選択肢過多(Choice Overload)その2 選択肢を減らして、リソースを増やす。
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最終更新日:2018/09/28
ミニマルライフ
さて、選択肢過多(Choice Overload)に関して続きです。
参考 “選択肢過多(Choice Overload)” 多くの候補から選べるのが幸せ?
選択肢過多(Choice Overload)はマーケティング用語なので、前回引用した文はいかに消費を促すか?という視点で書かれていますが、選択肢過多のデメリットについては買い物以外の場面にも当てはまります。
例えば、女性の半数以上が1年に1度は言うであろうこれらの台詞
「服はいっぱいあるのに、どれを着ていいかわからない」
「急に寒く(暑く)なったから、何着ていいかわからない」
「この歳になると、何着て(略」
たくさんあるのに、今必要なものがない
これらの例は選択肢が多いけど、選びきれていない、または自分の「選択能力」に対して所有物の割合が多すぎる、ということになるでしょう。
クローゼットにはたくさんの洋服が揃っているにもかかわらず、どれを選べばよいかと迷うことがストレスになる。なんとも贅沢な話ですが塵も積もればなんとやら、ささいなことでも毎日、毎回になると事態は結構深刻です。
断捨離の効果として心が軽くなった、というものがあるようですが、選択肢を減らすことで「選ぶストレス」を軽減できることも大きいのでしょう。
結局モノを減らすとは自分の所有能力と対峙する行為なのかも。持っているモノが多すぎて正しい選択ができなくなってしまったらそれはもうキャパオーバー。自分のスケールを悟ってそれを受け入れ、潔く減らすことを心がけたいものです。
同じ服しか着ないという選択
「服を選ぶことを考える時間が無駄だから」という理由で同じ服しか着ない、という著名人は大勢居ますよね。
参考 Facebook CEOおなじTシャツ20枚を着まわし(CNN)
個人的にはせっかく同じシャツを着るなら100枚は持ちすぎじゃないの?と思いますが、まあそれはおいといて。
しかしこういうスタイルを持っているのは大体男性、しかもファッションにこだわりのなさそうな(すみません)人ばかりですよね。もしかしたらそもそもファッションに疎く毎朝組み合わせを考えてもうまくスタイリングができないので「苦手分野はいっそ切り捨ててしまえ」と、マイスタイル固定になったのかもしれません。知りませんよ、あくまで想像ですから。
女性が同じ服しか着ないのは可能か?
NY在住の女性が1着の黒ドレスだけを365日着まわす過ごす様子を綴ったブログが以前話題になりました。
彼女はかなりのおしゃれさん。小物を上手くつかうことで1枚の黒ドレスに毎日変化をつけて着こなしています。が、同じ『マイスタイル固定』でも、前述の男性陣との違いは彼女の場合はこれが目的を達成するための手段だということ。時間効率化やミニマリズムのためにやっているわけではありません。
参考 同じ黒ドレスを365日間着回し学校建てたシーナのスタイルブックが日本語に(live door ニュース)
私世代が参考にできるようなおしゃれな日本人でマイスタイル固定派女性はいないのか…と、考えてみたら、いました。
BEAUTY ARTISAN 田中宥久子オフィシャルサイトより
※2015年6月追記
リンクを貼っていた田中宥久子さんのオフィシャルサイトは閉鎖されたようです。
田中 宥久子さん。「造顔マッサージ」で一世を風靡し2012年に67歳で亡くなった彼女。公の場ではいつも黒のパンツスーツに黒のボルサリーノ、黒ふち眼鏡というまさにマイスタイル固定の女性でした。
こういうスタイル↓
とてもお似合いで素敵でしたよね。
とはいえ、女性の場合20代30代では田中さんのように固定のスタイルで通すのは少々難しいかもしれません。
毎日同じ格好で仕事に行くわけにもいかないし、流行のブランドモノだって欲しい。雑誌で人気のモデルが着用した洋服は飛ぶように売れるといいますが、雑誌で見たあのスタイリングそのまま真似したい!なんていうのも若さの特権のひとつに思えます。
参考 女はおしゃれを楽しまなくちゃ!という何の根拠もない呪縛。
が、若いうちにあれこれ失敗や散財をしながら勉強する期間を経た40代、50代、60代ならマイスタイル固定はアリなんじゃないか、と思うのです。むしろ潔い。私はまだまだ煩悩にまみれている(?)ので手放せないものも多く達観できていないですが、いつか自分の定番スタイルを構築できたら面白いなという憧れは持っています。
既に着るものや自分スタイルの「路線」は確立しているので、もう少し先、60代くらいに完成できたらいいかな。
「こだわり」は絶対に必要な要素なのか
ほんの十数年前までは「モノにこだわりがある人、モノをたくさん持っているほど豊かでクレバー」という考え方がとても強かった気がします。
けれどただでさえ選択肢の多い現代において、自分にとって本当はどうでもいいことにまで義務感や世間体にとらわれてこだわり続け、時間を費やしモノを増やし「ちょっとウルさい、わかる大人」を演出するのはもはや滑稽な気が。
どの学校に入るか、どんな仕事をするか、どこに住み誰と暮らすか、などの大きな選択ばかりでなく、朝傘を持って出かけるか、ランチの店から柔軟剤の香りまで、生きていると毎日毎分が取捨選択の繰り返し。ランチの店を決めてもまたメニューを決めるという作業が待ち受けているけれど、人生で起こる全てのことにこだわりを持つ必要はないのではないでしょうか。
食べることに興味がないのであれば毎日同じ店の日替わり定食を食べればいいし、服にこだわらないのであれば、毎日同じ服を着ればいい。その分浮いた時間と思考のリソースを、自分にとって本当に大切なことに費やして生きていきたい。今はそう考えています。
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