思い出のモノを整理して、過去の自分と対峙する。
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最終更新日:2018/09/28
ミニマルライフ
基本的に本や雑誌は読んだら処分しています。
私にとって必要なのはそれらから得られる知識や情報をインプットすることであり、モノ自体を所有することではないからです。しかしいくつか例外的に残しているものもあります。
それは自分が仕事でかかわったものたち。
いつかデータ化する日が来るかもしれませんが、現時点では裁断もせずそのまま保管しています。
過去の自分、苦い記憶
先日うっかり残っていた本やマンガが発掘されたので整理していると、10年ほど前に某雑誌に掲載された自分のインタビュー記事が目にとまりました。インタビューの内容は自分の仕事観に関するものだったのですが、取材を受けている時に感じた嫌な感情を瞬時に思い出し、なんだかとても苦しくなりました。
なぜ私は「嫌な感情」を抱えながらインタビューを受けていたのか。
当時ははっきりとした理由がわかりませんでした。けれど長い時を経た今記事を読んで、その感情が何だったのかようやくわかったのです。
私は勤め先は変われど、同じような内容の仕事を長年やってきました。
事情があり最後に長年勤めた会社を辞める際にフリーランスになったのですが、その時本当は今までと違う仕事がしたい、と思っていました。
なぜなら、性格的にも素質的にも今の仕事は合っていないのではないかと感じ初めていたから。
しかし未経験からのスタートとなるとやはり一度はどこかで勤めて経験を積まなければならないし、それは30過ぎではもう厳しいだろうし、せっかく長年の経験があるし、フリーでやるなら今までのコネや人脈を使わなきゃ食べていけないし、などと思い込んでおり、結局その道でフリーランスになりました。
自分の考えを取り繕う気持ち悪さ
結果、出だしは順調でした。多くの仕事に恵まれ、個人では到底無理だと思える大手のクライアントから仕事をいただくこともでき、ああ、結局これでよかったのかな、とも考えました。
他の仕事がしたい、といったところで結局何をしていいかわからなかったのだし、安定はなくなったけど自由に時間が使えるようになったことは何よりも喜ばしく、フリーになったこと自体は心からよかったと思えたのです。
しかしやはり心のどこかでこのままこの仕事を続けることはできないだろう、と感じていました。
そんな時に受けたインタビュー。
仕事で面識のあったライターさんからの依頼だったのですが、今でもその時のことを思い出すとなんだか辛くなります。それもそのはず、今記事を読んでみても、そこに自分の本心なんて全くないから。私はいかにして「仕事のデキるカッコいいフリーランサーに見えるか」ということばかりに重点を置いて質問に答えていたのです。
もちろん、フリーの身分なのでインタビュー記事などのメディア露出は重要な営業ツール。ある程度のセルフブランディングは絶対に必要です。しかしそれはあくまで自分が本当にやりたいことや方向性が明確になっていれば、の話。
私は仕事に対する情熱も意義も全く見出せず大きな迷いの中にいたのに、どこかで聞きかじった仕事術や成功ストーリーを空想しながら
「いずれは今の業務内容で起業するつもりです」
なんて語っていました。
心無い嘘をついたわけではありません。ただ当時の私は完全に自分を見失っていたにもかかわらず、独立したのだからこうあるべきなのだ、という誰でもない自分が作り上げてしまったガチガチの固定概念に支配されていたのです。
ライターさんはとても熱心で優秀な方でしたが、出来上がった記事が上すべりなものだったのは言うまでもありません。だって、私の中身が空っぽなのだから。
時間を経て、ようやく見えたもの
今は時間が経ち、当時の自分を客観的に眺めることができるので、このインタビュー時に自分が感じた辛さの原因を分析することができます。
でも当時は本当の気持ちについて考えることすら怖かった。
本来なら嫌な思い出の品として処分、となるのでしょうが、私にとって今後のテーマは「自分が本当にどうしたいのかを知る」こと。世間的にどうか、人に羨んでもらえるか、尊敬してもらえるか、魅力的だと写るか、ではなくて、どのように生きていけば自分が満足するのかが知りたい。だからこの記事は大切な教訓として保存しておくことにしました。
思い出の品や経歴、実績に纏わるモノを整理するのは時に苦しみを伴いますね。
でも今回はあの頃自分に重くのしかかっていたもの、というか、自分で自分を縛り付けていた何かからはもう開放されたんだ、と認識することができました。
いやあ、こうなるまで本当に長い年月がかかりました。やっぱり、歳を取るって悪くないもんですね。
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