おひとりさま、寂しい老後の真実は。
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生き方と考え方
おひとりさまの老後、といっても自分のことではなく、母について。
老後も何ももう80手間の後期高齢者で、しかも配偶者が健在であるからおひとりさまではないけれど、とにかく父より長生きするようにと何年も前から言い含めています。
別に父に早く逝って欲しいわけではなく、家事能力の低い昭和の男の一人暮らしは何かと不便だから、現実問題として母が残されたほうがいいよね、という満場一致の見解です。
つまり、うまくいけば母もいつかはおひとりさま時代を過ごすことになる。
おひとりさま、寂しい老後の真実は
「うまくいけば」なんて、実父に対する態度としてどうなんだと投石されても仕方ない表現ではありますが、本人も承知の上。
「自分の方が長生きできる気はまったくしない」
と常日頃から申しておりますので問題ありません。両親は同じ歳なので、一般的に女性の方が長生きであるということに加え、
「あんな神経の図太い人間がそう簡単に死ぬはずがない」
という長年連れ添った夫婦ならではの見解がある模様です。
一方の母は、最後にやってくるであろう一人暮らしライフを心から楽しみにしているフシがある。
片付けや掃除といった家事は嫌いじゃないけど、食事の支度は未だ大食漢で食べることが大好きな父がいるから仕方なくやっているだけ。一人になったら一切の調理を卒業し、必要最小限の家事のみこなし、その他は1日中自由気ままにだらだら過ごしたい。それが彼女の最後の夢なのだとうっとり語ってくれたことさえあります。
もちろん、現実にはわかりません。父がいなくなったら
「やっぱり一人は寂しいの、めそめそめーそ」
などと手のひら返しをしないとも限りません。私も少し前まではきっとめそめそやるだろうと睨んでいました。けれど今となっては、この人本気でおひとりさまを夢見ているのでは?と思うようになったのです。
ひとりでたのしい自由な暮らし
世間では70代、80代になってもなおパワフルに趣味や社交、レジャーに励むご老人がいます。さらには、現役でバリバリ仕事している人だっている。
一方、成人してからのほとんどの期間を専業主婦として生きてきて、近隣住民とも積極的に付き合おうとせず、親しい友達もおらず、親戚関係は良好ではあるけれど、すでに兄弟は他界している母がおひとりさまになったら、これはいよいよ本格的な「おひとりさま」になる。
割と世間で恐れらている、人知れずひっそり、という危険性を孕んだヤツ。
幸い、今の両親の住まいは職員さんの見回りつき高齢者住宅ゆえ、娘としては安心です。それでも、ねえ本当に大丈夫?本当の本当に孤独に向き合える?と思わなくはありません。何しろ、これまで一人で暮らした経験がないのだから。
「誰とも話さないと、ちょっとさみしいな、って思わない?」
今回の帰省にて改めて問うてみたところ、きっぱりはっきり清々しく
「ぜんぜん!」
と即答されました。
単なる人嫌い、と表現してしまうのはいささか乱暴だけれど、とにもかくにもリーブミーアローン。誰かと行動を共にしたり、世話を焼いたり焼かれたりするのが心底苦手だから「一人静かに過ごしたい」は本音なのでしょう。さぞ寂しかろうと周りの人が気を使って声をかけてくれたり、会合に誘われたりするほうが、余計ストレスになるかもしれません。
そこまで筋金入りじゃないにしても、私もどちらかといえば一人好きなので、その気持ちはわからなくもない。
母の夢見る最後の暮らしは
「孤独でさみしい老後」
と呼ばれるそれかもしれないけれど、本人にとっては初めて手にする自由な暮らし。人生最後のおたのしみに位置付けているようだし、実際その時がきて夢の暮らしをエンジョイできるのであればいいですね、と思うのです。
いや、もちろん父にも頑張っていただきたいのですよ。ただ、特に仲睦まじくもない腐れ縁すら腐りきってしまったような夫婦でも、父が残されるのはなんだか不憫でね。余計なお世話ですけどね。
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