朝礼での社訓唱和が熱くて怖い。

ota_67

就職活動中の大学生と話す機会がありました。

慣れないリクルートスーツに身を包み、慣れない大人と向き合い、慣れない言葉を操る毎日はなかなかハードな模様です。そうでしょう、そうでしょう。

彼女が狙っているのはさほどお堅い業界ではないのだけれど、それでも非体育会系の学生目線には奇妙に映る風景があり、不安になることも多いのだとか。

例えば、社訓唱和とか。

社訓唱和の気味悪さ

「大声で社訓?スローガンみたいなのをみんなで唱和するような習慣あるじゃないですか。あれ、どこの企業もそうなんですかね」

と、ものすごく納得いかないという風に話す学生さん。

なるほど。

私もそう多くの企業を渡り歩いてきたわけではないので日本企業はどこもそうなのか、と聞かれても答えられないのですが、社訓唱和じゃなくても朝礼のやり方などに傍目には謎めいた風習を持つ企業は少なくないのかもしれません。

関連 残業手当が出ないなら残業したくない若者は「社会をなめている」?

「なんか、怖いんです。洗脳されそうな気がするし、やたら熱いし、私ここで本当にやっていけるのかなって思っちゃって」

体育系系で厳しい上下関係の中礼儀や作法を身につけてきた人ならば企業のカラーに馴染むのにそう抵抗はないかもしれません。けれどアルバイトはおろか部活動すら経験したことがない彼女が聞き慣れぬ社訓を一斉に唱和する大人たちの姿を見て驚くのは仕方ないことでしょう。

私はどうだったかなあ、と考えて思い出す。学生の頃アルバイトしていたデパートであった、ありましたよ、社訓唱和。

それは愛とか美とか信頼とか努力とかなんだかそれらしい言葉をポエムっぽくまとめたもので妙に可笑しく、毎度オール口パクで参加しつつニヤニヤ笑って茶化し倒しておりました。

その上普段は口パクのクセに同僚との飲み会で笑いを取るためだけに完全暗記するという本格的に不謹慎な従業員だったので、件の彼女のように

「洗脳されそうで怖い」

などと考えたことはありません。ちょうど同じ年頃で、同じ非体育会系だというのに真面目と不真面目の違いここに極まれり。ていうかただのバカ。

伝えられないもどかしさ

nerima19

とまあ彼女が聞き慣れぬ社訓唱和に怯える気持ちも十分わかるのですが、想いが社内で共有できない、同じ方向を向けないもどかしさもわかるのです。

例えば街のちいさなレストラン。
オーナーシェフと共に働くスタッフ数人での運営ならばレストランのコンセプトや目指す味、店づくりについて特に確かめ合わずとも肌で学び感じ取れるのですが、これが多店舗展開になるとそうはいきません。

いつの間にか各拠点が独自の解釈をし始めて、オーナーが目指すものとは違う接客になったり、異なるカラーの料理を出したりと、同じ看板を上げていてもクオリティがバラバラ、なんてことになってしまう。

となると、マニュアルを作ろうとか、新メニューの開発は本部のみでとか、朝礼で社訓を唱和しよう、とかになってどんどん面白みのない普通のチェーン店っぽくなってしまう。

そんな歯がゆい経験を私もしたことがあります。形態はレストランじゃないけれど、伝え、共有するために想いを言語化する難しさをひしひしと味わった過去があるのでよくわかるのです。

社員が一丸となって同じ方向を向けるようにスローガンを作ろう。どうせならちょっとカッコイイ感じにしたいよね、とかやってると愛やら努力やらやさしさやらなにやら耳障りのいい言葉ばかりが並び、結局どこの企業も掲げているようなありきたりな社訓ができてしまう。毒にも薬にもならないポジティブメッセージ満載のJ-POPみたいなもんですわね。永遠に諦めることなく翼広げて大空へ自分信じてフライハイ的な。

もちろん世の中にはめちゃくちゃオリジナリティ溢れるナイスな社訓も存在するとは思いますが、企業規模が大きくなるとそうそう冒険もできなくてどこかで聞いたことのあるそれらしい感じに落ち着いてしまうのは仕方ないのかもしれません。

一人でも使える呪文の力

cebu-prices-16_2

そんなふんわりとした社訓の唱和に効力があるのかどうかはわかりませんが、言葉の力というものは確実に存在する。

これは別に多くの人たちが想いを共有しなければならない企業、団体に限らず、個人にも使える技ではないかなと思うのです。

というのも、私自身この力を結構利用しているから。そして相当助けられているなと。

ああああもうダメだわこれ、うまくいかない、やだやだハイハイやめたやめたやーめーたー、となってしまいそうな状況でもふと唱えると妙に落ち着いたり我に返ったりする魔法の呪文的なものを持っているとものすごく捗るのでおすすめです。

関連 自分を疑え。

自分だけのスローガン。
唱えるのは自分だけ、さらには主に心の中でときているので別にカッコよくなくてもそれっぽくなくても全然OK。超オリジナル、だからこそグサッと刺さって効き目抜群。これならみんなで唱和するのに抵抗がある恥ずかしがり屋さんでも大丈夫ですね。

スローガンのクオリティはどうであれ、敢えて言葉にするのはただ想いをみんなと共有したいから。そう考えてみれば、社訓唱和=洗脳、ただ怖いだけの習慣ってわけでもないかもよ?なんて話をさらっとしてみたのですが、真意が伝わったかどうかはわかりません。

就職活動頑張ってください。

 




関連記事

現役ラストスパート、50代の仕事探し。

今年も無事に確定申告を終え、税金を納めました。そして、古い書類を捨てました。終わった後に、

記事を読む

つまらない人生、つまらない暮らし 犯人は誰だ。

By: Thangaraj Kumaravel[/caption] ものをあまり持たず、買わ

記事を読む

TODOリストに手を出した3つの理由。

昔から記憶力にはさほど自信がありません。昨日の会話すら覚えていないことがしばしば、といった

記事を読む

大人の学びは無駄ばかり。

サマータイムを導入してからなかなかいい感じです。 関連 活動時間を増やす 自分に最適な

記事を読む

しなかった、できなかったことで得たもの。

たとえ襟足を刈り上げたとしても、3ヶ月も経過すれば結べる長さになる。つまり、失敗しても時が必

記事を読む

仕事に翻弄されて深刻になってはならぬ。

ボーッと生きてると、特に仕事周辺のあれこれに翻弄されてイラついたり、はたまた妙に深刻になっ

記事を読む

2015年の運勢を占う。

12月に入ると来年の運勢占いが雑誌やウェブのあちこちに登場しますね。 そんなことからもなん

記事を読む

アカウントを乗っ取られた。

真夜中にふと目が覚めて、時間を確認しようと手に取ったiPodの画面に 「あなたのアカウ

記事を読む

白髪のロングヘアが与える印象。

そうそう、誕生日といえば。 定型文メッセージの恐怖と、再開のタイミング。 先日知

記事を読む

自由きままに生きることの不自由さ。

By: Lauren McKinnon[/caption] 自由とは、辞書によれば 「他からの

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

タイ・ラン島一人旅。ラン島で食べたもの、飲んだもの。

タイ・ラン島一人旅の記録、食編です。タイ・ラン島一人旅の記録

五十肩、手術したくない人間の選択肢。

重度の肩関節周辺炎、通称「五十肩」を発症し、通院治療中にさら

タイ・ラン島一人旅、島の休日の過ごし方。

タイ・ラン島の旅記録の続きです。タイ・ラン島一人旅の記録20

鍋焼きうどん
プロの独身は料理をしない。

平日は酒を飲まなくなりました。と報告したのは今年の7月のこと

タイ・ドンムアン空港からラン島への行き方。GRAB、バス、ソンテウ、スピードボート。

今回のタイ行きは成田からAirAsiaの深夜便を利用しました

→もっと見る

PAGE TOP ↑