男性の着こなしが笑えない。洋服が好きな人ほど妙なコーデにハマる悲劇。
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最終更新日:2016/07/25
ファッション
先日書店をパトロールしていて、以前ここでも取り上げていた「できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則」を見かけたので手に取りました。
パラパラとめくってみて、前半に出てきた写真に思わず笑ってしまった私。
いやー、笑える。
でも、怖い。
洋服なんて好きなものを着ればいい、の恐怖
私が思わず笑ってしまったのは冒頭に出てきた「あるあるファッション」で身を固めた男性モデルの写真です。
主張の強いデザインの帽子に花柄シャツ×チェックのパンツ、足もとはハードなブーツ、というなんともいえぬロッカー崩れの着こなしはファッションに興味がない人は絶対にしないであろう、でも、決してカッコよくはないコーディネイト。努力は伝わってくるけど、なぜそっちへ行った!というようなスタイルです。
素っ頓狂な感じがしますが、40代くらいでこういうコーディネイトの男性、わりとよく見かけますよね。
この写真の解説には
「好きな服を好きなように着ればいいんだ」
と目に止まった服を買って合わせた結果こうなった、とあります。そして残念な着こなしをしている大半の人が実は少なからず服に興味がある人なのだ、ということも。
うわー、リアル。そして、怖い。
「これが俺だ!」
と自信満々+気持ちよくそのファッションを楽しんでいるならどんな着こなしでもさほど問題はないでしょう。いくつになっても自分の好きなファッションを自信を持って楽しむ人の佇まいはいくら派手でもトレンドと外れていても風変わりでも見る側も気持ちがいいものです。
けれど、それがただ
「きっとこれがイケてるはず」
という根拠のない悲しい勘違いの元に構築された着こなしだったとしたら悲劇以外の何物でもありません。
最低限のアイテムでできる基本的な着こなし指南
さて、本書は最低限の知識と基本アイテムさえあれば誰でも清潔感のある80点の着こなしができる、と謳っています。
ユニクロはデニムやカシミヤニットのコストパフォーマンスがよい、GAPではカットソーをチェックするべし、ジャケットはアローズで選ぶのがおすすめ、といった具体案も提示されており、予算が少なくても、ファッションの知識がなくても、少ないアイテムで上手に着こなすための方法を丁寧に解説。これまでファッションに苦手意識があった人でも一から体系的に基本のおしゃれを学ぶことができます。
読者ターゲットとして設定されている
・服はスーパーや量販店で買うことが多い
・学生時代と着ている服がほとんど変わらない
・洋服のサイズはゆとりのあるもののほうが着やすくて好き
・母親や奥さんに服を買ってきてもらっている
・シンプルな服よりも、デザインにひと工夫のある服にひかれる
・5年前に買ったヨレヨレの服を今でも着続けている
・一目惚れで買ってしまったけど、着なくなった服がたくさんある
・フリルがついているかわいらしい服が好き
に心当たりのある方にはきっと非常に役立つ1冊。が、同じくターゲットに挙げられている
・シンプルな服よりも、デザインにひと工夫のある服にひかれる
・フリルがついているかわいらしい服が好き
というタイプの人には少々耳の痛い内容かもしれません。自信はないけれどなんとなく冒頭の写真のようなコーディネイトを続けて来てしまった人に対して
「イケてるつもりのそれ、全然ダメですよ」
とダメだしされるような内容ですからね。
恐らくファッションに関してこだわりも知識も関心もない人がこの本の通りに実践したほうが、ちょっとばかり洋服に興味のある人よりもベーシックで好感度の高い着こなしができるだろうな、と感じます。
ファッション知識やこだわりがない初心者の強みとは
少々悲しいことだけど、ファッションに限らず何事も妙なこだわりは時として人の目を曇らせる。
が、言い換えればビギナーは伸びしろがふんだんに残されている分上達する楽しみが味わえる、ということ。装いを変えるのも、何かを始めるのも
「今さらもう遅いから…」
なんて尻込みする必要はないのかもしれません。
参考 有名スタイリストがあなたのためだけにスタイリング(ディネイト)
本サービスでは商品の選定だけでなく、着こなしや着回しの提案も一緒に行います。最先端な着こなしから玄人好みの着崩しなど、雑誌やショップでは手に入らない、 ファッション最前線で働くプロによるアドバイスによって、新しい自分を発見することが出来るでしょう。
ありがたいことに、最近は私たち一般人でもこういったプロのスタイリングサービスを受けられる時代ですからね。
さて本書は男女とも参考にできる内容ではありますが、コーディネイト例は決して「おしゃれ」な感じではなく、あくまでもベーシックで清潔感のある基本的なファッション。
もっとお洒落になりたい、トレンドを上手に取り入れたい、という女性には物足りない内容だと思いますが、着こなしを感覚ではなく理論として理解したい、ファッション雑誌のコーディネイトや人気スタイリストの着こなし指南を実生活に取り入れるのはおしゃれ過ぎて気後れする、服選びやコーディネイトに苦手意識がある、この年になってもこんな格好をしていていいのだろうかと不安になり始めた40代以降の方などには読み応えのある1冊です。
ちなみに私はフリルのついた服は苦手だけどシンプルなものよりもちょっと凝ったデザインに惹かれ続けてきたタイプ。よって冒頭のロッカー崩れコーディネイトを笑える立場ではありません。
最近でこそ普通の服を着まわす楽しみに芽生えつつあるけれど、ガツンと個性的なファッションを貫いて生きるのか、はたまたシンプルで清潔感のあるこなれた装いに移行するのか。40代にしてまだまだ道半ばです。
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