母が憎い、娘が憎い。母と娘の確執と家族の距離感。

公開日: : 最終更新日:2020/05/14 生き方と考え方

普段は静かな我が町内ですが、珍しく異様に騒がしい夜がありました。

聞こえているのはヒステリックに泣き叫ぶ女性の声。

こ、これは何かの事件では?

などと一瞬身構えたのですが、様子を伺っているとどうやら電話で口論しているだけの模様。

相手は、おそらく女性の母親だと思われます。

嫌い、憎い。母と娘の確執問題

ここまで会話の内容がはっきりと聞き取れてしまうのはなぜ?と窓から外を窺ってみると、女性は通りの真ん中で携帯電話を使って大声で話をしていました。女性のあまりの剣幕にご近所さんも何事かと次々表へ飛び出して通りを確認しては、事件ではないとわかって安心しつつ、彼女の剣幕に微妙な表情を浮かべて部屋へ戻って行かれました。

目の前で取っ組み合いの喧嘩が繰り広げられているならばともかく、電話での口論は第三者には止めようがないですもんね。

あまりにも大声で話しているものだから会話の内容がほぼ理解できてしまったのですが、どうやら元々折り合いの悪い母娘が金銭的なことで揉めている様子。詳細をここで書くつもりはありませんが、

「産んだっていうだけで、私の人生好きにしていいとでも思ってるの?!」

という女性の叫び声が悲しく耳に残りました。

さて、この女性ほど深刻ではないにせよ、実の母親との関係に悩んでいる方は多いようです。実際に私の周りにもちらほらと。

参考 難しい実家断捨離問題。本質は別のところにあるのかも。

もちろん、兄弟間とか夫婦間で揉めることだって山のようにあるけれど、なぜか重たく感じてしまうのが母娘間の確執。同性同士ゆえ、問題が拗れるとどんどん深みにはまっていくからでしょうか。もともとは親友同士のように仲が良かった母娘が何かのきっかけで激しく憎み合うようになる、なんていうケースもあるそうで。

母親と分かり合えない

社会に出れば周りは決して気の合う人ばかりではないし、同僚や友人、自分が選んだパートナーとのトラブルだってある。そんな中、絶対的に自分の味方でいてくれる家族の存在は本当にありがたいもの。だからこそ、血を分けた家族と分かり合えないのは辛いわけで。

参考 あなたの母親はどんな人ですか?~受けた影響を考える (日経ウーマン)

なんて家族の話になるといつも

「あなたのところはいいわねえ」

と言われてしまう仲良しcrispy家ですが、実は私も若い頃はずっと母親のことが苦手でした。

苦手、というよりもう少し強めの否定的感情を持っていたといったほうが正しいかもしれません。

大人になってからもこの人とは絶対に分かり合えない、そう思い込んでいたのです。

そして、今でも別に分かり合えてはいません。

私の母親はちょっとエキセントリックというかなんというか、なんとも変わった人。変わった人、を言い表すエピソードは枚挙にいとまがないのですが、本題とは逸れるのでここでは割愛。私が子供の頃はかなりヒステリックな面もあり、なんでもないようなことで大声で怒鳴りつけられたり、平手打ちが飛んでくるなんてことは日常茶飯事でした。

ああ、この人ホントにムリだわ…。

子供の頃から苦手意識を持ち続け、成人してからも暫くはその気持ちは変わりませんでした。

が、今では別にムリじゃありません。
母も私も根本的には何も変わっていないし、分かり合えてもいませんが、まあそれはそれとして元気でいてくれればいいや、と思っています。

きっかけは、別にありません。
敢えて言うならば

「距離ができた」

ことでしょうか。

家族の距離感

By: Alan L

私の場合、実家を離れて一人で生活するようになってから家族間の関係が極めて改善しました。

元は他人である友人でも夫婦でも長年一緒に暮らしているとどうしても遠慮がなくなってしまうもの。ましてや血の繋がった家族となると尚更です。
が、たまにしか会わないとなれば話は別。ちょっぴり他人行儀にお互いを思いやる余裕が生まれてくるのかもしれません。

そしてこれは物質的な「距離」だけじゃなく、心の「距離」も同様。

家族だから、親だから、と思うと行動や発言にあれこれ腹が立ちますが、ぐっと距離を取って顔見知りの近所の奥さん、くらいの感覚で接していれば解決できる問題もあるはず。残念ながら家族との関係は「血が繋がってさえいれば必ず分かり合える」なんて単純なものではないのだから、存在自体にストレスを感じるならばもう家族としては密に付き合わない、という選択肢もあるのです。

参考 セブ島のホテル暮らしで実践する持たない生活。

なんだか一見悲しい選択に思えるかもしれないけれど、そのほうがお互い幸せなことだってある。一緒にいるだけが愛情ではないし、家族だからなんでもかんでも受け入れなくちゃ、分かりあわなくちゃ、なんてことはないはずです。

もちろん長い人生では相続や金銭問題、介護問題などで嫌でも関わり合いを持たなくてはならない場面もあるでしょうが、基本的にはあまり積極的に交流を持たない、というのも一つの方法。会えば、話せばいつも口論になる、目に入るだけでストレスだ、とお互い感じているのならば、なるべく接触せずにそっとお互いの幸せを願う、そんな家族関係があってもいいのではないでしょうか。

ドライでも、心地よければそれでいい

家族仲がいい、なんて言っていますが、普段は親に電話の1本も入れない私。両親の顔を見るのは年に一度の正月だけなので、ベタベタ付き合っているわけではありません。おまけに両親は私が今どこに住んでいるのか、どんな仕事をしているのかすら知らない。特に詮索もしてこない。

「元気でやっているならそれでいい」

そう言ってくれます。

こうして書き出してみるとなんだか殺伐としていて全然仲良くなさそうですが、それでも会えば笑って話をしながら鍋をつついたりしている。
なんだかこれで十分だなあと感じるようになりました。

いろんなことがあったけど、ドライであっても心地よい今の関係が一番しっくりくる。そして、あんなに苦手だった母親が幸せな老後を送っていることがとても嬉しいのです。

参考 ささやか過ぎる平凡な人生は退屈か。

お互いの性格やスタンスは根本的には変わらなくても、考え方や付き合い方をほんの少しずらすだけで辛い状況を少しづつ変えられる。

もちろん、実際には物事はもっと複雑で簡単にはいかないことも多いし、道端で脇目もふらず泣き喚いていた件の女性はきっと重大な問題を抱えているのだとは思うけれど、私だってあのままでいたら彼女と同じ状況になっていた可能性はあるわけで。

大きなお世話は重々承知の上だけど、あなたの人生はあなたのもの。お母様との確執に心を乱され続けるよりも、そこはひとまず置いといてまずは自分の人生を優先したほうがいいよ、などと心の中でそっと呟いたのでした。

人間は生まれ育った環境や母親の影響を強く受けています。残念ながら、人は生まれながらにして平等であるとは言えません。
しかしながら子供の頃はどうであれ、大人になって自分の人生を自分でコントロールできるようになれば、少なくとも今の日本では育ちや親の影響云々に関わらず自分の生き方は自分で決めることができる。

私はそう信じています。





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