読んでも何も変わらない。「スタンフォードの自分を変える教室」。
部屋を整理していると、いろんなモノが発掘されます。
誰にでも
「続けるつもりで買ったけど、結局数回しか使わなかった」
というモノがひとつやふたつあるのではないでしょうか。
トレンドに敏感であると思いたいために買う
私の場合はパックやマッサージ器具、サプリメントなどの美容系が多かったです。最近でこそなくなりましたが、若い頃は買うだけ買って使わずたまる一方の美容グッズやコスメを前にして
「私って、コスメジプシーなのよね」
なんて、あたかもそれが流行に敏感でイケてる女性の証であると思っていたフシさえあります。
ああ恥ずかしい!
今考えればこの行動を引き起こす原因となったのは、ただ単に買い物をしたかったということと、使わずとも所有さえしていれば美しくなりたいという望みが叶ったような気になってしまうことが原因でした。
やることリストがやる気を奪う
先日、2013年度のベストセラー「スタンフォードの自分を変える教室」を読んでいて、うわあそうそう、と大きくうなずいた箇所がありました。
プロジェクトのために抜けモレのない完璧なやることリストを作成したら、なんだかものすごく達成感があって、今日の仕事はこれでおしまいだ、なんて思ったことはありませんか?
ある…。
彼は生産性に関するセミナーが大好きだとか。そういうセミナーに出席すると ―― 実際にはまだ何もしていないのに ―― 生産性がすごく向上した気分になれるのだそうです。
ぐぬぬ…。
ジムに入会しただけで、トレーニングした気になってしまう。
雑誌で効果的なダイエット情報を読んだだけで、痩せた気になってしまう。
英語教材を購入しただけで、話せる気になってしまう。
断捨離ブログを読んだだけで、自分の部屋が片付いたような錯覚をしてしまう。
本書によればこれらは、人間の心理として大いに普通のこと。
企業はこのような「人間の弱み」に付け入る巧みなマーケティング戦略によって私たちを消費へと誘います。
誰だってわかってるんですよね、「知っている」と「行動する」は大違いだってこと。
でも、ずるずると楽なほうへ引き摺られてしまうのが人間。
ただ「人間ってこういうものだ」と予め認識して行動すれば、巧妙なマーケティングにほいほい引っかかって必要のないものをうっかり購入するのを防げるはずです。
この本、タイトルからして自己啓発書の類かと思っていたら、全然違ったのですね。他にも「ファストフード店にヘルシーなメニューを投入すれば、高カロリーメニューの売上が伸びる」など、人間の複雑かつ興味深い行動心理について実験結果を交えて具体的に解説されています。
かなり話題になった本なので既に読んだ方も多いとは思いますが、戒め(?)のためにもたまに読み返してみるといいかもしれません。
おっと、もちろん「読むだけ」じゃだめですよ。
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