本当に怖い無人島 猿島日帰り一人旅 日本散歩・神奈川県。
無人島 猿島日帰り一人旅、続きです。
新しい船に必要なものがすべて揃ったこざっぱりとした施設。
無人島と言えどもここはきちんと整備された観光地。サバイバル的な匂いは皆無だね、そりゃそうか、とヘンに納得しながら散策を開始したのでした。
無人島 猿島が怖すぎる
朝ごはんを食べたデッキを後にし、チケット売り場で入手したパンフレットを頼りに進みます。せっかくの大自然散策、ここからは元春にはおやすみいただいて、動植物の奏でる音色を聞こうではないですか。
木が生い茂る道に一歩踏み込んだその瞬間、耳を突き抜けるしんとした静寂、むせ返るほどに濃い緑の香り。
さっきまであんなに暑かったのに、背筋は既にひんやり。寒いと言っても差し支えないほどの急激な温度差に混乱する。
今この島を散策しているのは、さっきの始発に乗っていた人(BBQおじさん除く)だけなんだよな。ほんの十数人ってとこか。
怖い。
マイナスイオンばしばし出てる感じはすごくするし、静かでひんやりとしていて気持ちはいいけれど、怖い。
この静けさも、寒さも、匂いも、足元を通り過ぎていく虫たちの存在も怖いけど、もしも今目の前に熊的な何かが現れてすごまれでもしたら私、確実に負けるよな、などという非現実的な妄想すらも恐怖に加担する。
いや、敵は猛獣のみならず。
この橋を渡ったところに善良な観光客を装った腕利きのアサシンが潜んでいて、ズドン、とか。
ここ猿島は旧日本軍の要塞島でした。幕末に基礎が築かれ、明治に入って建設された砲台跡や煉瓦積みの弾薬庫が当時の状態で残っています。
フランドル積みと呼ばれる煉瓦積みを用いた建造物は、日本国内ではあまり見られないそうで。
煉瓦積み。確かに美しくはあるけれど、このタイミングでトンネルは怖すぎるでしょう。まさか、通れというの?
いやいやいや。
何がラピュタだ、どこが幻想的な大自然だ。めちゃくちゃ怖いじゃないか。
あ、出口に人影が見える。でも、あの人が追手だったらどうすれば…(錯乱)。
もう、出してええええ。
ってのは大げさですけども、とにかく怖い。うらめしや的おばけ類にはさほど動じない私ではありますが、自然の圧倒的なパワーと肌で感じる歴史の重みに、なんだか心穏やかでいられないのです。
元要塞と言っても、この施設が実戦で使われたことはありません。それでも1945年までは民間人の立ち入りは禁じられていたのだとか。
その後設備が整えられ1957年に海水浴場として解放されるも、閉鎖、再開を繰り返し、横須賀市管理の元で現在の状態になったのが1996年。そうか、結構最近なのね、と思ってしまうけど、安全・気軽に歴史に触れ、自然を楽しめる場所として親しまれて早20年。
整備が行き届いたレジャー施設の顔を見せるエントランスと、島の中の表情が全く異なる。それがここ猿島。
怖いのは平日の朝一に上陸したからであって、夏休み期間ならばもっと和やかな雰囲気の中で散策できるのだろうけど。
自然には抗えない
這う這うの体でトンネルを脱出し、砲台跡から海を望む。
条件が揃えば、ここから東京スカイツリーや富士山が見えるのですよ。
展望台まで歩くとさすがにまた汗が出てくる。
ああ、ここはなんという美しく恐ろしい島なのでしょうか。
これほどまでに自然に脅威を感じてしまうのは、私が都会生まれの都会育ち、ひ弱な生粋の都会っ子だからでしょう。そしてここのところ立て続けに起こっている災害も無関係ではない。
砲台跡付近に一部立ち入り禁止になっていた箇所があったので調べてみると、この島も例外ではなく。
猿島公園における土砂崩れ事故について(横須賀市)
災害から身を守るためにできることはあっても、人間の手で自然を完全に抑圧することはできない。そう感じるからこそ、しんとした木々の中にひとりぽつんといる状況に怯えてしまうのかな。
島内を一周歩いて元の位置に戻ってみれば、カフェがオープンしていてパラソルも設置済み。ここはやっぱりレジャー施設然としていて。なんだか夢から醒めたような気分です。
怖い怖いと言いながらも写真を取りながらくまなく歩いたので、1時間では足りず。結局予定より1本遅れの10:40の便で戻ることに。
BBQ組、灼熱の太陽に負けじと焼いてます。
この日はまだ海開き前だったけど、もう夏休み時期だし、これからは海水浴客で賑わうのでしょう。
売店でビールを買うかどうしようか迷いつつ、ここは一旦我慢することにして、しばしベンチで元春を聴く。このアルバムは前半がいいね。リリース時はA面だっただろうね。
あー、ビール飲みたいな。飲んじゃおうかな、と思い始めた頃に戻りの船が着いたので、おとなしく乗り場へ移動します。
滞在時間ほんの2時間の無人島ショートトリップ。
怖い怖いと散々文句を言いましたけども、恐ろしいほどの大自然を感じられるのに足元はしっかり舗装されているので普通の服装でOKだし、船は気持ちいいし、手ぶらBBQできるし、東京から近いし、何かと「ちょうどいい」お出かけスポットかと思います。
ただ、油断してると、怖いよ?
戻りの乗船時は検札ナシの顔パス状態。この島にいる人は船に乗ってきた人しかいないのだから当然といえば当然なんだけど、なんだかちょっと不思議。
行きは冷房完備の室内乗船だったので、帰りは2階のデッキで風に吹かれてみます。
さらば、猿島。あんた怖かったよ。
なにこれめちゃくちゃ気持ちいい!
日除けが皆無なので帽子か日傘必須だけど、風のおかげで涼しいし、景色最高だし、この日は富士山もしっかり見えたし、やっぱり船は外席がいいね。
あっと言う間に三笠桟橋に到着。10分は短いなあ、もっと乗ってたいよ。
正午に近づき、さらに日差しが強くなってきた。再び横須賀中央駅付近まで戻ります。つづく。
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Comment
人工物はある。なのに人の気配が(すく)ない。
っていうのは、どこか底冷えを感じますね。ソフトな悪夢、というか。
しかし、俄然行ってみたくなりましたよ。うっすらした恐怖にふるえたい。暑気払いになりそうだし。
チャンスがあれば船にのりたい性質なので、往復が船というのもぐっとハートをつかまれました。
片道10分か・・・。これはもっと乗りたいですよねえ。
crispyさんのお漬物に、日々、目から涼をいただいております。ああ、ぎゅうっと噛んで、にじむ酸味を飲み込みたい・・・。で、冷酒でもって、しゅっと舌を洗っちゃいたい。
うう。
memeさん
そうなんです。思いの外、怖かったのです。
売店のあるあたりから一歩森林に足を踏み入れた時のあの温度差には文字通りヒヤッとしました。常日頃から嘘・大げさ・紛らわしいのJARO案件上等な私ですが、これはホント。木とは、木陰の威力とは…と、圧倒されてしまいました。
天気の良い日ならばこの船はかなり気持ちいいのでおすすめです。すぐに着いちゃうのはちょっと物足りないけれど、小旅行気分は十分楽しめますよ〜!