なんの楽しみもない、中年の暮らし。
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生き方と考え方
あら、私って天才?と思いました。
後々このアルバムを聴き返せば2018年のゴールデンウィークを、バーからの帰り道につい構ったふくよかすぎる猫に引っ掻かれた痛みを、うっかり踊り出しそうになったぬるい風吹く夜の歩道を思い出すのだろうか。
アリババの休日とリア充の爆発。
まさに今、この夜のことを思い出しています。単なる懐かしさによる回顧ではなく「なんと贅沢な春だったのだろうか」という静かな驚きのようなものを噛み締めながら。
よくぞ書き記していた。えらいぞ、2018年の私。
なんの楽しみもない中年の暮らし
選挙時期には飲食店での酒類提供だけでなく、小売店での販売も禁止になったり、女性が人前で飲酒する行為を咎められたりする国で暮らしてみて、日本は飲酒に寛容な国であると知りました。それまではなんとも思っていなかったけれど、改めてありがたいことだとしみじみしたものです。
それがまさか、外で酒が飲めない日が来るなんて。
正直なところ、切ないです。当事者である飲食業関係のみなさまは切ないどころの騒ぎじゃないことは重々承知で、切ないです。
家飲みも、自作つまみも好物だけれど、日々の晩酌とたまの外での一人酒、この両輪が揃っていないと、私の生活は途端に精彩を欠いてしまう。そんなことに今更ながら気付かされました。
酒の他に楽しみがない中年−。文字にすると半端ない悲壮感が漂いますが、まあ大きく外れてはいない。しかし唯一とも言えるその楽しみを楽しむ覚悟と意気込みには相当のものがあるのです。何を偉そうに。
書かなければ、忘れてしまうささやかなこと
なんの予定もない、何もしないゴールデンウィークが好きなのは今も変わっていない。しかしただベッドに横たわって天井を見つめるだけの休日を過ごしたいわけじゃなくて、積極的に何もしないのが好きなのです。
「何もしない」に、忙しい。
前のめりに獲得した何もしない時間を無駄に使い、あてもなく散歩に出かけて、ふらふら酒場に立ち寄り、ひとりニヤニヤ酒を飲む。それこそが私の理想とするゴールデンウィークの過ごし方なのだ。と、3年前の記録を読んで改めて認識した次第。
けれど「アリババの夜」のことなんて、書いていなければ忘れ去ってしまうような、あまりにもささやか過ぎる出来事。その瞬間はどれだけ充実していても、妙な幸福感に浸っていたとしても、当たり前な日常の一コマは、長期記憶には残りにくい。確かにあった時間すら、ないものとして処理してしまうのではなかろうか、と思うのです。
ああ、そうだよ。あの夜はたいそう楽しかったことを、あんたのおかげで思い出したよ。と、3年前の私に礼を言いたい。言ってどうなるものでもないが、言いたい。楽しかったからとはいえ、よくぞあのしょうもない時間についてわざわざ記したなと。天才かよと。
天才に敬意を表して2021年の今についてメモしておくと、今年も私はサルサですよ。なぜか今になってLuis Enriqueブームが到来して、部屋でガンガンかけてますよ。
3年後に「Ciclos」を聴けば、この切ない春をありありと思い出すのだろうか。アリババの夜のように。
世界中が例のアレで大混乱であっても、根本の暮らしは良くも悪くも大きな変化はなく、これといった楽しみも、自分の成長を感じられるような出来事もない、平々凡々な中年の暮らし。
だからこそ、心底しょうもない出来事や楽しみを書き記す意義があるような気がした、2021年のゴールデンウィーク直前であります。
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Comment
2021年のゴールデンウイークは、ほんと、のんびりしました。おかげで、用事がサクサク進みました。
でもでも、(家族以外の)人と会いたい!という欲をすごく感じました。そして、私も外呑みしたいです!
ワクチンが行き渡れば、アレによって出来なくなっているアレやコレやができるようになるのですかね~。でも、インフルエンザワクチンみたいに、毎年接種しないといけなのかな~
ま、連休最終日の明日も引き続き、冬物衣料のお手入れ等の用事を済ますことにします。
Yoshさん
もうのんびりするしか策はない、という休暇でしたものね。でも、用事をサクサク片付けられている点が有意義すぎます。わたくし、さほど何もできずに終わりました…。
またまた延長になっちゃって、ますます外飲みへの想いも募ります。ああ、テラスで昼飲みに最高の季節なのに…もう少し辛抱ですね。うう。