありませんが、家の中のものを全部、家の前に出して写真を撮らせて下さい」戦禍のサラエボからモノがあふれる日本まで、世界の平均的家族の持ち物と暮らしを写真で紹介します。

この写真集と同じシリーズで「地球のごはん 世界30か国80人の“いただきます!”」というフォトエッセイも出ています。

地球のごはん  世界30か国80人の“いただきます!”
ピーター・メンツェル フェイス・ダルージオ
TOTO出版
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「地球家族」は1994年、「地球ごはん」は2012年に出版されているので、写真を見ているとかなり時代の流れを感じます。

今回のテーマは“ 個人” の「食」。世界各国で暮らす、ご くふつうの人たちの食事風景を採り上げています。  本書のユニークな点は、一人ひとりの1日分の食事を総摂取 カロリー順にならべ、それぞれの職業やライフスタイル、食材 リストとともに紹介していること。人間ひとり分の1日の食事といっても、最少カロリーの800kcal(ケニア、マサイ族首長の第3夫人)から最大の12,300kcal(イギリス、3 児の母)までと幅広く、その内容は驚くほど多彩です。

 

執念の取材、怒涛のデータ量

この本の凄いところはデータの緻密さと食事を正確に再現して写真に収めようとする情熱。世界各国の人々の食事を1冊に収めるだけでも十分面白いんじゃないの、と思ってしまうのですが、異様なまでに正確なカロリー計算にこだわり、個人が1日(1食ではない)に食べた食材と本人を一緒に写真に執念を燃やしています。それだけに写真に添えられた注釈が細かいのなんの。例えば、イラク戦争で若くしてで半身不随になってしまったアメリカの退役軍人の食材写真に添えられた文字「レタスとトマトのサラダ(トマトは写っていない)」。前編に渡ってこの調子。とにかく細かい。結構読むの大変。でも、引き込まれます。

 

楽しげなタイトルとは裏腹に、ヘビーな内容も。

ドイツの地ビールブラウマイスターの食卓に美しく並ぶドイツパンやサラミがいかにも旨そうだったり、スペインの闘牛士がやたらイケメンだったり、オンラインRPGにどハマりして(なんと、最高連続プレイ時間は三日三晩!)インターネットカフェでデリバリーを頼みそのまま画面の前で寝る、という驚愕の生活を送っている中国人青年、なんて楽しげなページも盛りだくさんではあるけれど、一番印象深かったのはバングラデシュの少年、12歳。
彼は列車の屋根に乗って首都ダッカまで仕事を探しにきて、そのまま駅に住み着いている家出少年で仕事は乗客の荷物運び。同様の生活をしている年嵩の子どもから苛められたり、売上を巻き上げられたりしながらも、なんとか1日3度の食事と紅茶、煙草(!)にありつけています。厳しい暮らしぶりなのに、生家での暮らしよりは駅のベンチで寝起きする今のほうがきちんと食べられるのだと言う少年。まだ体は小さいのに、何かを悟ったような目つきが既に子どものそれではありません。彼のエピソードの最後にとても辛い内容が綴られているのですが、それはぜひ読んでみて下さい。

 

みんな違うから、面白い。

しかし…というか、やはりというか、どこの国の若者もファストフードを好んで食べる傾向が強いようです。
例えば上海の学生寮で暮らす女子学生。彼女は基本的には実家で食べていたような中華料理が中心の食生活だけど、友達と「贅沢したいから」とクーポン券を使って週に幾度もKFCに通っています。KFCより彼女の実家での好物だという北京ダックのほうが美味しそうだけどなあ…ていうか、北京ダックって家庭で出すのか。ええと、まあ仕方ないといえば仕方ないですが、どこの国でもハンバーガーやフライドチキンなんて同じようなものしか食べなくなる未来はやっぱり来て欲しくないなあ、と、この本を見ていると強く思うのです。
あと、いろんな国に存在する菓子「ハルヴァ」についても書きたいのだけど、長くなるのでまた別の機会に。

大判の本でかなり重たいのでベッド寝転んで読むには不向きですが、ぜひ「地球家族」とあわせて読んで欲しいおススメの1冊です。




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