歳を取ると涙もろくなる理由とは。

公開日: : 最終更新日:2016/12/09 生き方と考え方

一般的に

「歳を取ると涙もろくなる」

と言われています。

確かに子供の頃や若い頃には映画を観て泣くとか本を読んでグッとくる、なんて経験はさほどないものの、大人になるにつれその傾向が顕著になってくるような。

でもこれ、果たして加齢や老化と関係があるのでしょうか。



歳を取るから涙もろくなるわけではないらしい

赤子は泣くのが仕事なので除外するとしても小学校低学年くらいの子供は結構カジュアルに泣きわめきますよね。けれどその理由は大体痛いとかお腹すいたとかあれ欲しいとかこれはやだとか、本人の欲望及び欲求に起因するもの。妖怪ウォッチに感動してハラリとかプリキュアに感情移入してホロリ、みたいなのはあまりなさそうです。いやもしかしたら感受性豊かなお子さんの場合はアニメや絵本で泣く、みたいなこともあるでしょうが、感動路線よりも怖いとか悲しいと言ったストレートな表現により反応するのでは。

となると、歳を取ってから涙もろくなるのって涙腺やら眼球周辺、或いは脳の機能の老化というよりも経験値の蓄積によって揺り動かされる感情の範囲が広くなるから、なのではないかしら。

などと考えていたらこんな記事が。

参考 歳を取ると涙腺が緩くなる、は嘘?(R25)

「年をとって様々な経験や苦労を重ねれば、それだけ他者へ共感する引き出しも増えてきます。加齢によって涙もろくなるのは、それだけ多くの経験や思い出が増えてきた証ですね」

やっぱりそうなのか。身体的な老化で涙腺が緩くなる現象はない、とのこと。

辛かったことも楽しかったこともいいことも嫌なことも全部ひっくるめて頭のどこかに残っているであろう記憶の数々。なんでもない情景や出来事がふっと過去の記憶と結びつき何らかの琴線に触れて涙が溢れてくるのだとしたら、涙もろくなるのはそんなに悪いことではない気もします。

リンゴジュースが好きすぎて

つい先日のこと、駅前のショッピングモールでお母さんに抱かれてギャン泣きしている男児(推定1歳半)がいました。

「リンゴジュースが好きなの!」

彼はそのセリフを何度も何度も繰り返し、頬を真っ赤にして大粒の涙をぽろぽろと流します。

「リンゴジュースが、好き、なの!」

泣き叫びながら訴える彼の右手にはパックのりんごジュースが。そう、男児は母親にりんごジュースを強請る為に泣き喚いているのではありません。既に大好物のりんごジュースをそのちいさな手に収めているというのにそれだけでは飽き足らずなおりんごジュースへのほとばしる愛を訴え続けているのです。モールの中心で愛を叫ぶ。

持ってるんだから、飲めばいいじゃん。好きならば、グッと一気にいっちゃえばいいじゃん。そんな正論は彼の魂の叫びの前では無に等しい。

我が子のあまりの絶叫ぶりに苦笑いする優しそうな母親に抱かれたまま

「リンゴジュースがあああ 好きいいい なのおおおおおぅ!」

絞り出すような声で嗚咽を繰り返しながら彼はモールを去って行ったのでした。

ささやかな日常にある何気ない愛おしさ

リンゴジュースが好き。叫ぶほど好き。今持っててすぐ飲めるとわかっていても泣けるほど好き。それ以上でもそれ以下でもなく、ただ、好き。ああなんという純愛物語。私だってかつては彼のように純粋で清らかな心を持っていたはずなのに、社会の荒波と都会の嘘に揉まれてすっかり汚い大人になってしまったわ、ホロリ。

なんてことはさすがに思わないし泣きもしませんでしたが、なんかちょっとグッときたのは事実。

幼少の頃から涙腺乾き気味で卒業式で泣かないと冷たい人と言われそうで大人になってからも感動巨編系映画とかお涙頂戴路線には全く心動かされない私だって、こんなふとした一瞬にジーンとくることはあるのです。

彼のりんごジュース愛が私の中に蓄積されたどんな記憶を呼び起こしたのかは定かではありませんが、これ、なんなんだろうか。こんななんでもない日常の場面にも愛しさは溢れているのだな、という感覚なのかと思ったり。

いやこれ、別に感動するようなシーンでもなんでもないんだけど。さらに言えばただ眠くてぐずってただけとかちっちゃな反抗期なだけなのかもしれないけど、願わくばこれからも彼が美味しいりんごジュースをたらふく飲める世界でありますように。

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