餃子のひだと10万人の無料食堂。
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最終更新日:2020/08/03
日常, 音楽、映画、芸術、世界, 食べること
予告通り、餃子を作る。例の事件は未だ解決しておらず、記録はない。
冷凍保存する気満々の50個計画。野菜過多バージョンと肉っけの強いにら餃子の2種を仕込む算段だ。
遂行にあたり、餃子の包み方動画をチェックした。50年近く生きてはいるが、これまで包んだ餃子の数は千にも満たず、およそ経験豊富とは言えない。しかも、正しい包み方を学んだこともない。ただなんとなくひだをよせてはくっつける作業を繰り返していたに過ぎないのだ。
いくつかの包み動画を確認して、驚いた。私はずっと中央にタネをのせ、半分にたたんだ手前側を左からよせてくっつけ続けていた。餃子のひだは、向こう側をよせるのがスタンダードなのか!
せっかくだから新方式を試してみようと、まず中央部分をくっつけ、そのポイントに向かって左右から寄せるタイプに挑んでみたのだけれど、これがなかなか難しい。右サイドを中央に向けて寄せるのはまあなんとなくできるが、左サイドを中央に寄せることが叶わない。利き手じゃないほうの手で文字を書くあの感覚によく似たままならなさがある。ままならなすぎる。
ままならないにもほどがあるので3個目くらいで早々に諦め、右を寄せたらくるりと返して手前側で右から寄せることにした。「返す」という工程を挟むので効率が悪くなる気もするが、左寄せのままならなさったらないので、返してもなお早いくらいだ。
2種の餃子を焼き、浜松風にならったもやしと、大阪風にならったぬか漬け(キャベツ、なす、にんじん)を添える。つけだれは黒酢にラー油をたらしたもの。少し前に酢胡椒が流行ったけれど、私はやっぱり黒酢で食べる餃子が一番好きだ。
ぬか床が寂しくなっていたので、数日前にいつもと違う店の仕上がりぬかを調達していた。手始めに漬けたキャベツがいまいちピンとこない味だったので、やっぱりいつものたね坊にしておけばと軽く後悔したのだけれど、3日目ともなればずいぶんこなれていい具合だった。
餃子とは遠く離れたインドのドキュメンタリー「聖者たちの食卓」をぼんやりと眺めながらビールを飲む。アムリトサルの寺院ハリマンディル・サーヒブ。すべての人は平等であるというシク教の教えから500年続く「無料食堂」の様子がナレーション皆無で淡々と描かれる。性別も年齢も宗教も社会的地位も関係なく、みなが横並びに座るこの食堂では、1日10万人に食事を提供しているという。信頼関係を築けていないのにカメラを向けるからあのような視線が送られるのだ、といったレビューがあったけれど、まっすぐにカメラを見据える目からは好奇心のようなものも見て取れた。
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