それがすごいヤバくて私的にはあり得ない話。

公開日: : 最終更新日:2019/07/08 生き方と考え方

先日カフェで隣席に座った30代前半と思しき女性2人組が会社の後輩の言葉遣いについて熱く論議を交わしていました。

なんでも、女性の後輩である20代の男性は自分の意見全てを

「ヤバい」

で表現するのだとか。

役員も出席する会議や部内ミーティングで意見を述べる時に、素晴らしいも全然ダメも美味しいも不味いも面白いもつまらないも全部「ヤバい」で表すのでそれがいい意味なのか悪い意味なのかをいちいち尋ねなければならなくて本当に困るのだ、と憤慨していました。
確かにそりゃ大変、かも。

言葉の乱れか、或いは進化か

若い人の言葉が乱れてきている、なんてのは何百年も前から延々と言われ続けていること。私たちが若い頃に使っていた言葉も当時の大人からすれば眉をしかめたくなるような言い回しだったことでしょう。なんだろう、当時の若者言葉って、「ダサい」とかでしょうか。

と、調べてみるとやはり「ダサい」は1970年中盤あたりに使われ始めた「若者言葉」だったようで。

ダサいはナウいの対義語だったと記憶していますが、ダサいがすっかり定着したのに比べてナウいは完全に死語ですね。ネガティブワードが残ってポジティブワードが消えるとはなんとも切ない話。

そして冒頭の女性の話が真実であれば、今時の若者の使うヤバいの対義語はヤバい、になるのでしょうか。そりゃヤバい。

若い人が使う言葉や言い回しを嫌悪する大人も少なくはないでしょうが、20代の若者でなくとも「ヤバい」はなんとも使いまわしの効く、そして実はかなり曖昧な表現。ファジー(これも死語か)な言い回しを好む日本人に重宝されてそこそこ浸透している感があります。

が、今日たまたま女子高生の会話を耳にして驚愕しました。

「てかさーうちらもう付き合い長いじゃん?1年の時からずっと一緒にいるの、ミキとユカだけになったからね」

「それな」

それな!

一応解説しておくと、「それな」とは同意の相槌とでも言いましょうか、それそれ、そうそう、みたいなニュアンスの言葉と認識しています(だよね?)。

こういう言い回しが存在していることは知識として知っていたのですが、所謂「ネットスラング」の部類だと勝手に思っていた私。普通の地味目な女子高生の会話に何度も何度も普通に出てくる「それな」がものすごく新鮮だったのです。

普通に使われてるんだ、それな、って。

昔だったらこういう新語の類って大体テレビタレント発信だったように思いますが、今って何がきっかけになって流行るんだろう。今テレビ見ない層も多いし、やっぱりネットなのかしらね、なんて思って調べてみてまた驚愕。

参考 それな(ネット王子)

「それな」とは「そうだよね」を意味する若者用語である。
元々は関西弁だが、テレビ番組において女子高生が最近使う元ネタが2chの用語として紹介された。

は?関西弁?
関西ではどういうニュアンスで「それな」が使われているのでしょうか。少なくとも、私の世代では「そうだよね」と同意する際に「それな」とは言わなかった気が。関西弁の「それな」自体が比較的新しいのか?と、いささか混乱する関西人。

うーん、言葉は生き物。
実際身近で多用されたらイラっとくる表現もあるのでしょうが、遠巻きに見ている分にはこういうの、嫌いじゃありません。むしろ興味深い。

スタンプで事足りるコミュニケーション

さて、メールやらブログやらSNSやらがあるおかげで、現代人は人目に触れる文章を書く機会が圧倒的に増えているはず。
ひと昔、いや、ふた昔前なら、学校を卒業した後は仕事の書類やなんらかの定型文くらいしか書く機会がなかった人も多かったんじゃないでしょうか。メールなんてなかったし。

となると、常に誰かとオンライン上でコミュニケーションを取っている若い世代の文章力は総合的には上がってるんじゃないの?と思うのですが、それもまた違うようで。

今って、もはやメールじゃなくてLINEで、さらにスタンプなんですよね。

細かいニュアンスを伝えるために言葉を選んだり文脈を考えたりしなくても、ちょっとした感情表現ならスタンプをポンと送る方が簡単だし伝わる。

これは文章力の低下を招く悪しき習慣だ!とか、コミュニケーションが画一的に云々けしからん!なんて論議はそこら中で頻発してそうです。しかしながら、今やスタンプの使い方だけじゃなくて選び方にすらその人のセンスが問われる時代。例えば合コンでID交換した後に送られてきたメッセージみて

「ミサワ送ってくる奴とかありえなくない?」

なんていう「パーソナリティを見極める新たなスタイル」が生まれているのではないか。

なんて推測ができていろいろと妄想は広がるわけです。
実際のところ、どうなんだろうか。

 

私的にはありえない

さて、現在は若い人と密にやりとりする機会があまりないのでそのあたりの変化や進化にあまり明るくない私。

「ヤバい、は意味わかんないから、本当止めて欲しい!」

と怒り心頭の女性がちょっとだけ羨ましく思えたのでした。いいじゃないか、脳がぐにゃぐにゃかき乱される異文化コミュニケーション。って、部外者だからそんな呑気なこと言えるんだけどね。

「私的にはありえないわけよ」
「私的にはさ、正しく伝わる表現をすべきだと思うの!」

と「私的には」を連発して熱弁を振るう彼女。その姿をぼんやり眺めていると、昔お勤めをしていた頃に「私的には〜」という言い回しを多用する新入社員に嫌悪感を抱いた上司に

「あの気持ちの悪い言葉遣いをやめさせろ!」

と私が叱られた懐かしい記憶が蘇ったのでした。

私的には、って2000年の流行語だったんだって。もうすっかり定着したのかしら。
そんなことを考えているとなんだかものすごく大人になった気分。時代は巡る、巡るよなあ。

 




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Comment

  1. midori より:

    こんにちは(こんばんはですが・・)。
    いつも楽しく拝見しています。
    ごく最近、海外から日本に戻って生活を始めました。10年以上も海外で生活していたので、毎日???のオンパレードです。
    若い人が使う言葉だけでなく、一般に使われる言葉も変わったと思います。意味がいまいち分からない言葉もあります(苦笑)。
    言葉が変わるのは仕方のないことですが、美しい日本語はそのままで…と思ってしまいます。
    時代は巡りますねぇ。

    • crispy-life より:

      midoriさん

      無事帰国されたのですね、おかえりなさいませ!

      最近は本当に変化が早いので、10年ぶりとなるとかなり混乱が起こるかもしれませんね。言葉そのものは変わっていないけれど、アクセントのつけ方が変わった言い回しも多いですし。
      こんな記事を書きつつも、自分自身も決して美しい日本語を話せている自覚はありません…。あれこれ上手く使い分けられるといいのですけどね。

  2. より:

    こんにちは。
    くすくす笑ってしまうオチでした。
    私も色々もってます、気持ち悪いセリフ。聞く度に赤ペン入れてやりたくなります。
    ところで「それな」ですが、関西では「それな、ほんまは違うねん」と続くならともかく、肯定では使わないのが普通です。どこから関西弁って風評がたったんだろう。語尾の「な」は関西弁だけど。
    言葉は生き物だからしかたないとは思うけど、あまりに違和感のあるものはホント消えて欲しいと思う今日この頃です。

    • crispy-life より:

      月さん

      こんにちは!

      >「それな、ほんまは違うねん」
      >「それな(仕方ないねん)」

      おお、これはよくわかります。確かに肯定のニュアンスはないですよね。同意として使うなら「そうやねん」とか「そうやんなあ」?「それ」と「な」がどうも頭の中で結びつかないのですが、「それな」が関西発信という情報自体が誤りなのでしょうか…。

      こういうの、側から見ている分には面白いのですが、件の女性のように仕事で毎日関わる相手ならば困るでしょうねえ。

  3. より:

    追記:
    「それな(仕方ないねん)」という感じの肯定ならあるかも。でも内容はやっぱりネガティブ。

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