逃げよ、生きよ。孤独は怖いか、苦しいか。

公開日: : 最終更新日:2017/03/26 生き方と考え方, 読書

shinagawa13

内向的な人間には参考になる部分が多いと思う。

こんなコメントを添えて知人が紹介していた本を読んでみたのは私自身が内向的な人間であると認識しているからです。

関連 つまらない人生、つまらない暮らし 犯人は誰だ。

著者は純文学を愛する小説家ですが、本書に限っては自己啓発書の部類に入るのでしょうか。あれ、この人ってこういう文章書く人だっけ?と思ったら、本書は口述筆記によってまとめられたもののようです。




孤独論 逃げよ、生きよ

知人が内向型人間向け、と評したのは田中慎弥著「孤独論 逃げよ、生きよ」。

仕事、人間関係、因習などにより、多くの現代人は「奴隷」になってしまっている。「奴隷」とは有形無形の外圧によって思考停止に立たされた人のこと。あなたも奴隷になっていないだろうか。自分の人生を失ってはいないだろうか。奴隷状態から抜け出す方法はひとつ。それはいまいる場所からとにかく逃げること。逃げて、孤独の中に身をおくことが、自分を取り戻す唯一の手段であり、成功の最短ルートだ。

田中慎弥氏といえば大学受験に失敗した後は通学も就業もせず、およそ15年に渡るいわゆる「ひきこもり」生活を経て作家デビューしたというやや風変わりな経歴の持ち主です。芥川賞受賞時の奔放とも取られる発言で話題になったことも記憶に新しいですね。

長引けば長引くほど解決が難しいとされるひきこもり問題。

関連 18歳から42年間引きこもり 「テレビを見てたら60歳になっていた」

15年もの間社会活動をせずにいたにもかかわらず30代になってからひきこもり生活を脱することができたのは小説家という職業の特異性によるところも大きく、単純に真似できるものでもない気はします。

本書では多くの時間を読書に費やし、そしてひたすら小説を書き続けたひきこもり時代についても語られています。よって小説家志望の人が真似できる内容かといえばそうとも思えず。その点に於いては「書き続けていさえすればどうにかなる」と信じ続けた氏の類まれなる忍耐力や冷静な自己分析、そしてもちろん才能の部分が大きく、やはり単純なハウツーものとはなり得ません。

けれど小説執筆同様孤独な作業である読書に関する記述も多く、川端作品の役に立たなさ、無駄さを語るくだりなどは単純に面白い。この点に注目するのは本書の要点とはややずれているけれど、なんだか久しぶりにスタンダードなものを読みたくなりました。小説に限らず、映画でも音楽でも、触れる時代や年齢によって感じ方が変わってきたりするもんね。

孤独は怖いか、苦しいか

nerima22

冒頭で引用した部分にもあるように、本書はざっくりいえば孤独のすすめ、孤独の指南書です。携帯電話もパソコンも持たず未だ原稿用紙に鉛筆書きというスタイルで執筆活動を続ける著者が発信するからこそ

「むやみやたらとつながりを求めるな、孤独を恐れるな」

というメッセージには重みも信憑性もある。けれど、知人が本書を内向的人間「には」薦める、と言っていたのもなるほどわからなくはありません。

私自身、自分が内向型人間であると認識したのは最近になってからですが、思い返せばかなりカジュアルに逃げるという選択をし続けた人生でした。しなくても生きていけるしたくないことはしなけりゃいいじゃない、と必要なしと判断したものはあっさりばっさり切り捨てる世間一般で言うダメ人間であります。

関連 くだらない毎日を積み重ねたその先に。

けれどそれは私が何かから逃げたり孤独に身を置いたりすることに強い抵抗のない属性の人間だからであって、人とのつながりや社会的な活動こそが至高だと考える人にとって、孤独であることは酷く恐ろしい状態なのではないかと思うのです。いやいや、そんな簡単に逃げたりできませんよ、となるでしょう。

孤独を恐れる人ほど得るものは大きい

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しかしながら、孤独を恐れる人のほうが孤独によって得られるものが多いのではないかとも考える。

関連 シンプルは孤独、そして何よりも面倒なこと。

孤独であることが得意な人が殊更孤独に向いているわけではありません。それは自身を省みれば明らかで、いくら孤独が好きでも自分のような浅い人間が自己としっかり向き合ったところで得られるものはさほど大きくはないからです。逆に孤独を恐れ日々誰かや何かと繋がっていたいと強く思う人ほど、多くの人や情報から日々たっぷりと知識を吸収してきた人ほど、孤独に過ごす時間によって大いに救われることがあるのかもしれません。

あれ。
そう考えたら逆もまたしかりで、私のような孤独好きな内向型人間ほど繋がりによって得られるものが多い、とも言えるのか。うーん、それはなかなかハードルが高いなあ。

などとなんだか堂々めぐりになってきましたが、孤独な時間にも人と繋がっている時間にもそれぞれ得るものがあることは疑いようもない事実。けれどどうにも自分の人生を見失っている、自分の人生なのに何かの奴隷となってしまっていると感じる責任感の強い人には、何はともあれ即刻逃げて欲しいとも思うのです。

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内向型外向型を問わず逃げたくとも逃げ方がわからない人にとっては非常に役に立つ一冊ではないでしょうか。具体的な「逃げ方」についての記述もありますよ。

 






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Comment

  1. ちゅーなー より:

    crispy様

    山梨県に転勤になり、全て0スタートの生活を
    始めて1カ月になりました。
    元々孤独体質でしたが、さらに孤独となり
    孤独の棚卸しをしているような感覚です。
    孤独の虫干しとでも言いましょうか。
    強がりでなく特に寂しくない。
    むしろ悪くない飲み屋を開拓してニヤニヤしてる笑。
    たぶん贅沢な行為なんでしょうね。
    逃げるも贅沢、逃げないも贅沢。
    とは言え、田中氏みたいにはなかなかいかないですよw。

    • crispy-life より:

      ちゅーなーさん

      新生活1ヶ月、そろそろ落ち着かれましたでしょうか。充実した日々を送られているようで何よりです。

      孤独な時間が好きな人、嫌いな人、得意な人、苦手な人、様々あって当然だと思うので孤独=寂しいと単純に表現できるものではないなあと最近強く感じます。私は俄然孤独が得意なのでひとり気ままに新しい場所で新しい店を開拓するなんていうのはワクワクするお楽しみ、と思ってしまいますが、孤独が苦手ゆえに共に過ごす誰かを探すのもまた楽しい行動なのでしょう。確かに逃げるも贅沢、逃げないも贅沢、ですね。

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