そんな自分に腹がたつ。

公開日: : 生き方と考え方

毎月の閲覧数TOP3にまでは入らないまでも、なんだかんだで意外にお読みいただいている記事があります。

それはキーボードの打鍵音に関するもの。

関連 キーボードを打つ音がうるさい人のせいで仕事ができない時の対策。

ふと立ち寄ったカフェでの出来事から思いついて1年前に書いたこれ、結構あるあるネタだったようで。

キーボードの音ぐらいで別に死にはしないのですが、それでもどうしても気になる、という方は思いの外多いようです。

好きな人、嫌いな人

先日久しぶりに大好きな先輩にお会いしました。かれこれ5年ぶりくらいだったでしょうか。

先輩は息を吐くようにお世辞を言う天才で、

「crispyさん、前に会った時より随分綺麗になったね!」

とか、呑んでる最中にも

「おや?1時間前よりなんだか若返ったみたいだけどどうしたの?」

とかとにかくいい加減なヨイショ台詞を連打されていて、その変わらぬ適当さをとても懐かしく嬉しく感じたのでした。いやはや、いつまでもそのお家芸を見せていただきたいものです。

と、先輩の適当発言をまるで伝統芸能のように味わい愛でる私ですが、これ、同じことを違う人に言われたらめちゃくちゃ腹立つんですよね。

随分前のことですが、取引先で消極的に言ってもかなり気の合わない男性がおりまして。年が1つ違うだけの同年代の彼に

「crispyさんなんて僕からみたらまだまだ子供みたいなもんですよ。男と女の1歳差は大違いですから」

と言われてカチンときたことがあります。いや、この発言をきっかけに「ヤツとは気が合わん!」というレッテルを貼ってしまったのだったかな。もうすっかり忘れたけれど。

が、もしかしたらこの発言も先輩と同じく単なる女性への社交辞令的なお世辞だったのかも、と今になれば思うのです。

関連 その出来事に意味を持たせるのは誰だ。

お互いの年齢を初めて知った時にあら、同年代ですね!と私が言った後だったので、いやいやたった1つ違いだとしても女性に対してはより若さを強調して差し上げるべき、それが礼儀でありマナーだ、などという彼なりの気遣い、優しさだったとも受け取れるわけで。しかし当時の私は (ああ?女だからって舐め腐ってんのか、コイツ) と受け取ってしまったわけですね。口が悪くてすみません。

件の男性とは以後もギクシャクしたままなんとなくお互い牽制しあって業務終了となり、以後二度と会うことはありませんでした。まあお互い大人だし、仕事なので別に分かり合えなくても業務は業務としてきちんと遂行できるのですが、今考えればなんとも自分の心の狭さを露呈したエピソードだなあと。

関係性や個人のキャラクターによって言われて嬉しい言葉、嫌な言葉は変化するのが当然だとしても、結局のところ

「嫌いなヤツには何されてもムカつく」

という身も蓋もない典型的なパターン。そして結局何に一番ムカついているのかといえば、自分に対してなのだ、とも。

結局は、自分に一番腹がたつ

この男性との間にはちょくちょく似たような出来事が起こったのですが、その度にまたかよぐぬぬ…と苛立ちつつもどうにかやり過ごしていました。

友達でもなければ同僚でもなくあくまでもクライアント。お客様を相手に多少腹が立つことがあっても聞き流すのは普通のことなのだから、私が我慢していればいいのだ、そうだそうだ。と、相手に正直な気持ちをぶつけられずにいる状況を仕事とか常識とか年齢のせいにしている自分に対して実は一番腹が立っていた。

もしかしたら普通に

「仕事ですし、女性だからとそのように扱われるのは落ち着かないのでやめていただけますか」

とでも言えば、

「おっと、すみません。そんなつもりじゃなかったんですが失礼いたしました」

なんて返ってきて一件落着、となったかもしれない。まあ、ならないケースのほうが多いだろうけど、少なくともわだかまりなく仕事をするために自分の考えを相手にきちんと伝えたという小さな達成感は残ったはずです。

気にしないスキル

実は冒頭のキーボードの記事に対して、長文のメールをいただいたことがありました。

その方はご自身が日々会社でどれだけとある人物に迷惑をかけられているか、その人物の打鍵音がどれほどのボリュームであるか、どれほど仕事ができなくて、みんなに嫌われていて、空気も読めない最低な人間であるかということを事細かに書き記して送って来られたのです。それは書くのに30分、いや、1時間くらいかかったんじゃないかと思われる力作で、相当な怒りに満ち溢れていました。

どうしてそんなメールを私に送ってこられたのかはわからないし、当然私に問題を解決する力などないのですが、そのメールの内容もやっぱりどこか

「言えない自分」

に対する苛立ちが見て取れたのです。

いや、もしかしたら「気にしないことが一番の解決策」だなんて無責任に締めくくった私への抗議のメールだったのかもしれませんが、そうであっても私が自分に対して抱えていたあの腹立たしさとどこか通じるものを感じたのは事実。

(メールを下さったのはおそらく通りがかりの方だったと推測しますが、もし今これをお読みになっていたならばどうかお気を悪くされませんように。)

気が合わない人と無理に仲良くする必要などないので、たとえどんな関係でも疎遠にできるならしてしまったほうがうまくいくこともあります。

関連 母が憎い。母と娘の確執と家族の距離感。

でも、どうしても毎日関わらなくちゃいけない相手なら、不満を悶々と抱えてないで面と向かってにっこりと(←ポイント)伝えてしまった方がいいのかもしれないなあ。それこそ

「キーボードの音が気になるので、もう少し静かにしていただけませんか(ニコッ)」

って。お願いすれば案外すんなり解決したりして。

まあそれができればイライラなんてしませんよ、って話ですね。となると、やっぱり必要なのはスルー力、でしょうか。

「気にしない」

って、朗らかに生きていく上では案外重要なスキルですからね。

 




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