東京の中心で、エクスキューズミーと叫ぶ。
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最終更新日:2019/04/05
旅人への道
東京は夜の7時。約束の場所へ移動するため、地下鉄の駅へ向かう。
深くて安心、大江戸線の駅構内では家路を急ぐ人々が行き来して、ただでさえ慌ただしい駅を、さらに忙しない空気にしている。そんな中、地図らしき紙片を片手に
「エクスキューズミー、エクスキューズミー」
と何度も繰り返す若い外国人女性の姿がありました。
東京の中心で、エクスキューズミーと叫ぶ
遠目から見てもエクスキューズミーの様子がわかるのだから、声が小さくて聞き取れないわけではないだろうけど、残念ながら誰も彼女のエクスキューズミーに答えようとはしない。きっとみんな急いでいるんだね、と、それほど急いではいない私が応じることにしました。
お節介を焼くのはおばさんと、相場が決まっているのでしょうか。
思い返せば、台南の牛肉湯の店で分かり合えない店主と私の間を取り持ってくれたのは中年女性だった。
台湾は治安がいいから女性一人旅も安心?台湾一人旅のここが危ない。
そしてクリスマス時期の香港で目的地を降り損なって、これまた分かり合えないバスの運転手と私の間を取り持ってくれたのも、トラム乗車時に重いスーツケースを引き上げるのを手伝ってくれたのも、いずれも中年女性でした。
この他にも、旅先で同年代女性に助けられることは多い。私だってこんな場面では立派なお節介おばさんになって、若いお嬢さんの東京一人旅に力添えしたいじゃないか。
まあこのシチュエーションで聞かれることなんて、だいたい決まっています。彼女のエクスキューズミーの先は予想通り
「このクラマエというところへ行きたいのだけれど、あの電車であっているのか。どちら側に乗ればいいのか」
というものでした。
一人旅と異国の乗り物
蔵前。あの辺りは浅草にも近いし、おしゃれ系のゲストハウスとかたくさんできているみたいなので、外国人観光客に人気があるのでしょう。
あらあらお嬢さん、私も同じ方面に行くので途中までご一緒しましょうね、と空いている座席をすすめ、並んで座って、旅は道連れ。
聞けば彼女は中国からの観光客で、日本は今回が初めてだそう。おお、そうなのね、ようこそようこそ。東京の印象はどんな感じ?と問えば、見知らぬ国に降り立った旅行者特有の静かな興奮が伝わる口ぶりで、とにかく地下鉄の路線が多すぎて訳がわからない、使いこなすのが難しすぎる、と笑う。途中、言葉に詰まると翻訳ソフトを起動して伝えようとしてくれるのだけど、トンチンカンな訳が出てきて苦笑いふと、高美湿地の乗合タクシーを思い出す。
あら、慣れれば東京の地下鉄はめちゃくちゃ便利だよ、と路線図を一緒に覗き込む。あなたが目指す駅は「E11」ね。駅名より番号の方が見やすいかもよ、なんてそれっぽい話をしながら、キラキラ目を輝かせて頷く彼女を羨ましく思う。
一人で旅して、タクシー以外の乗り物を使って移動できるようになったら、急に世界が広がるように感じる、あの瞬間が好きです。今私の隣で路線図を食い入るように見つめている彼女は、まさにその時間を味わっているんだ。いいな、いいな。
私がついつい外国人観光客にお節介になりがちなのは、「あの瞬間」のおこぼれに預かりたいから、だったりして。あ、もしかしたら私を助けてくれたおばさんたちも、同じ気持ち?いやいや、彼女らは純粋に親切な人であり、私みたいな邪な考えではない、はず。
東京楽しんでねーと手を振って先に下車。キラキラした目を見送りながら、異国の乗り物に乗りたい欲が高まったのでした。旅心は伝染する。
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Comment
しらないひとの群れの中でエクスキューズミー!って叫べるお嬢さんもグッジョブですし、即座に呼びかけに応じるcrispy-lifeさんがステキ。
わたしがそのお嬢さんならば、crispy-lifeさんのおかげで日本が大好きになってしまいそうです。
自分のこどもの頃に比べて、断然たくさんの人たちが訪れてくれるようになった日本。「英語わかんないし」とか引っ込んでないで、自分の能力でできる限りのウェルカムをしたいものだわ…と思いました。
日本も悪いところばっかでもないから、せっかくいらっしゃったならば少しでも楽しんでってほしいですからね。
memeさん
ホントに、外国人の方増えましたね。今の時期は桜狙いの方が多いようです。
旅先の些細な出来事がきっかけでいい思い出となることもあれば、逆もまた然り。はるばる来てもらったのだから、できるだけ楽しい記憶を残して欲しいですよね。
自分も出向いた先でいろんな人に助けられているので、誰かを助けることで直接ではなくても彼女らに恩返しできるような気がしています。
と言いつつも、本音は旅人特有のワクワク感をおすそ分けしてもらいたいがために話しかけている疑惑。人助けのきっかけなんて、なんでもいいですよね!(開き直り)