40過ぎた大の大人が歯科でまた泣く。
公開日:
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親知らず抜歯

By: Steve Snodgrass
今年の5月から長々と続いている歯の治療。
とうとう最後のヤマである、右側の親知らず2本の抜歯を済ませました。
夏に左側親知らずの抜歯をしていた私はすでに抜歯経験者。びくびくおどおどしていた初回とは異なり、今回は幾分余裕があるだろうと踏んでおったのですが。
結果はタイトルの通りです。
40過ぎた大の大人が歯科でまた泣く
前回の抜歯にかかった時間は30分たらず。
どれほど辛かろうが、恐ろしかろうが、たった30分耐えれば解放される。
そうわかっているのは心強いなあと思いつつ、台に座る私。そりゃやっぱり怖いは怖いけど、どれほどの痛さなのか、抜いた後の感覚がどんなものかを経験則としてわかっているので、まるで見えない敵と戦わねばならないような気分だった前回と比べるとラクだわ。
そう考えていたのでした。処置が始まるまでは。
「今日は右側を抜きますね。下側は歯が大きいので、このままでは抜けない可能性もあります。その際は削って小さくしてから抜いてから、縫合します。神経に近いので抜歯後に唇にしびれを感じるなどの症状があるかもしれませんが、徐々に収まるものなので、ご心配なく」
あれ、なんか前回と説明が違うような。
「あと、上側の歯は縫わなくても大丈夫だと思います」
ええ?前回は上も縫ったよね?
と、驚いてみたものの、よくよく考えれば生えている位置も方向も歯によって違うのだから方法が異なるのは当然のことなのかもしれない。ほんの少しだけ頼りにしていた私の経験則など大した意味を持たないのだとこの時点で悟る。
そして下の歯の処置に入ってすぐ、またもや痛みを訴える私。毎回こうなんだけど、なんだろう、痛がりなの?
いや、そもそも麻酔がきいてたら痛くないんだから、麻酔がききにくいタイプなのか?
麻酔を追加してもらってから、処置続行。そしてこの時点で早くも涙が滲む。
やっぱり私、長時間に渡って口を大きく開けているのが苦手なんだわ。もう苦しい苦しい。痛くて泣いてるんじゃないんだからね。
親知らずの抜歯は、全て同じではない
またもややってしまった、と恥じ入りながらもやはり前回とは展開が違うと気づく。
椅子に頭をめり込ませながら歯を引っこ抜く方式だった前回とは裏腹に、歯を上からぐいぐい顎へ押し付けた後、梃子の原理で根元から掻き出すようなスタイルでの抜歯。見ていないからわからないけど、使っている器具も前回と違うような。
「このままでは抜けなさそうなので、歯を削りますね」
で、またガガガガーという轟音と共に口内工事のような作業が始まったのだけど、痛い。あーなんだっけこの痛み知ってる。そうそう、子供の頃の虫歯治療ってこんな痛さだったよなあ。確かあの頃は虫歯治療で麻酔とかしなかったもんね。そう、あの感じだわ。ていうか、痛いよ。ということで、またもや麻酔追加。なんでこんなにきかないのか。
辛い。辛いなあ。
思えば左側の親知らずを抜歯してからというもの、右側を磨く時は常に妙な気持ちだった。すぐに抜くであろう親知らずだけど、私はこうして朝晩丁寧に磨いている。なんなら抜くと決める前よりも丁寧に磨いている。どうせ抜くのに丁寧に磨くという一見無意味なこのブラッシング。だがしかし、それでよかったのだと今ならわかる。
私だって、そのうち死ぬとわかっていながら、それなりに懸命に生きている。この毎日が無駄だとは、思わない。
先に抜かれていった右側の仇を打つかのように、絶対に抜かれてやるものかと強靭な姿勢を崩さない左側第三大臼歯。そうだよなあ、あんなにやさしく磨いてくれたこの数ヶ月はなんだったの?大事にしてくれるんだと信じてたのにバカバカ、と責め立てられても仕方ない。よし、この戦は長くなりそうだから、せめてその間はおまえとの思い出について脳内で語り合おうではないか。
「はい、抜けました」
そうですか。
なんだ、もっとかかると思って壮大な妄想をしてたのに、後半はあっけなく終わりました。そして上側は前回よりも早く、2秒でスコンと抜けました。但し、音がした。メリメリ、って、聞こえた。ああ、歯と顎って繋がってるんだなあと実感させられてなんだか自分の骨をリアルに感じてしまいました。
全ての処置が終わって時計を見ると、ほんの20分ちょい。今回もすこぶる順調だった模様です。ありがとうございます。
長々と書いたわりにはあっさり終了した右側親知らず抜歯。このままサクッと終われるかと思いきや、そうはならなかった。
喉が痛くて水が飲めない
まず、喉が痛い。前回はなかった
「口内炎ができた時のような違和感が残るかもしれません」
なる注意を受けていたのですが、まさにそれ。喉に口内炎ができているような痛みがあり、水を飲み込むのも辛い。これは左側抜歯時にはなかった痛みだなあ。
同じ病院で、同じ人間がやっても、処置の仕方もその後の経過も全然違う親知らず抜歯。やはり、やたらと情報を集めて右往左往するのはあまり意味がない、ということになりそうな。
と言いつつ散々体験記を書いておりますが。
麻酔が切れてくるにつれ鈍痛が強くなってきたので早々に薬を飲みたかったのだけれど、あまり早く飲むと夜中に痛みで目が覚めそうで怖い。夕食に何か軽く腹に入れてから飲もうと考えて、しばし耐える。麻酔はきかないけれど、痛み止めの効きはすこぶるいいからね。
そうこうしているうちに、先生からご機嫌伺いの電話を頂戴する。
「喉が痛くて辛いです」
「ああ、結構奥でしたからねえ。抜歯後は水を飲み込むのが辛い、という方、結構いらっしゃいますよ」
そうか、やっぱりこれは普通にある症状なのかとほっとする。
「痛み止め飲みましたか?」
「いや、これから」
「痛いんだから、早く飲みましょう」
おっしゃる通り。喉の痛みもあってあまり食欲がなかったもので、この後野菜ジュースだけ飲んで食後の薬を服用しました。
ドライソケットの恐怖
が、痛みが止まらない。全然引かない。
前回は食後の薬を飲んだらあっという間に痛みがひいてそのまま翌日まで無痛状態が続いて楽勝だったのに、今日は全く効かない。効かないどころか、どんどん痛くなってくる。歯が、というか、顎の骨がジンジンするような嫌な鈍痛は、時間が経つごとに徐々に大きくなってきて、気を紛らわせるために寝てしまおうと考えるも、とてもじゃないが眠れない。
これ、ヤバいやつじゃないだろうか。抜歯痕にかさぶたができなくて激痛が走ると噂の、アレじゃないだろうか。
参考 ドライソケット(wikipedia)
ドライソケットとは、抜歯後の傷に血餅(血液がゼリー状になったもの)がみられないために歯槽骨が露出し、傷に強い痛みがあることをいう。抜歯の偶発症で、下顎の埋伏智歯の抜歯後のものが多い。
以前目にしたドライソケットになった人の体験記で、痛み止めが効かなかったとかあまりの激痛で救急車を呼んだなどという記述があり、なんと恐ろしいと震え上がっていたものですが、まさか。でも、前回はあれだけ一瞬で効いた鎮痛剤が全然効いてこないということは…。
鎮痛剤が…あれ?
ここで慌てて前回の抜歯時に自分が書いた記録を読み返す。
当日処方された薬は
- 痛み止め
- 抗生物質
- 痛み止め(頓服薬)
- うがい薬
以上の4種。毎食後に上の2種を1錠づつ飲み、痛みが我慢できない時のみに頓服薬を飲むように指示されました。あとは消毒用のうがいを1日3回程度。
今回毎食後に飲むようにと処方された薬は1種類、抗生物質だけ。当然私が飲んだのはその1種のみ。そりゃ、抗生物質飲んでも痛み引かないわ。
先生から電話が来る前にこのことに気付いていれば何かの手違いなのか敢えての処方なのか質問できたのに、ぐずぐずしていたおかげで機会を逃してしまった。ていうか、とっとと頓服薬飲もう。
痛みがないって、ステキなことね。
頓服薬はすぐさま威力を発揮し、眠れないほどの痛みが嘘のように消え去る。そのまま安堵して熟睡し、朝目覚めても痛みはなく。どんより曇った雨空を見上げながら、なんてすがすがしい朝なのかしらと微笑んだのでした。
相変わらず話が長くてすみませんね。傷をかばっているせいでまだ話すのは億劫だけど、こうして書くのは平気なのでね。
前回は抜歯翌日に経過を確認していただいたのだけど、今回は週末を挟むので先生によるチェックは週明け。残念ながら痛み止めの頓服薬は3回分しか処方されておらず、これだけでは乗り切れない可能性もあるけれど、まあ無理なら薬局でロキソニンでも調達すればいいし、なんとかなるでしょう。まだ効き目が継続しているのか、服用後20時間近くたった今でも痛みはないし。
同じようなことを書いても仕方ないし、右側抜歯時はあっさり終わるかなと思っていた親知らず抜歯記録がまさかの超大作に。このまま無事収束していくことを切に切に願います。
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Comment
crispy様
おお、落城しましたか。
私事ですが、先日1番奥の7番を抜きました。
長いこと誤魔化し誤魔化しやり過ごした歯でしたが、
遂にギブでございました。
麻酔は一回でしたねー。ものの数分で呆気なく抜けました。
抜歯も終わったし余裕で呑んでますw。
歯茎が落ち着いたらブリッジにします。
酒飲みは麻酔が効きにくいと聞いたことがありますが、
真偽はわかりません。
まぁ、流した涙がブログネタになられた訳ですから…
お大事にお過ごしください。
ちゅーなーさん
いやいやいや、酒飲み麻酔効かない説が真意だとするとちゅーなーさんも効かないはずではないですか。なんでしょうね、私が痛みとして認識している感覚は多くの人にとっては痛みではないのかも。ただの感触を恐怖のあまり痛みと受け取っているとか…わかりませんが。
長きに渡った治療もこれにて完了、のはず。お互い歯を体を大事にしつつ、細長い酒飲み生活が送れますように。