残酷な真実と、壁の血のり。
営業再開したいつものカフェに入ると、パンがまだ焼けていないのだという。あと3分かかるとのことで、先に2階に上がり席を確保しようとしたら、一番乗りだった。開店時間すぐに入店したのだから、当然か。朝の忙しい時間にわざわざ持ってきてもらうのも悪いので、3分後にカウンターに戻り、焼きたてのパンを手渡される。
午後はクライアントと約2ヶ月ぶりの対面打ち合わせ。この騒動後の戦略もすでに綿密に練られており、さすがだなと感心する。こういう戦略的計画的思考のカケラでも持ち合わせていたならば、自分の辿った道筋はもう少し美しいものだっただろうか。
打ち合わせ後、山手線車内で隣席に座っていた外国人女性が、断続的に大声で叫んでいた。どこの言葉なのかは判別がつかない。電話の相手に怒り叫んでいるのだろうと思っていたら、ちょいちょい日本語らしきものも混じっていて、あれ、もしかしてひとりごと?と気になり始める。しかし、いずれも不正解。はす向かいに座っている温和そうな男性がパートナーであったらしく、荒々しい言葉の数々は、彼に向かって投げつけられていたのだった。激情をぶつけられている彼はただただ静かに彼女を見つめ、微笑むばかり。周りへの配慮からか、時折人差し指を口元にあて「しぃ〜」とやるが、応戦する気配は全く感じられない。さまざまな、愛のかたち。
夜は大根と油揚げの味噌汁、ぬか漬け、小松菜のナムル、親子煮で晩酌。簡単なもので済まそうと思ったが、常日頃簡単なものしか食べていないので、何も代わり映えしない食卓となった。
夕食時に軽く飲んだら、風呂に入ってさっさと寝てしまう。孤独大好き人間はおこもり生活に不便を感じないものだけれど、弊害もある。たまに人と会ってみっちり話すと、みるみる消耗してしまうのだ。
すっかり明るくなった空が目に飛び込んできてしまった寝坊した!と飛び起きるも、まだ5時。そして残酷な真実と直面する。今朝の数値はウエスト-4cm、下腹-6cm。
2週間でウエストマイナスんcm、お腹ぶよぶよ大作戦2020。
夕食後にチーズやナッツをつまみにワインやらウィスキーやらを飲まなければ、腹は確実にへこむ。ここのところ、ぶどうにはまって毎夜つまみとしていたのもよくなかったか。最近よく出回っている、皮ごと食べられるぶどう。あれが妙に旨い。
すっかり日課となった朝のストレッチと腹計測をしていたら、壁にムカデのようなものが張り付いているのが見え、血の気が引く。が、よくよくみたら壁に色がついているだけで、それは血のりのようだった。壁にとまった蚊を仕留めて、壁に色がついてしまうあれの巨大版というか。
部屋に虫の残骸らしきものは見当たらなかったので、これは、私の、血か。しかし、心当たりもなければ傷跡も痛みもない。気味が悪いので早急に拭うと、どうやらチョコレートのような気もした。ますます原因がわからず、放置。
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