いい人になる方法。
人は誰しも裏と表の顔があるのが当然で、いついかなる時も誰に対しても同じ態度で接します、なんて人は少ないのではないでしょうか。
裏表、なんていうと阿漕な匂いがするけれど、別に悪いことでもない。少なくとも仕事とプライベートとか、社会的な顔と家庭での顔を切り替えるのは誰でもしていること。まだ物心もついていない赤子でさえ、人によって態度を変えるのだし。
でも、ある日突然、近しい人の人格が変わるってのは恐ろしいなあ。
と「いい人になる方法」を読みながら考える。
いい人になる方法
昔も読んだっけ?と思いつつ開いた古い本。
自分こそが「いい人」であると認識している医師のケイティと、口を開けば不平不満しか言わない毒舌コラムライターの夫、デイヴィット。生意気盛りの長男に、こまっしゃくれた妹という4人家族の物語。
仕事も、家庭も、普通に回っていて、それなりのストレスもあり、だからというわけじゃないけどうっかり外で浮気なんかしちゃって、またそれを夫に告白してしまうばかりか浮気相手も乗り込んでくるというなかなか恐ろしい展開なのだけれど、本当に恐ろしいのはある日突然「いい人」になってしまうデイヴィット。
いつも不機嫌だった夫が仏のような人格者になってしまい妻は困惑するのだけれど、逆よりはいいじゃないかとも思える。いつもニコニコ朗らかだったあの人が、急にぷりぷりし始めるほうがダメージは強い。ぷりぷり以上の激高型にでもなろうものならもう手に負えない。
親の変化に気づかない
「あのね、7月に一句できたの」
先日帰省した際、我が家のマドンナこと母が唐突な発表を行いました。唐突ってあなた、こっちで最近の景気がどうだとか全然関係ない話をしているところいきなり俳句カットインですよ。強引にもほどがあるし内容も頓珍漢すぎる。
「そしてね、9月にも一句詠んだの」
もはや私には制御不能のマドンナ。ご自慢の句とやらは、ほにゃららがかくかくしかじか水の音、みたいな死ぬほど下らない出来栄えだったのだけれど、この調子でいくと次は11月頃に一句詠むのでしょう。どうやら隔月で浮かぶようなので。
気をつけておきたい、とは思うのです。
母は始終この調子だし、父も決して雄弁多弁なタイプではない。親が突然妙なことを口走り始めたり、会話のキャッチボールが困難になったのがきっかけで、老人特有の脳機能の衰えや何がしかの異常が発覚するケースは多いでしょう。でも、元々話が通じない人であると家族全員が認識している母の、ちょっとした変化に気付けるかどうかは、怪しい。自信はない。
今以上におかしなことを言い始めたり、会話が通じなくなったりしても一向に構わないけれど、怒り狂う人格に変貌されるのは嫌だな。それだけは除外して欲しいな、と思うのです。
ケイティが「いい人」に変わる以前の夫デイヴィットの、怒りっぽく皮肉っぽい言い回しをどこか懐かしんでいるように、家族と顔を合わせば喧嘩するのが好きな人、喧々諤々の言い争いで急にイキイキ輝く人もいる。でも、私はそうじゃない。できるならもう一生誰にも怒られたくないし、ギャースカ怒鳴りたくもない。
家族の変化には敏感でありたいけれど、怒りさえしなければ、下手な俳句くらいはいくらでも聞きますよ。聞き流すけどね。
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