こういう時、年寄りは家から一歩も出ちゃだめなんですよ。
公開日:
:
最終更新日:2020/03/04
日常
私の友達の職場が、とか、友人の旦那さんが、とか、それなりに近いところから具体的は話が聞こえてくるようになったここ数日。間に6人だか介せば誰とでも繋がれる説もあるくらいだし、これだけ人数が増えてくればまあ、そうなるでしょうとしか言いようがない。自分でできることをする以外にない。
毎朝立ち寄るカフェでは、カウンターに陳列されている焼きたてパンが、今日からビニール袋に入れられていた。こまめに焼いて、こまめに出すスタイルとはいえ、外気にさらしっぱなしのパンとか、スーパーの惣菜コーナーによくあるトングで取るタイプの揚げものなどのおおらかさ。普段から苦手な人は苦手なんだろう。常日頃から接触関係に気をつけている人は、こういう時だからと行動を変えることなく、いつも通りに過ごすのだろうか。
向こうの席に座った80代と思しき石原慎太郎似の紳士が、ガールフレンドと携帯で話しながら、ビニール袋に入ったパンを食んでいる。そして、豪快に咳き込んでいる。隣席の男性があからさまに顔を背ける。石原は気にもとめず、ガールフレンドに、ああ、コロナかもね、とうそぶいている。
「だからね、こういう時、80代以上の年寄りは、家から一歩も出ちゃだめなんですよ。常識的に考えて。健康な若い人が感染したってただの風邪くらいの症状で済んじゃうんだから。老人はダメ。私みたいに、普段からアルコールを持ち歩いて周りにも気を配っている、人にマナー教育ができるくらいの人間じゃないと、ダメ」
思惑もキャラ設定もよくわからないが、朝っぱらから至極くだらない話で長電話をしていることから、石原の交際が順調であろうことはわかった。
夜は新宿へ。人と会う約束がない限り行くことのない新宿へ。10年くらい前、生まれて初めてインフルエンザをもらったのが新宿で、それ以来あまりいい印象がない。だいたい人が多すぎる。同じ理由で渋谷も苦手。私だけじゃなく、きっと新宿も渋谷も私のことが苦手だろう。片思いよりも無関心同士でいられるほうが平和ではある。
新宿は新宿でも、こんな時はちょっと離れたほうがいい気がして、新宿三丁目の居酒屋を選ぶ。魚と日本酒を堪能し、帰りは寒い中みなで新宿まで歩き、電車に乗り、最後に一人になり、あと一駅で下車。というところまで来て寝落ちする。これ、今に始まったことではなく若い頃から、しかも酒を飲んでおらずともよくやるのだけれど、なぜあと3分が我慢できないのか。結局3駅乗り過ごし、戻る。最寄駅を出ると思いの外寒く、ずずっと蕎麦をいきたい、なんなら燗酒も添えてみたい気分が高まったが、すんでのところで思いとどまりおとなしく帰宅。
関連記事
-
餃子のひだと10万人の無料食堂。
予告通り、餃子を作る。例の事件は未だ解決しておらず、記録はない。 なくなったらつまらないものそ
-
代わり映えのしない毎日が、永遠に続く恐ろしさ。
大晦日から新年をまたぐことができなくて、主人公が同じ1年を何回も繰り返すドラマ。 あれ
-
そもそも他人を一切部屋に招かない生活。
3ヶ月に一度の歯科検診の日。いつものように口内状況のチェックとクリーニングをしてもらう。
-
つまらない女と寿司。
久しぶりに寿司をつまむ。前回につまんだのは、確かまだ寒い時期だった。それからあれよあれよとおかし
-
生きていくために必要な最低限のものが揃ってさえいれば。
そういうことらしいので、久しぶりに電車に乗る。 早朝の東京は薄曇りでやや肌寒く感じるけれど、最後に
-
怒れるおじさんと、聞かない若者。
「うるせえな!ダメだって書いてんだろ!」 いつものカフェに突如響き渡った怒声に、店
-
寿司をつまみながら、いよいよ食えなくなったらバイトするという。
友人と昼間っから寿司をつまみつつの昼酒。 国内外から観光客が押し寄せる人気店ゆえ、週末
-
ハゲをハゲと罵っても構わないというロジック。
次は、高輪ゲートウェイ。高輪ゲートウェイでございます。 アナウンスで新駅が開業していた
-
これが最後の仕事になると思います。
早朝いつものカフェに行くと、さすがに営業時間短縮とのことで、閉まっていた。 仕方ないので別の店で作
-
大事に扱われるのが、やたらうれしい。
少し前のことになりますが、初めてUberEatsを利用してみました。 デリバリーを利用するなんて、
- PREV
- 休肝日ごはん 豚汁定食。
- NEXT
- 酒を飲む人はどれくらいの頻度で休むのか。