石鍋商店で出会う東京のくず餅 東京散歩・北区。
飛鳥山公園の紫陽花散策、続きです。
東京散歩と言えば、出先で酒を飲むのがお約束になっており、もちろん前回の北区も例外ではありませんでした。
が、この日は酒を飲むタイミングではなかったもので、珍しく甘味をいただきました。
北区王子 石鍋商店の「久寿餅」
向かったのはJR王子駅から徒歩5分、森下通り商店街にある石鍋商店。くず餅で知られる老舗甘味店らしいのですが、このくず餅ってのが、私の知っているそれとはどうも様子が違うのです。
私の中でのくず餅とは、葛粉から作られた透明な皮にこしあんが包まれたもの。皮部分に水泡が見え隠れする様が涼しげで、いかにも夏向きのお菓子といった風情が漂うものでした。
子供の頃、このくず餅をかき氷に埋めて変わりミルク金時にするのが家で流行っていて、夏休み期間中に度々食しておりました。ハンドルをガリガリする手動かき氷機で美味しく食べられるだけの量を削り、じゃりん子チエの再放送を見ながら食べる。これが夏の午後の定番スタイル。かき氷はいろんなパターンで食べたけれど、私の中の家かき氷最高峰がこのくず餅入り変わりミルク金時だったのです。
が、石鍋商店のくず餅、いや、「久寿餅」は、ビジュアルも添付物も、何もかもが私の知っているくず餅ではない。だって、色が白くて、三角形よ?
久寿餅について(石鍋商店)
久寿餅として江戸庶民に食される以前は、表具用や建具の糊として重宝されていましたが、時代と共に需要が減ってゆきました。ですが先人たちの“もったいない精神”と、ふとした偶然により食べてみたら意外や意外美味しいではないかという事になり、江戸時代より長く愛されるスイーツとなりました。
なぜ食べた。糊を。
美味しかったのなら仕方がないが、なぜ。素朴な疑問に頭を支配されつつも向かった石鍋商店。当初は持ち帰るつもりでしたが、タイミングよく店内ノーゲスト状態だったのでこの場でいただくことにしました。
窓際の席からは、紫陽花が見えます。
久寿餅のハーフサイズはお茶付きで300円。3切れ入りとちょうどいい分量でうれしい。
確かに白い。そして、三角に切られている。黒蜜の上から覆いかぶさる、たっぷりのきなこ。ううむ。
早速いただきましょうとさじを刺してみると、硬い。想像以上の弾力。ぷるっ、とか、もちっ、などという可愛らしい擬音語は不似合いな力強さがある。
なんだなんだ、これ。旨いじゃないか。
小麦粉を使った発酵食ゆえに独特の発酵臭がする、という解説があったのだけれど、それらしき香りを全く感じなかったのは私が発酵食好きだからかどうなのか。たっぷり添えられた蜜もきなこもしっかりと甘いのにくどさがなく、餅に絡めてすっかり食べきってしまいました。
よく見たらこのスプーン、片側がまっすぐになっているんだ。これ、皿に乗ったきなこをすくい取るのに都合がいいね。
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石鍋商店
東京都北区岸町1-5-10
ところで、くず餅の定義について。
「くず餅」東と西で別モノ?(謎解きクルーズ)
残っている資料が少なく、発祥には諸説ある。ただ東西の「くず餅」の起源が全く異なるのは間違いなさそうだ。小麦でんぷんで作るくず餅は東京を中心とした地域に限定され、全国的には葛粉を使ったくず餅のほうが多い。
なるほど。やはり地域によってくず餅は別物、というか、小麦でんぷんのくず餅は東京独自のものなのか。くず餅なんて定番の和菓子だと思い込んでいたのに、まさかの初体験となりました。
東西のくず餅に関する知識を得た今、もうひとつわかったこと。幼少の頃私がかき氷に埋めてよろこんでいたのは、くず餅じゃなくて、くず饅頭だった。
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Comment
crispy様
東京出身の私には、くず餅はこの三角形です。
母が好きで、よくお土産に買ってきて食べました。
懐かしい味です。
お品書が良いですね。如何にも東京の甘味処といった風情で。
くず饅頭をかき氷に?
何となく常温の日本酒に合いそうですね。
山梨に来て驚いたのは、桃は固い早生の時に
ガリガリと林檎みたいに食べます。
柔らかい桃はダメ、と言う人も多いです。
固い桃ですが、なかなか美味かったですよww
同じ食べ物でも地域によって違うので、奥が深い。
ちゅーなーさん
やはり東京の方にはお馴染みのものなのですか。東京もそこそこ長くいるのに今までくず餅と真剣に向き合っておらず、発見が遅くなってしまいました。くず饅頭もいいけれど、これはこれでとても美味ですね。
そして桃をそんな風に食べるのは初めて聞きました。酸っぱい感じなのでしょうか、面白いですね。どこでもなんでも手に入る時代、以前ほど地域ごとの特色は見られなくなってきたのかもしれませんが、それでも知らない地域で立ち寄ったスーパーの品揃えなどを見れば独特のものがあって楽しいです。
p.s.先日はお気遣いいただきありがとうございました!