本職?人間だ。
公開日:
:
最終更新日:2022/11/27
音楽、映画、芸術、世界
東京都美術館で開催中の岡本太郎展に行ってきました。
岡本作品のほぼすべてを所蔵する川崎市岡本太郎美術館と岡本太郎記念館が主催者として参画。両館の全面協力のもと、主要な代表作・重要作が勢ぞろいするほか、国内各地の美術館からの出品作品を加え、岡本芸術の全容に迫ります。
展覧会岡本太郎
そういや今年は秋に太陽の塔にも行ったんだっけ。
2022年は、思いがけず太郎イヤーになりました。
東京都美術館「展覧会岡本太郎」へ。
結論から申し上げると、大変素晴らしかった。
展示の内容については以下のサイトが詳しいです。
岡本太郎の大規模回顧展、東京に巡回。大阪展とはまったく違う体験を(美術手帖)
太郎作品における東西の代表作ともいえる、「太陽の塔」と「明日の記憶」がまとまった(もちろん、いずれもレプリカね)展示や、クライアントワークのデザインエリアも楽しかった(近鉄のキャップ懐かしい!ウイスキーのノベルティの顔グラス欲しい!)けれど、今回最も印象に残ったのは「過去作品への加筆」でした。
「春」「娘と犬」など、長らく行方不明とされていた初期作品が、実は後年太郎の手で加筆修正され再発表されていたらしい。ということが近年の研究でわかってきたそうで。
価値ある作品を加筆修正というと、以前大騒動になったスペインのキリスト画修復事件を思い出さなくはないですが、太郎の場合は本人の意思により、本人が手を入れたもの。自身の作品をどう扱おうが勝手だし、太郎は自身の作品をほぼ販売しなかったのだから、他人の所有物に手を加えたわけでもない。何も問題はありません。
でも、すでに発表して、評価された作品を、上書きしちゃうんだ!という驚き。過去の栄光に固執せず、己を型にはめず、前進し続ける。そんな姿勢の表れなのか。もしかしたら「うーわ、昔の自分恥ずかし!下手!手直ししたろ!」みたいなノリだった?さすがにそんなわけないか。
ところで、音声ガイドを担当した阿部サダヲ氏について。ちょいちょい太郎のモノマネ入っていたのは気のせいでしょうか。
こういうのって、行きたいと思っててもうっかり期間逃しちゃったりしがちじゃないですか。特にそろそろ師走(!)に入ってただでさえ慌ただしくなる時期、早めに予定入れてお出かけください。12/28まで開催、金曜日は20時までやってますよ。
上野「北畔」酒の肴盆。
美術館を出て向かったのは、上野の居酒屋「北畔(ほくはん)」。料理研究家の阿部なをさんが昭和34年に創業した、東北料理がいただけるお店です。
上野の居酒屋 北畔
開店すぐの時間にも関わらず、テーブル席にはすでに数組のお客さんが。私はひとり客にちょうどいいカウンター席に通されました。
ここ北畔の「酒の肴盆」なる6種のつまみがセットになったメニューがずっと気になっていたのですよ。ビールと共にオーダーすると、店員さんは
「はい、お盆ですね」
とにっこり。そうか、お盆で通るのか。次からは私もお盆お願いしますって注文しよう。
お通しの銀杏をつまみながらビールを飲んでいると、やってまいりました。
小松菜のおひたし、もずく酢、しらたきのたらこ和え、にしんの切り込み、かにみそ、とんぶり、バイ貝の煮付け。
寒さ厳しい地域の料理は濃い味付けのものが多い印象があるのだけれど、こちらのおひたしやたらこ和えは私好みのやさしい味。その分、かにみそやにしんの塩辛さが引き立つバランスの良さにうっとりします。
これは早々に、日本酒に切り替えねば!
青森の地酒、じょっぱりを選択。お猪口に並々注がれいてこれまたにっこり。
季節ごとに変わる一品料理や冬限定の鍋料理も魅力的だけど、中年女のひとり飲みでは到底戦えそうにない。一方で、このお盆のちょうどよさときたら。
それぞれのうつわのサイズは小さく可愛らしく、肴は一口、二口で食べ終わってしまうくらいの量。でも、あれこれちょこちょこつまみんでちびちびやりたいひとり飲みには、この小ささがかえってありがたいってもんですよ。
お会計は酒2杯とお盆で3千円ちょっと。カウンターは居心地がいいし、お盆も楽しいし、またこよう。
気になる場所へ出向き、心踊る体験をして、美味いものを食べ飲みする。私が人生で最も大切にしたい時間を満喫できた、大満足の1日でした。
私だって本職は、人間だ。だからこそ、日々自分の本質を大切にしながら過ごすのだ。
関連記事
-
音楽CDをデータ化 groovy vol.4 (1999)
By: tim[/caption] 前回うっかりデータ化したCDに関する記事を書いてしまいま
-
おばさんホイホイは真実だった。
以前友人が突然アイドルグループにハマった話を書きましたが。 モノを持たない人間の好奇心
-
70’S原宿カルチャーを代官山で。東京散歩・渋谷区
近場の旅でも旅は旅。 ということで改めて東京都内をしっかり「歩く」お遊びを続けています
-
人間は、そういうふうにできている。
先日うっかり通しで聴きましょうキャンペーンの開催を決定してしまったこともあり。 方向性
-
レアCD、コレクターズアイテム価格の不思議。
By: Jordan Cameron[/caption] 捨てる捨てる詐欺とうとう脱出。
-
見習うべきは、ていねいな暮らしなんかじゃない。
「ていねいな暮らし」なる表現がものすごく苦手なのは、自分がその対極に位置する人間だからという
-
限りある貴重な時間を溶かしている。
短期間で2周した話。 王さまが気はやさしくて力持ちすぎて、それを観られただけでもよかっ
-
強い気持ち、強い愛、経験値の違い。
いかにもメロメロして泣かせにかかってくるヤツより、ある程度のアホっぽさとかドライな質感を持つ
-
死ぬまでにしたいこと、私のいない、私の人生。
キャッチーな邦題に引っ張られてむしろ内容がわかりづらくなるパターンは多々あります。 「
-
ボサノバ日和のElis Regina。
昼からワインを楽しむ贅沢な日曜日。 ワインのお供にYoutubeでボサノバを聴き漁っていました
- PREV
- 横浜丸紀の深蒸し焼きそば。
- NEXT
- 出汁巻染めおろし、きのこと小松菜のおひたしで晩酌。
Comment
またまたコメント失礼しますー
例の深蒸し焼きそばを
やっと食べたのです
私の好きな焼きそばが
見つかりました!
もうこれしか食べない!笑
もちろん目玉焼きも乗せて…
とても美味でした
有益な情報を
ありがとうございます!
そして、私もよく上野で
一人酒をやるのですが、
北畔、素敵なお店ですね
一人だと大統領や味の笛に
よく行くのですがそことはまた
違った良さのお店!
絶対に行こうと思ってます
そして、目玉焼きだけかと
おもったら厚焼き卵まで…
私にはたまらない情報ばかり…
本当に毎回ありがとうございます
まろにーさん
早速深蒸し焼きそばのご感想をいただけてうれしいです!って、別に私が作ったんじゃないですけども、妙にありがたく感じるのはなぜでしょう。周りでこの焼きそばを知っている人がいないので、感想を共有できずにいましたが、焼きそば好きまろにーさんのお口にも合ったならば、これからはさらに自信を持って人様におすすめできます。
そして味の笛に大統領とは!わたくしもよく立ち寄る店であります。これからの季節はたきおかで牛にこみってのもいいですね。北畔もぜひ行かれてください〜。また機会があれば酒場ネタも書き連ねてまいります。