未知の味、ミニマリスト主婦の困惑。
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最終更新日:2021/06/06
ミニマルライフ
私がまだ10歳かそこらだったので、昭和50年代の話です。
我が家のマドンナこと実母は、若い頃から極度の人嫌い。
70代ミニマリスト主婦のセレブ生活。
いや、嫌いかどうかは知らないけど、コミュニケーションが得意ではないことは明らかです。
よって、私も幼い頃から友人を自宅に招いたり、逆に友人宅にお泊まりに行ったり、という機会をあまりもたないまま育ちました。
おやつタイムにうっかりクラスメイトを招こうものなら、なんで夕飯前に他人を家に入れるのかとか、相手するのが大変だったとか後々ネチネチ言われるし、私のお泊まりに至っては「よその子が泊りに来るなんて、先方が迷惑がるに決まっている(だって私なら絶対嫌だから)」というマドンナ常識ブロックを受け、一度もかないませんでした。
しかしある日のこと、町内の同級生えみちゃんが夕刻にうっかり遊びに来て、2人屋上でゴム跳びなどして遊んでいると、マドンナなりに気を利かせておやつを持って来てくれたのです。
マドンナお手製・未知の甘味に遭遇したえみちゃんはいたく感動して
「こんなおいしいおやつ食べたことない!こんなすごいもの作ってくれるcrispyちゃんのお母さんってすごい!」
と、大興奮&大絶賛したのでした。
先日その「おやつ」を久しぶりに食べて、あの時のマドンナの微妙な苦笑を思い出した次第です。
未知の味、ミニマリスト主婦の困惑。
自分から積極的なコミュニケーションはとりたくないが、他者から褒め称えられることは好きなマドンナが、なぜ微妙な顔を見せたのか。
それは、えみちゃん大絶賛のおやつはただの冷凍バナナだったからであります。
皮をむいて切って冷凍庫に放りこんでおいただけの果物を大絶賛されたところで、いやワタシ何にもしてませんがな、むしろ冷凍庫の仕事ですやん、という気持ちだったのでしょう。それがあの微妙な表情につながったのでしょう。
「果物を凍らせて食べる」なんて、今では珍しくもなんともないけれど、冷凍庫つき冷蔵庫が一般家庭に普及したのは1960年代のこと。えみちゃん家が特殊だったのではなく、当時はまだ冷凍バナナがメジャーな存在ではなかったとしても不思議ではありません。そもそも、戦後にまたバナナが手頃に入手できるようになったのも、70年代になってからだしね。
褒められたから、というわけでもないでしょうが、マドンナはその後も度々バナナを冷凍していました。それに習い、私もバナナを冷凍庫に忍ばせていたものです。
しかし生まれつきのズボラ体質の影響で、食べやすく切ってから冷凍するという一手間が面倒で、かといって丸ごと冷凍すると非常に食べづらく、いつしか凍らせなくなっていました。
先日100年ぶりにバナナが余ったので、戯れに冷凍バナナについて検索してみて、目から鱗。
そうか、ラップに包んで平らに潰せばいいのか。平たいバー状にして凍らせると、手でポキっと折って食べられるんだ。そうだそうだ、そりゃそうだ。
考えればすぐわかりそうなことなのに、なぜ若かりし日の私は頑なに丸のまま凍らせて、懸命にかじっていたのでしょうか。馬鹿なのでしょうか。馬鹿なのでしょう。
50手前にして知ったバー状冷凍バナナは、食べやすく美味しく懐かしい。コンビニには今どきスイーツがいっぱい並んでいるけれど、冷たいお菓子はこれがあればもう十分だなあ。などという枯れ気味の感想をうっかり漏らしてしまう2021年の初夏であります。
潰しバー状冷凍バナナ。今度マドンナにも教えてあげよう。もうやってるかもしれないけど。
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