強い気持ち、強い愛、経験値の違い。
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最終更新日:2019/06/07
音楽、映画、芸術、世界
いかにもメロメロして泣かせにかかってくるヤツより、ある程度のアホっぽさとかドライな質感を持つもののほうがよっぽどクる、ということはあります。
でも、友人一推しの「SUNNY 強い気持ち、強い愛」には、それほど反応しなかった。
事前に入れた情報は時代背景のみ。というか、タイトルを見ればまるわかり。ストーリーやキャスト、一切の予備知識がない状態で鑑賞し、終始淡々と眺めていました。
友人はどストライクに嵌りまくったというが、それはおそらく、エリアと年代、そして経験値の違いかと。
強い気持ち、強い愛
安室奈美恵のヒット曲でスタートする本作の舞台は1990年代の東京。茶髪、厚底、ルーズソックスの女子高生が渋谷を闊歩していた頃のお話です。
もしかしたらこれから観る方もおられるかもなので内容ネタバレは避けますが、つい最近のことに思えるギャル文化もすでに20年以上前なのだと思うと気が遠くなりますね。
何度見ても泣いてしまう、という友人は、まさに90年代の人。センター街を意味もなくうろついたり、カラオケでTRF歌ったり、プリクラに並んだりしていた、もしくはそんな同級生を見ていた青春時代を送ったからこそ、細かなディティールにいちいち反応してしまうのでしょう。
友人のように、本作で胸の奥をこちょこちょくすぐられてしまう人は、思い当たる節、つまりは青臭いズッ友要素を温めた経験があるのではないかと推測します。これが、経験値の違い。仲良しグループ経験があるかないかの違い。なくてすみません。
渋谷は遠い、オザケンはラジオの中に
90年代ギャルブームは自分が社会人になってから起こったものであったし、渋谷の匂いを纏うムーブメントだったから、足を踏み入れることのない遠い場所、またはテレビや雑誌の中でだけ盛り上がっている祭りみたいな感覚で捉えていたんだな。と、この映画を観て気付く。
そしてエリアギャップについてはもう一点、これは単なる地方出身者の身勝手で申し訳ないくらいなんだけど、ネイティブじゃない関西弁による新喜劇フレーズ捲し立てにハラハラする同県民。自分で言ってて嫌すぎるが、感覚として持っているものは仕方あるまい。
なんか文句ばっかり言ってるみたいになってますが、それなりに楽しんだんですけどね。
田舎から都会に出てきた素朴娘がすっかり街文化に嵌り迎合してしまうって、どちらかというとよろしくない傾向のように感じてしまうけれど、服とかメイクとかちょっとした夜遊び程度の冒険ならば、意味はなくとも心底楽しめるのであれば、ビバ迎合だね可愛いね、とは思いました。純粋に広瀬の可愛さでもあるが。
音楽についても、メインストリームに乗れず、ど真ん中世代でもない私でさえ知らない曲はひとつもなかった。2010年代を舞台にしたドラマを20年後に作るとして、誰もが「あの頃(今)」を思い出すような曲って、そんなにはないよなあ。そういう意味では、マス的なこの手法っていずれ使えなくなるのかな、などと考えたり。
そしてタイトルにオザケンをもってきたのは、とてもいい。
私がオザケンを聴いて思い出すのはセンター街でも竹下通りでもウキウキ通りでもなく、当時勤めていた会社のデザイン室であり、ライトテーブルの前で毎日聴いていたFM802なんだな。そういや、ヒロT引退だそうで。
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