働いていないという罪悪感。
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最終更新日:2018/08/16
生き方と考え方
みなさま既に年末年始休暇に入られた頃でしょうか。
今年のカレンダー的には年末年始で5,6連休というパターンが多そうですね。成人の日明けまで10連休なんてのもあるのかも。
いずれにしても、もういくつ寝るとお正月。
どうぞゆっくりとお過ごしくださいませ。
働いていないという罪悪感
さて、わたくしはといえば年末年始休みを待たずして11月末からフィリピンへ逃亡を図っておったわけですが、今回の目的であったお勉強以外もなかなか充実しておりまして。
普段の生活ではまず出会わない年齢、職業、属性の人と話すのは楽しい。これはチャンスとばかりにおばさん力を発揮して、若い人たちと交流させていただきました。
私と同時期にフィリピンに到着した30代の女性、Yさんもそのひとり。とても気さくで誰とでもすぐに打ち解けてしまう朗らかさを持つ方で、滞在中はかなりお世話になりました。
このYさん。到着当初からしばらくは体調が思わしくない、夜寝付けない、ゆえに朝起きられない、昼にうっかり眠ってしまって授業に遅刻した、と慣れない生活に戸惑っておられました。聞けばもともと根っからの夜型体質。朝5時起床が標準である語学学校のスケジュールになかなか体が付いて行かず辛いとこぼしておられました。
ああ、確かに。朝型の生活は誰にでも有効ってわけではないものねえ。
なんて言っていたのですが、彼女がどうにも落ち着かない理由がもうひとつ。それは
「働いていないことへの罪悪感」
でした。
この世はやさしい罪悪感に満ち溢れている
Yさんは転職期間を利用しての留学。よって、出発前までは忙しい日々を送っていて、帰国後はすぐ新しい職場にて勤務することが決まっている。しかも、かなりカタめ、というか、しっかりしたご職業。新しい職場で英語が必要であるという大きな目標もあっての短期留学。それなのに
「いい歳して師走に働きもせず、呑気に英語の勉強なんてしてる場合かという罪悪感が拭えない」
と言うではありませんか。
「社会人になってから、こんなに長く働かない期間を過ごすのは初めてで怖い」
いやいや真面目か、という感じではありますが、その気持ち、わからなくはありません。
一方、別の主婦の方と家事の話題になった時は
「食器洗いとか掃除なんていう生産性のない仕事は食洗機やらルンバやらに任せておけばいいんですよ」
という話になる。うん、いいよねそれで。別に手でやらなきゃ家族が呪われるわけでもないしね、と同意するも
「でも、そんなの贅沢じゃないか。家事くらいは自分の手でやらなきゃ、という罪悪感がどこかにある」
と言う。
なんということでしょう。この世はかくも善良な市民によるやさしい罪悪感で満ち溢れている。
異臭を放つ泥沼にはハマるべからず
いい大人が働かず留学だなんてけしからん、主婦たるもの食器も洗わないとは何事か。などと、誰かから直接責められたわけでもないのに、なぜだか感じてしまう罪悪感。
ずっと嫌々やっていると思っていた仕事や家事も、いざやらなくて済むとなったらなぜかほんのり寂しくて、実は愛しい作業だったと知る。とかならそれもまたよしだけれど、ただただ辛いのはやりきれない。しかも、せっかくの機会や機械が目の前にあるのに尚辛いとは。
自分自身が生み出している謎の罪悪感の存在は、世間の風潮が、とか、誰かに言われたから、なんていう外的要因よりも重い。だって、うっかりそれを考え続けてしまったら、奴は文字通り四六時中責めてくる。
そしてその辛さから逃げ出したいが為に勤続ウン10年の社畜はつまらんとか、ていねいな暮らしをしたがる専業主婦は暇なだけ、なんて別の誰かを貶めるような方向に行ってしまうとそこは悲しき底なし沼、ほぼロクな結末になりゃしない。
けど、ぼんやりしてるとハマるよね、ぷうんと異臭を放つその泥沼に。
仕事や家事に限らず、真面目な人、自分に対して厳しい人ほど、いろいろな罪悪感に苦しみもがくものなのでしょう。そして、いやいや、そこ全然罪悪感ポイントじゃないから!などと他人が肯定したところで、大して救いにもはならないのでしょう。
そうわかっていながら、言っちゃったけど。何をおっしゃいますやら、全然問題ないですから!って、全力で肯定しちゃったけど。
毎度のことながら、この話にオチはない。ただ、そんな真面目でやさしいあなたやあなたやあの人が、静かで健やかな休暇を過ごせることを陰ながら願う年の瀬です。
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Comment
crispy様
今年一年、記事とコメ返ありがとうございました。
今回もなかなか興味深く拝読しました。
某メーカー社員ではありますが、
外勤調律師、という特殊過ぎる生業ゆえに
一旦外に出れば(仕事さえしてれば)自由という身分。
今でこそ、その日のスケジュールはパソコン管理
全社員が見ようと思えば、私の今日の行動を見られますが
それでも内勤に比べれば……。
こうなると突拍子も無いことはご法度ですが、
頃合を見計らえば好き自由。所謂内勤的モラルはありません。
しれっと歯医者に行ってたりしますしww
この感覚で、年末無職罪悪感と家事云々の話は
ほーーーーーーーーという感想でした。
永久に答えの出ないほーーーーーーです。
良い年をお迎えください。
香港楽しんでくださいませ。
ちゅーなーさん
こちらこそ、今年一年お付き合いいただきありがとうございました。
既に年末年始酒浸りモードに突入してしまったもので、その頭のまま何の答えもオチもない垂れ流し記事を書いてしまいましたが、とにもかくにも年末年始。普段いろいろある大人のみなさんもこの時くらいはだらりと酒でも飲んで朗らかに過ごしましょうよという提案…なのか?
毎度言っているような気がしますが、ちゅーなーさんのように特別な技術を持ち、それを仕事にしている人が本当に羨ましいし、憧れます。おっと、その話題でも1記事書きたいと考えていたことを今思い出しました、話題提供(?)ありがとうございます。
どうぞよいお年をお迎えくださいませ。