「ついてない日」の言い分。
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日常

早朝JRの駅に着くと改札前に「全線運転見合わせ」のお知らせが貼られている。
時間にはかなり余裕があったので、運転再開までホームで待つかと一瞬考えるも、結局別ルートをとり地下鉄の駅へ。「でんしゃのなかからおそとがみたい」という幼児性が抜けない中年なもので、天気の良い日の地下鉄はあまり好きではないのだけれど、こんな日は仕方なし。
乗車駅から座れてやれやれだわい、と3駅ほど過ぎたころ、連結部付近でバタン!と大きな音がした。スマホをみるのにメガネを外していたので(老眼)詳細がわからず、誰か荷物を落としたのかしら、とか思っていると他の乗客がざわざわし始め、よくよく確認するとどうやらおじいさんが倒れたらしい。
幸い大事には至らなかったようで、おじいさんは駅員さんに抱えられ次の駅で下車。ここでも幾分の遅延が発生したけれど、特に急いでないし、ご無事でなにより。
予定より少し遅れて目的地に到着して、さて暖かいコーヒーでも飲みますかねとカフェに入ると「マシン不調につきホットドリンクすべてお出しできません」という驚きの通告が。カフェなのにコーヒー飲めないとはこれいかに。
しかし今から他の店に行くのも面倒なので、じゃあアイスコーヒーでいいですと告げ、冷えた体に冷たいコーヒーを流し込みしばしお仕事。
約束の時間になったので席を立ち、飲み残した水と溶けた氷が入ったグラスを下げ台に片付けようとして、豪快にトレーをひっくり返し、床を水浸しにしてしまう。ここが朝のハイライト。
すみません、やっちまいました。お忙しい朝の時間に本当に申し訳ないと、馴染みの店員さんに平謝りして店を出る。
「ついてない日」の言い分。
朝家を出てからたった数時間のうちに起きた一連のおかしな出来事。打ち合わせ終わりで相手に何気なく話すと
「あらー、なんかついてない日ですね。今日1日、他に悪いことがないように気をつけて下さいね。」
という言葉が返ってきたのでした。
ついてない、そうか、ついてないのか。
確かに私もちょっと思った。「今日はなんかヘンな日だから、事故や怪我に気をつけよう」と。小さなトラブル(?)が連発すると、この先デカイ「本丸」が襲ってくるのでは?などと身構えてしまうのはなぜなのか。
しかしどう考えてもついてないのはイレギュラーな対応に追われたJRの駅員さんで、痛くて怖い思いをしたおじいさんで、マシンの故障で早朝からバタバタだったのに、どんくさい客に水をぶちまけられて無駄な仕事を増やされたカフェの店員さんらであり、私ではない。さらに、私が私の力で防げたのは水ぶちまけ事件のみであり、その他は私がコントロールできない範疇のことなので、ついてないと嘆くのはおこがましい。勘違いしてはいけない。
幸い「本丸」はおでましになりませんでした。
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