迷惑な友人、思い出は数ミリの誤差。
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最終更新日:2018/09/04
生き方と考え方
「このあと時間あるんだったら、今からH子のお見舞いに行かない?」
週末の昼過ぎ、駅前の居酒屋のカウンター。レモンサワーを飲み干した友人が突然切り出す。
入院中のH子に頼まれたお使い物を届けたいのだけれど、大きな手術の後で気持ちもまだ落ち着いていないであろう彼女にどう声をかければいいものやら、どんなテンションで話をすればいいものか、迷う。
ここは1人より2人で行ったほうが何かと場も温まるというものではなかろうかと考えたらしい。なんか、わかる。
嵐の見舞い
酒飲んだその足で見舞いにいくなぞけしからん、この常識はずれのうすらトンチキが!というお叱りを受けるのは承知の上で書きますが、我々はそそくさと会計を済ませて、病院目指して地下鉄に乗りました。
その日は台風が関東に近づいており、東京は夜から悪天候に見舞われるでしょうという予報が出ていた。そもそも見舞いなどはあまり長居するものじゃないし、ちらっと顔を見て帰ろう、そうしよう、と、次第に強まる雨風をものともせず、敢えての決行というわけです。
が、私はこの時点ですでにほろ酔いであった。
予め病院への最短ルートチェックしていた友人の意見を聞かず、面倒だからこのまま行って別の駅で降りようよ、大丈夫、距離そんな変わんないって!と乗り換えようとする友人を引き止め、下車してからはこっちこっちと病院とは逆方向に歩き始める始末。そして最悪なことに、まんまと道に迷っている途中で天候が悪化、一気に暴風雨に包まれてしまったのでした。
油断して小さな折りたたみ傘しか持ち合わせていなかった我々は、当然ながら濡れ鼠。どうにか病院の前にたどり着いたと思ったら台風に備えてどの出入り口も封鎖されていて、なかなか中に入れない。その上肝心のお使い物を入れていた紙袋は雨に濡れて無残に破れ、中身をどこかに落としてしまうというオマケ付き。豪雨の中傘をマンガのようにバサーと逆方向に翻し、ずぶ濡れになりながら来た道を戻り必死で捜索するという地獄絵巻を繰り広げたのでした。
最悪。
迷惑な友人
ブツを回収してようやく入館し、トイレでボトボトに濡れたカーディガンを絞る(!)などして最低限の身支度を整え、いざ病室へ。最上階の素敵な個室で我々の到着を待っていたH子は、嵐の中現れたおばさん2人の無残すぎる姿に目を丸くしておりました。当然か。
緊張しながら会いに行ったH子の顔色は当初予想していたよりもずっとよく、ずいぶん落ち着いていたのでホッとしました。
ホッとした、はいいけれど、いい加減なこと言って友人を雨の中長々と引っ張り回したりして、風邪でも引いたら私のせいじゃないかどうすんだ、と翌日になって大いに反省する。
思えば、私は今回に限らずこの手の失敗をやりがちな「迷惑な友人」。
幸いこれまで決定打になるやらかしはしておらず、辛うじて許してもらえている(多分)けれど、このまま調子に乗っていたらいつか友達を失くすのでは。いや、調子に乗らなければそれでいいという単純なことでもない気がするが、とにかくいい加減にしないとダメなんじゃないか。
などと、神妙になるフリをしつつも、あの状況を思い出すと笑えて笑えて仕方ないのでした。
思い出は、数ミリの誤差で
何を思ったか、よりによって大嵐の日に、おばさんが、2人で、ズタボロの姿で、見舞い。
それだけでも十分滑稽なのに、トイレ行きたい!と叫びながら雨に打たれ、入り口がわからなくて建物のまわりを何周も行き来したことや、お使い物紛失に気付いた瞬間友人が発したこの世の終わりのような叫び声、どう頑張ってももはや修復不可能な身繕い作業。何もかもが出来損ないのドリフコントのようで、思い出しては不覚にも笑みが溢れてしまう。
実際、あの後友人と会う度話す度に、嵐の見舞いネタを蒸し返しています。迷惑をかけてホントに悪かったと反省しているものの、思い出すとあたしゃ可笑しくてしょうがないんだよ、と。
最悪な思い出になるか、笑える思い出になるかなんて、ほんの数ミリの違い。きっと誤差の範囲なのだ。
いや、わかりませんよ?
ネタにしては2人で腹を抱えて笑っているけれど、相手は内心怒っていたのかもしれない。コイツいい加減にしろよ、二度と誘うかバーカ!と思われていたとしても仕方ない。でも、そう思うならば実行する権利が、我々にはある。
なんて、迷惑かけた側が偉そうに述べることじゃないけれど。
でも、仕事でもあるまいし、イヤならわざわざ付き合わなくてもいいのだから、実はそこまでイヤじゃないよね?ないんでしょう?と、今なお甘えている、相変わらず「迷惑な友人」の私です。
ところで迷惑とはなにか。さらには親しき中にも礼儀ありの捉え方についても考える。これまた迷惑な話で恐縮ですが、このネタは多分続きます。
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