年を取ると涙もろくなる理由とは。

公開日: : 最終更新日:2021/09/08 生き方と考え方

一般的に

「歳を取ると涙もろくなる」

と言われています。

確かに子供の頃や若い頃には映画を観て泣くとか本を読んでグッとくる、なんて経験はさほどないものの、大人になるにつれその傾向が顕著になってくるような。

でもこれ、果たして加齢や老化と関係があるのでしょうか。

歳を取ると涙もろくなる理由とは。

赤子は泣くのが仕事なので除外するとしても小学校低学年くらいの子供は結構カジュアルに泣きわめきますよね。

けれどその理由は大体痛いとかお腹すいたとかあれ欲しいとかこれはやだとか、本人の欲望及び欲求に起因するもの。妖怪ウォッチに感動してハラリとかプリキュアに感情移入してホロリ、みたいなのはあまりなさそうです。

いやもしかしたら感受性豊かなお子さんの場合はアニメや絵本で泣く、みたいなこともあるかもしれませんが、感動路線よりも怖いとか悲しいと言ったストレートな表現により反応するのではないでしょうか。

となると、歳を取ってから涙もろくなるのって涙腺やら眼球周辺、或いは脳の機能の老化というよりも経験値の蓄積によって揺り動かされる感情の範囲が広くなるから、なのではないかしら。

などと考えていたらこんな記事が。

参考 歳を取ると涙腺が緩くなる、は嘘?(R25)

「年をとって様々な経験や苦労を重ねれば、それだけ他者へ共感する引き出しも増えてきます。加齢によって涙もろくなるのは、それだけ多くの経験や思い出が増えてきた証ですね」

やっぱりそうなのか。身体的な老化で涙腺が緩くなる現象はない、とのこと。

辛かったことも楽しかったこともいいことも嫌なことも全部ひっくるめて頭のどこかに残っているであろう記憶の数々。なんでもない情景や出来事がふっと過去の記憶と結びつき何らかの琴線に触れて涙が溢れてくるのだとしたら、涙もろくなるのはそんなに悪いことではない気もします。

リンゴジュースが好きすぎて

つい先日のこと、駅前のショッピングモールでお母さんに抱かれてギャン泣きしている男児(推定1歳半)がいました。

「リンゴジュースが好きなの!」

彼はそのセリフを何度も何度も繰り返し、頬を真っ赤にして大粒の涙をぽろぽろと流します。

「リンゴジュースが、好き、なの!」

泣き叫びながら訴える彼の右手にはパックのりんごジュースが。そう、男児は母親にりんごジュースを強請る為に泣き喚いているのではありません。既に大好物のりんごジュースをそのちいさな手に収めているというのにそれだけでは飽き足らずなおりんごジュースへのほとばしる愛を訴え続けているのです。モールの中心で愛を叫ぶ。

持ってるんだから、飲めばいいじゃん。好きならば、グッと一気にいっちゃえばいいじゃん。そんな正論は彼の魂の叫びの前では無に等しい。

我が子のあまりの絶叫ぶりに苦笑いする優しそうな母親に抱かれたまま

「リンゴジュースがあああ 好きいいい なのおおおおおぅ!」

絞り出すような声で嗚咽を繰り返しながら彼はモールを去って行ったのでした。

ささやかな日常にある何気ない愛おしさ

リンゴジュースが好き。叫ぶほど好き。今持っててすぐ飲めるとわかっていても泣けるほど好き。それ以上でもそれ以下でもなく、ただ、好き。ああなんという純愛物語。私だってかつては彼のように純粋で清らかな心を持っていたはずなのに、社会の荒波と都会の嘘に揉まれてすっかり汚い大人になってしまったわ、ホロリ。

なんてことはさすがに思わないし泣きもしませんでしたが、なんかちょっとグッときたのは事実。

幼少の頃から涙腺乾き気味で卒業式で泣かないと冷たい人と言われそうで大人になってからも感動巨編系映画とかお涙頂戴路線には全く心動かされない私だって、こんなふとした一瞬にジーンとくることはあるのです。

彼のりんごジュース愛が私の中に蓄積されたどんな記憶を呼び起こしたのかは定かではありませんが、これ、なんなんだろうか。こんななんでもない日常の場面にも愛しさは溢れているのだな、という感覚なのかと思ったり。

いやこれ、別に感動するようなシーンでもなんでもないんだけど。さらに言えばただ眠くてぐずってただけとかちっちゃな反抗期なだけなのかもしれないけど、願わくばこれからも彼が美味しいりんごジュースをたらふく飲める世界でありますように。

関連 にんじんりんごジュース+黒糖生姜紅茶 ファスティング(家断食)の記録と効果




関連記事

平凡な毎日を楽しむことと、変えない怠慢は別のもの。

他愛もない日常を暫く綴り続けていると、ふと自分の成長のなさに愕然とする時があります。 というの

記事を読む

70代ミニマリスト主婦の財布。

年末年始は地元に帰省すると決めております。 これは年がら年中なんの予定もなく自由気まま

記事を読む

疲れやストレスが原因で歯が痛むことはあるのか。

歯が痛い。 先週だったでしょうか、久しぶりにそんな感覚がやってきました。 歯科通

記事を読む

シンプルに生きるためのポータブルスキル。

私がモノを持たない生活をしている一番の理由は移動しやすくするためです。引越し作業というのは何

記事を読む

忙しい毎日、大人のお得な現実逃避のすすめ。

国外へ転居する友人が、出発当日フライト3時間前まで必死で荷造りしていたという話を聞き、気が遠

記事を読む

作業効率、環境づくり。動けなくなって改めて考えたこと。

By: Thomas Duesing[/caption] 腰の痛みに翻弄された今週。

記事を読む

音楽を聞かなくなった理由。

音楽CDのデータ化やるやる詐欺は1年以上になりますが、CDはまだまだたっぷりあるし、既にiT

記事を読む

今では全く共感できないSATC。

懐かしのドラマ「SEX and the CITY」がプライムに来ていたので思わず全話見直して

記事を読む

プロになれなかった私のプロフェッショナル。

学生時代のアルバイトを含めれば、すでに30年以上も働いている計算になります。 30年

記事を読む

知りたすぎる癖のせいで、毎日忙しくて仕方ない。

引っ越してからというもの忙しくて仕方ありません。 何が忙しいかって、街散策。 越

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

腰痛改善に向けて始めたこと2つ。

今年こそは腰痛改善に取り組むぞ!と宣言して早1ヶ月が経過。や

ご近所感覚の酒場を求めて。韓国ソウル一人旅で食べたもの・その2

韓国・ソウル食記録の続きです。1人で飲むなら、定食で。韓国・

やりたいことリスト’24「ちゃかし倒してゲームする」

毎年恒例の儀式・その2「やりたいことリスト」のお時間がやって

2023年、買ってよかったものベスト3。

1年間の買い物を振り返る恒例行事、今年もいってみましょう。

あの世にものは、持っていけないから。

銀座で酒を飲みながら、友人の現役引退後、つまり、定年退職後の

→もっと見る

PAGE TOP ↑